第2話 超能力披露

 僕が能力について伝えると、金髪の人は大喜びで見せてくれと言ってきた。


 しかし、僕の力は、かなり制約が多く、生年月日、名前、顔写真に、どれか一つでも偽りがあると探せない上に、探しているうちに僕は眠ってしまうので、特定して回答するまで1時間以上はかかってしまうのだ。おまけに、眠っている時に無理に起こされると、まだ探し途中だったりして失敗する可能性もある。


 この事を伝えても、彼は相変わらず好奇心丸出しで、「それでもいいから探してくれ」と言う。


 そして、「この人がどこで何をしているか教えて欲しい」と黒髪の少年の写真を出して来た。


 この少年は、整った顔立ちをしているが、どこか印象に残りづらい。更に、青白い顔色と深いくまのせいか、若いのに不幸オーラを漂わせている。


 能力の使用中は、眠ってしまうので、どこかスペースを貸して欲しいとお願いすると、彼から見た左端のスペースにパイプ椅子を3つ並べて、僕のベッドを作ってくれた。


 とりあえず、人探しを開始するも全くヒットしない。


「あの…。ちょっと、この人、全然ヒットしなくて…。この人は、あなたの知り合いですか?大変、言いづらいんですが、この人、名前か生年月日を偽っている可能性が高いです…。」


 そう伝えると、彼が泣きそうな顔をしたので、なんて言っていいか言葉に詰まってしまった。


 それを見かねた紳士が、「代わりにこの人を探してくれ」と50代ぐらいの優しそうな男性の写真を見せてくれた。


「この人って、有名な人ですか?僕なんか見たことあるな…。」


 本当にどこかで会った顔だった。だが思い出せない。なんなら、こちらの紳士も見たことがある気がする…。余計な事を考えながらも、人探しを再開した。


 今度は探せそうだ。

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