短編「祝杯ノ墓地」(完)

不可世

一話完結

「世界は綺麗か」

「ええ、綺麗ですよ」

「まだ実感がないな」

「来たんです、ここまで」

「そうだな」


「こらからどうします」

「ゆっくりと生きていくよ」

「なら私もお供します」

「いいのか」

「ええ」


「私はいつか喫茶店に行きたいと思っていたんだ」

「ふふ、いいですね」

「女々しいとかそうじゃないぞ」


「知ってます、エールが飲みたいのでしょ」

「ああ、いつかあの、あわあわのしゅわしゅわを飲みたくてな」

「今から行きましょ」


「いいのか?ドレスコードとかないよな」

「大丈夫です」

「そうか、こんな私でも入れるのか」

「もう立派な勇者じゃないですか」

「そうだったな」


「世界を救ったんです、」

「ああ、長い旅だったな」

「ええ、」


「もし過去に戻れるならフリーレンと来たかったな」

「そうですね」


「よし行くか」

「行きましょう」


らっしゃーい

「あ、ああ、こんにちは」

おお、あんたらは

「エールください」

おお、まっとれい

「エリザベート、」

「なんでしょう」

「喫茶店って、こういう場所なのか」

「店主が元気すぎますかね」

「もっとおしとやかな場所だと思ってたが」

なぁあんたら、もしかして

「いや、私たちはただの、」

あんたらあれだろ、ハンターだろ

「え?」

なんだ、そんなすっとんきょーな顔して

だから狙ってんだろ魔王だよ魔王


「もう魔王は倒されましたよ」

なに言ってんだい、俺は今日見たぞ

「本当ですか」

ああ、そりゃこわい魔王だった

「どこですか」

金貨1枚でどうだ

「え?」

(マスター、かもられてるだけですよ

 (え?そうなのか

  (はい


「その手には乗りませんよ」

なんだ、あんたらもう知ってたんだな

「はい」

魔王は倒され、世界は平和、これじゃ商売あがったりだよ

「情報を売ってたんですね」

ああ、そうさ、どうすりゃいいんだ

「エール樽事買います」

お?本当か、

「ええ、」

ありがとな!

「それと、オチのない嘘はいけませんよ」

ああ、すまんかった!次は小粋なジョークを提供するよ!

「その粋です」


「マスター、どうして樽買いしたのですか」

「フリーレンの墓参りに、ちっとな」

「分かりました」


「なぁフリーレン、今、幸せか」

「きっと幸せにしてますよ」

「そうか」

「ええ」


「フリーレン、祝い酒だ、あの世でまた会おうな」

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