想いが募るほどに惨めになってしまう僕
@chiru0710
第1話
幼稚園の頃、男の子と並んでブランコに乗っていた。
少しづつ勢いをつけ、より大きくブランコを揺らす。
「好き?」
俺が言った。
「うん、好き」
男の子は答えた。
頭の中をフル回転させて、精一杯思い出そうとする。
そうだ...。
きっとその時にはもう俺はゲイだったんだろう。
31歳。ゲイ。彼氏無し。
寂しさに押し潰されそうな日々が続いている。
彼氏は作りたいけれど、作れない。
俺なんかを好きになってくれる人なんているんだろうか。
身長180センチ。体重120キロ。
ハンデを背負って生きているようなもんだ。
コンプレックスの塊。
痩せなければ...そう思う程に焦りが生じるが、明日からでいいや、と何度も先延ばしにしてきてしまった。
「寂しいな」
人の温もりを最後に感じたのはいつだろう。
友達でもいい。
自分の気持ちを分かってくれる人が居れば。
そう思って俺はいつも情報収集に使っているSNSを出会いの場に出来ないか、と登録してみた。
「こんな感じでいいかな」
プロフィールのアイコン用に自分の顔を撮ってみた。
キレイに写る効果のあるアプリで撮った為か、実物より肌はキレイめに、輪郭はスッキリ、目の下のクマさえも消されていた。
どうせ会うことも無いし、気持ち悪いアイコンより少しでもマシな方が良いだろう。
ゲイです。
孤独に生きてます。
180センチ120キロ31歳。
気軽に友達申請下さい。
諦めながらも登録したSNS。
誰からも見つからずにきっとまた孤独だろう。
そう思いながら眠りにつくと、翌朝通知が届いていた。
想いが募るほどに惨めになってしまう僕 @chiru0710
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