ta・ka・ha・shi
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明るくまっすぐな、
体育会系おにいさん。
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結局、この部屋からも印は見つからなかった。
顔を上げると、アヤサキは額の汗を手の甲で拭っていた。
正直なところ、出口の印を探すことよりも『
もちろん、元の世界に戻りたい気持ちはある。でも、それ以上に魅力的だった。
「アヤサキさん、次の部屋に移動しますか?」
「そうだね。ここには無さそうだし。」
アヤサキは、私に笑顔を向けた。
「アヤサキじゃないか。」
ミーティングルームを出たところで、とてもよく響く力強い男性の声が、背後から聞こえた。振り向くと、会議室で見かけた『体育会系男性』だった。
まるで体操のお兄さんのような笑顔で近づいてくる。
誰からも好かれそうな好青年の印象なのに、アヤサキは顔をこわばらせて身構えている。
「……タカハシさん。」
「出口の印は見つかったのか?」
「……企画部とミーティングルームには無かった。」
アヤサキは、人間に牙をむく捨て猫のようにタカハシを睨みながら、正直に答えている。もしかしたら、ミフネよりは心を許しているのかもしれない。
「そうか。俺は向こうから探したんだが、やっぱりなかったよ。ミフネも無いって言ってたから、たぶん、この階には無いな。俺は上の階を探すよ。アンタはどうする?」
「……下の階に。」
タカハシは、アヤサキの言葉を聞いてニカッと笑った。
「おう! じゃあ、あとで教えてくれ。こっちも結果を教えるから。それより――、」
タカハシは腰に手を当てて私に顔を向けた。
「会議室でも気になっていたんだが、アンタ誰だ?」
「私は――、」
「まあいいか。ここにいるってことは、印探しゲームに参加してる仲間ってことだよな。よろしくな。」
そう言うと、タカハシは手を振りながら階段を上っていった。
『タカハシ』と名乗ったこの男性は、どうやら悪い人ではないようだ。
「アタシたちも行こうか。」
アヤサキは私の手を取り、階段を下りた。
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