第7話

 途中の村に寄り、果実等の日持ちしない物を売り、逆に野菜等を買い付ける。

 そして村で一泊し、街に向かう。

 道中は俺が夜の番をし、次は他の衆が順番に見張りをし、そして俺にと交互にする。

 一応何か在れば直ぐに対応出来る様に眠って居た。

 かつての旅で慣れているとは言え、それは周りに実力者が居たから休む事が出来たが、流石に自衛が出来るとは言え、村人だと心元無い。


 そして、漸く街に着いた。俺達は街に入る為に並ぶ。


「我々はフィリオ村の者です。村の物の売り付けと買い出しに」

 と、村長が身分証を提示し、通行料を払う。そして

「俺はその護衛だ。」

 俺は身分証を提示する。


「よし、問題無いな。通れ」

「はい。ありがとうございます。」

 何事もなく通過出来た。それは村長が何度もこの街に訪れているから向こうも村長達を把握して居るからだ。一応形式的にチェックをしているが、他の人達よりはスムーズに運んでいる。


「では、私はギルドや商店に向かいますので宿の手配をお願いします。」

「おう!」

 村長が村の男達に宿の確保を任せる。

「ライル殿は私について来て下さい。街中とは言え、其なりの金額を持つので」

「ああ、勿論だ。」


「では、夕暮れに広場で」

 広場で落ち合う事を決め行動する。村の男達は宿を確保すれば後は時間まで自由だ。若い奴は村長と共に売買だ。

 村長の側で勉強だな。


「……」

 俺は特にする事は無い。一応周りを警戒するだけだ。スラム街に近付かなければ余り問題は起きないだろう。

 

 そして村長達は無事に商品を売り捌いた。やはり、シアのポーション類いが良い値段になった。特に聖水は品質に左右されるからな。一定以上の品質だと値段も其なりになる。

 

「村長、とりあえずサインをくれ。一応依頼としてギルドに達成報告しないとな」

「勿論です。ライル殿のライセンス剥奪なんて事になったら大変ですからね」

 傭兵や冒険者は一定期間内に一定数の依頼をこなすか…或いは一定額を納める必要がある。それはライセンスは身分証にもなる為に欲しがる奴等は多いが、結果を出さない奴等には与えない為だ。


「次いでに村長も来てくれ。どうせなら専属契約をするか?」

「本当ですか!?それは願ってもないです!」

 傭兵の専属契約。それは所属をギルドから移すという事でギルドを介さずに依頼出来るという物だ。

 しかし、専属契約をするには毎年一定額の納品が必要になるが、それでも常に傭兵を探し、雇う事を考えると安いだろう。

 傭兵も専属になったからと言ってギルドが利用出来なくなる訳では無いからな。


 そして俺は傭兵ではライゼスで登録しているが冒険者では本名ライルで登録している。

 そしてライゼスは勇者一行として名が広まっている。下手にライゼスの名で目立とシアの居場所がバレる可能性がある。なので俺はライゼスの名ではなくライルの名で登録する。

 


 無事ギルドで専属契約の届けを出し、待ち合わせの場所に向かう。

 その後、村の連中と飲みに出て、宿に泊まる。翌日に各自買い物(お土産)と村の買い物をする。


 ティナとシアにお土産を買わないとな。何が良いかな?砂糖菓子は…流石にもっと大きい街に行かないと無いな。

 装飾品の類いは下手な物を選ぶと、シアが怖い。指輪なんかは論外だ。

 シアが俺に向ける感情は理解している。


 しかし、俺は…彼女の横に立つには血に汚れ過ぎた。



 その後、俺は適当に市場を彷徨く。





 



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