第6話

「っし!」

 槍を振り、狼をなぎ払う。そして群れのボスに向かい魔法を放つ


「!?」

 群れのボスは魔法を避けるが、避けた先に風の刃が襲い、その首を落とす。

 ボスがやられた事により、狼達は逃げる


 

「…」

「いやはや…流石ですね。ライル殿」

「たった1人で…」

「あっという間に片付けちまった」


「村長、コイツらの毛皮とかは必要か?」

「そうですね…時間も掛けたくないので必要無いですね」

「了解だ。」

 俺は魔法を放ち狼達を燃やす。魔物や動物の死骸を放置すると新たな魔物を呼び寄せるからな。

 燃やした後に風魔法で臭いを散らす。



「待たせたな」

「いえいえ…流石に手慣れてますね」

「まぁな。手早く済ませないと、次々魔物が来るからな」

「魔物討伐も大変なんですね」

「ああ、だから冒険者等の専門家が居るんだ」

「ですね」

 そして俺達はまた進み始める。


 俺達の場合は魔物の解体をする時は風魔法で臭いを散らしたり、シアの結界等で魔物の接近を防いでいた。

 それは説明しなくてもいいだろう。


 その後は特に何事もなく進んだ。





…………

「……」

 シアはつまらなそうに椅子に腰掛けていた。


「むす」

 不貞腐れているのだ。


「ライルの馬鹿」

 1日、2日なら問題無い。3日、4日は我慢できる。しかし、それ以上は……

「寂しいわ…」

 

 恋する乙女には辛い時間だ。ましてや普段共に生活してるのだから余計に。


「アリシア?」

「もう少しこのままで」

「うん。アリシアは甘えん坊だね。」

「そうね」

 彼女は寂しさを紛らわす為に妹分のティナを抱きしめていた。




「…ライルの…馬鹿」

 彼が帰って来たら沢山甘えてやると決める。






……………

「……」

 夜になり、見張りをする。焚き火の音だけが響く


「久しぶりだな」

 1人で居るのは。

 シアは寂しくしてないかな?あの子は意外に甘えん坊で寂しがり屋だからな。

 ティナはちゃんとシアの言う事を聞いているかな?あの子は戦いには心配ないが、それ以外は普通の子供だ。


「はは、まさか俺が…他人の心配をする様になるとはな」

 俺には善悪は関係無い。善人だろうと邪魔なら殺して来たし、悪人でも有用なら生かした。俺は常に自分本位で生きてきた外道だ。

 だからこそ


「あの娘達は眩しい。」

 俺が幸せに成らなくても構わない。そういう人生を歩んできたからな。

 しかし、あの娘達には幸せに笑っていて欲しい。

 だから…


「だから俺は…俺の全てを賭けて、あの娘達を幸せにする」

 

「それを邪魔する奴等には…容赦はしない。」

 


 そして夜も更けていく。





…………

「……ぐす…ライルの…ばか…」

 聖女は勇者を抱きしめながら眠る。思いの外重症だった。



「ライにぃ…早く帰って来てぇ」

 流石にこの状態のアリシアは勇者の手に余る様だった…





……………

 因みにアリシア達はライルが出発してから約一週間後の様子です。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る