第5話 村の用心棒

 俺は今村長の家でお茶を飲んでいる。いや、仕事の話だ。


「では、ライル殿頼みますぞ。」

「ああ、承った」

 それは3ヶ月に一度の街迄買い出しに出る村長達の護衛だ。

 この村は辺境と言われているだけあり、隣の村まで丸3日。大きな街まで7日ほど掛かる。更に荷物を運ぶ往復を考えると半月ほどだ。

 

 不便であるがこの村には魅力が合った。奥には深い森があり、魔物や動物が沢山生息している。

 常に魔物の危険はあるが…


 そしてアリシア達がこの村を選んだ最大の理由が…村の奥にある山、そこにある温泉だ。

 たまたま見つけて気に入ったのだ。

 まぁ森を抜ける必要があるから、村人は中々行けないだろうがな。



 いつかはあそこからお湯を引きたいな。



 と、話が逸れた。つまりこの村は魔物や動物の素材と豊富な果実、薬草等が収入原になっている。

 そしてこの村には勇者という人類最強戦力がいる。それこそ竜が居ようが問題無いだろう。

 勇者の存在は俺とシアしか知らない。因みにアリシアが聖女で俺が元勇者一行の1人だと知っているのは村長1人だけだ。

 何故なら村長は教会を管理していた、教会から派遣された男だった。


「はは、とは言ってもただの村人ですよ。読み書き、計算が出来るから村長何てしてますがね」

 村長はよく村の外に行来していた為、聖女の情報が有ったのだ。しかし、彼は信仰心は人並み程度だ。権力抗争とは無縁なほどに


 だがらこそ、彼は勇者の死と聖女の隠居の報を知り、聖女がこの村に来た時に黙って教会に住まわせてくれたのだ。


「感謝してるよ。村長」

「なぁに、聖女様は幼い頃から努力して来たんだ。ならお役目を終えた後くらい。静かに、穏やかに過ごしても、女神様は許してくれるさ」

 まぁこの村を選んでくれたのは意外でしたかな。と、言って笑った。


 村長と話し込んで居ると

「あ、居た居た!ライ兄~!」

「と、こら危ないだろ?ティナ」

 俺に飛び付いて来た金髪のメイド服の少女と


「こんにちは。村長さん」

「こんにちは。シアさん」

 と、村長に挨拶する銀髪の修道服の少女


「此方が調合した。ポーション、解毒薬、聖水になります。」

「はい。確かに…では代金を…もし、高く売れた場合その差額を払いますね」

「ありがとうございます」

「礼を言うのは私ですよ。今までは薬草のまま出荷でしたかなら…聖水も私が作るよりも高品質で。お陰様でかなりの利益に成りましたよ。」

 聖水は教会の許可が有れば販売出来るし、作り方も教会の人間しか知らない。村長は許可を得ている上に、シアはわざと品質を下げて数を制限して聖水を卸している。この程度の品質と数ならば目をつけられる事も無いだろう。


 

「それじゃあ、留守の間シアを頼むぞ?」

「うん!」

「……(むす)」

「何、2週間ちょっとだ」

「2週間も、です」

 もしかしたらティナよりシアの方が寂しがり屋なのかもな。


「行ってらっしゃい。ライル。気をつけてね?」

「ああ」

「ライ兄。お土産!」

「了解」

「じゃあ、行ってくる」

 そして俺は馬車に乗り、村長と数人の村人と共に街に向かう



「まるで新婚ですな」

「羨ましいねぇ」

「俺もあんな美女の嫁さんが欲しよ」

「やはり顔か?顔なのか?」

「いや、ライル殿は強さもあるからな。強い冒険者はモテるって聞いたぞ?」

「「「おぉ~」」」



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