番外編エピソード  章と萌歌のオタクデー

これは乾達との戦いの前の章の休日の話である。

ベットの上で目を覚ます。カーテンの隙間から指す日光が眩しい。

ココはINGAUGEの魔能使い達の住む基地内マンション。

章と萌歌の二人でこの任務期間は住んでおり、食事も家事も

交代制でやっている。

「…魔能か。なんか子供の頃に戻ったみたいだな…今もガキだけど。」

体を起こそうとすると、下半身に違和感があった。

何故か重りがのしかかっているようで動きにくい。

「…まさか…。」

バッと布団をめくると、そこには自身の体にのしかかって

眠る萌歌の姿があった。

〚何処で寝てんだお前はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!〛

ベットからスルリと抜け出した章は顔を真赤にしながら

叫ぶ。萌歌が瞼を眠そうに擦りながら体を起こした。

「…章。もしかして理性飛んでる?」

「飛んでなくてよかったよ!てか何でココで寝てんの⁉

オレの部屋とお前の部屋遠いのにどうやって間違うんだ!」

「…家の感覚で…。」

「あぁ…まぁなら仕方ないか…。」

リビングに移動して電気をつける。

萌歌はコーヒーを淹れ、俺はパンケーキを作るために

材料を冷蔵庫からとる。昨日のうちに作っておいた生地を

焼くだけで完成である。

焼けたパンケーキをポンポンと皿の上に積み重ねていく。

先にコーヒーが入れ終わった萌歌はマグカップをテーブルに並べ

テレビをつけていた。

『今日から都内で開催されるアニメ、ハイドロマグナのコラボカフェ

が3時間後に開催されます!グッスの購入のためにもどうぞお早めに!』

「おい萌歌パンケーキできたけど何枚…」

出来上がったパンケーキをテーブルに運ぼうとすると、

萌歌が章の胸ぐらを掴む。

「章。入社手当。今日行く。」

テレビを指差して目を輝かせる萌歌に章は考えた後

「今日は暇だし…あのバカ二人は実家で説教中だから…行くか!」

パンケーキを口に詰め込み、カバンと財布、トートバックを持った章と萌歌は

借家のマンションを出ていった。

コラボカフェが入っているビルに入る。

現在時刻はまだ9時半。コラボカフェは40分からの開始だが、

マンションが近かったことから、並んでいる人数は7,8人程度だった。

店の列に並び、ホームページの情報を見る。

「章…!見てコレ…!マグナ様の裂開カレーだって。」

「いや…フリスティン大差のメロンシェイクも美味そうだぞ。」

列の中で微笑ましく笑う二人を見て列に並ぶお姉様方は思った。

(両思いの良いヲタップルじゃねえか…。)

やがて開店時間になり、客が少しづつ増えてきた。

「すいませーん。」

「はい!注文はお決まりでしょうか!」

「フリスティン大差のメロンシェイク2つと

マグナ様の裂開カレー1つ、あとメドギナのバーガーセット1つで。」

注文を終えた二人は店の注文タブレットでグッズを

買うことにした。

「まずはフリスティン大差とマグナ様のアクスタは必須だな。

後はクリアファイルと…。」

「このミニフィギュアコンプリートセットは?」

「お!良いな。テレビの前に並べても良さそうだな!」

バカスカとグッズを頼む二人を見て

お姉様方と店員は思うのだった。

(彼氏スゲーーーーーーーーーーーーー!)

「おまたせ致しました!メロンシェイク、バーガーセット

カレー、以上でお間違い無いですね?」

「はい。ありがとうございます。」

到着した料理に手をつけようとした章の手を、萌歌がスッと止める。

「章。ブツを。」

「…忘れるところだった。」

鞄の中をゴソゴソと探って、中から出てきたのは、二人の推しキャラの

人形が出てきた。

「よろしい。」

二人は人形を料理の横に並べ、スマホで撮影していた。

その時間約10分。

「さて。そろそろ食おうぜ。」

「そうだね。」

料理に手をつけた二人の顔は笑顔で溢れていた。

「そういや限定コースター4っつ付いてくるんか。」

「帰って開けよう。」

口をカレーまみれにした彼女と口周りがバーガーのソースで

べとついている彼。

『口周り拭いといとけよ/いてね。』

『…あ。俺/私も付いてたわ。』

クククッ。フフフッ。と笑う二人の姿をレジ前で見ていたお姉様方は

(永久的に幸せで果ててくれよ。)

と思ったとか思わなかったとか。



二人の試練は7月の出来事となるのをまだ知らずに。










番外編エピソード 終わり。











次回 新章 開幕。

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