第3話 謎の鳥と危険な刀。

チャイムが鳴り、教室の中が騒がしくなる。

前日から転校生の話題で持ちきりだが、正直どうでもいい。

萌歌や僕のような三軍陰キャからすれば来た日から少しアイドルのような

扱いを受けるヤツに近づこうもんなら他の一軍がそれを許さないに決まってる。

「おはよ。章。今度公開の映画見に行かない?」

「そう言うと思いましてチケット予約済みですわ。」

「流石だね。」

今日も変わらず二人で向かい合ってゲームアプリを開く。

痛いキャラの俺よ。見ているか。これが友達だよ。

中学の頃であのキャラを辞めたのは正解だったと今では思う。

裏口を叩かれている時期もあったが、気にしなかった。

僕が僕でありたかったから。

でもその自分のいいところだけが残ってこうした仲間ができたのだから

文句は言うまい。

「章。そこの石拾っといて。」

「りょ。俺はあの魔導書だな。」

平和で平穏で楽しい。こんな学校生活をあと二年続けていきたい。

大学はもう自由みたいなものだろう。今はそんな考えだ。

カーテンが風で揺れる。まだ暖かいこの季節はとても

過ごしやすくて好きだ。ゲームのボスを倒し、少し体を

伸ばす。肘を太腿に乗せてやっているので、背がどうしても猫背になってしまう。

ふと窓を見ると、鳥がとまっている。体は青色で異様な雰囲気と謎のマークが

浮かび上がっている。何かが反射してるのかと目を凝らして見た。

「鳥留術。時間遊戯。ときのたわむれ

章の耳に入り込んだ謎の言葉とともに鳥が光り輝く。

「っ!萌歌ふせろ!」

萌歌をかばうように抱きしめ、目をつぶる。

「え」

一体何なんだ?一旦先生が来てから聞けば…。

何で他の生徒の声が聞こえないんだ?

おそるおそる目を開けてみると。

目と鼻の先に全長二メートルを超えるであろう刀があった。

素早く体を横に移動させ、刀を避ける。

「何だこの刀…てか萌歌は何処行った?」

周りを見渡してもさっきまで近くに居た萌歌がいない。

白い壁に囲まれているような空間になっており、

学校では無いところにいるいうのは分かった。

「探しものはこれかな?」

後ろから聞こえた声に体を向けると、

先程と同じ刀が顔の前まで飛んできていた。

今度は躱しきれず、頬に傷をつけて壁に刺さっていった。

刀の飛んできた先を見ると、謎のコートを着た男が

十字架に磔にされた萌歌を抱えていた。

「お前はどうしてもいい命令なんでね。ちょっとサンドバッグにするわ。」

「めんどくささと命の危険を察知してるよ。この瞬間。」



次回 謎の女と章の秘密

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