第8話
ビクトリアがアニエスを調教している時を同じくして――
王立学園には、普段通りのアニエス・フォロが攻略対象者たちと仲良く過ごしていた。
「アニエス、今日も可愛らしいね」
「そ、そんなことないですよ~……あのー……これ」
とアニエスが持っていたバスケットの中身を差し出す。
「おお、今日もありがとう」
と側近が毒見した後にアニエスが持参したクッキーに口をつけるアラン。
「うん、いつも通りおいしいね」
「ありがとうございますっ!」
アランはクッキーの味に満足している。
いつもアニエスが差し入れしているものと、同じ味のクッキーに。
「――殿下」
その声を聴いた途端に、さっきまでの表情が一変して嫌そうな顔になるアラン。
「何の用だ。ビクトリア」
「いつも仰っていますが、あまり一生徒と仲良くなさるのはおやめください。彼女の将来のためにも――」
「うるさいな! 相変わらず醜い嫉妬心だな! 見苦しいぞ」
殿下に抱きかかえられているアニエスは、いつもと変わらずに怯えているように見える。
一瞬だけアニエスとビクトリアの視線が交差するが、攻略対象たちは気付かなかった。
アニエスが攻略対象たちに接近した時から変わらず繰り返されてきたこのやり取り。
ビクトリア・ロレーネとアニエス・フォロを中心にしたこのやり取りに、攻略対象をはじめとして、学園の生徒たちは、誰も彼女たちの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます