第6話
「この世界は乙女ゲームとは違うのよ。ここ以外にも国はあるし、様々な文化もあるの。魔法もね」
「あんたも転生者だったのね!?」
「ええ。そうよ」
「だったら分かってんでしょう!? あんたは悪役令嬢であたしはヒロインなの!? あたしは乙女ゲームの主人公よ!?」
「乙女ゲームではそうね。……でもここは現実よ」
「はぁ?」
とまだわたくしの言ってることが理解できないアニエスは首をかしげている。
「わたくしも、あなたも、殿方も、みんなこの世界に生きているのよ。創り物ではないわ」
「そ、そんなこと……」
アニエスはそのあとの言葉が言えずに言い淀んでいた。
やっぱりここがゲームの世界だと思ってたのね。
「まあそんなことはどうでもいいわね」
「っ!?」
わたくしが今からやろうとしていることの前では些事ですわね。
「あなたが乙女ゲームを攻略してるんですもの。わたくしだって、攻略してもいいわよね?」
「アラン様言ってたもん! あんたのことが鬱陶しい。あたしと結婚してくれるって。もう攻略済みなんだからね!」
「だれがあんな阿呆を攻略すると言いましたの?」
「へっ……?」
「そもそもわたくし、攻略対象全員好きではありませんの」
「じゃ、じゃあ誰なのよ……」
「そんなの決まっているじゃありませんの」
乙女ゲームの魅力的なキャラで――
豊満な体で周りを誘惑して――
反抗的で生意気で上級貴族にもケンカ売ってきて――
調教しがいのある――
「あ、な、た……ですわよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます