昆虫標本 第二話
正直、間近で見て恐怖から身が縮まる思いだった。
“あんな大アゴで咬まれたら、俺はどうなってしまうのだろう“
そんな事も一瞬頭を過ったが、記者として何か掴んで帰りたいという思いから、震える足を叩いて気合いを入れると巨大アリの跡を追った。
巨大アリはコの字になった校舎の真ん中の一番長い廊下の端まで歩いていた。
俺はその廊下の反対側の端から静かに、跡を追いかける。
ほどなくして、巨大アリは角を曲がった。
音を立てると気づかれ、襲われるかもしれない。
そんな恐怖を感じながら、静かに距離を詰める。
ゆっくり慎重に、突然襲われた時逃げ込む教室の扉も確認しながら。
巨大アリが曲がった角まで来た。ゆっくりとその先を覗く。
しかし、巨大アリの姿はない。
角を曲がるとすぐに左手に階段があった。
1階へ降りる階段と3階へ昇る階段。
階段には誘導灯の灯りがある。
どちらかへ行ったのは間違いなさそうだ。
よく映画だったら、上から降ってきて襲われる事が多い。
となれば、まずは3階から。
いつ遭遇するかもしれない巨大アリに身構えながら3階へと進む。
踊り場を過ぎ、ゆっくりと3階へ。
結局、3階を調べたが巨大アリは見つからなかった。
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