人体模型 第五話
“あ!“
俺はある事を思い出した。
“教育実習生の波戸山紗弥香先生!“
堂上先生とは違い初々しさのある美人の先生、色気は堂上先生には劣るが、歳が近い事もあり女性として意識していた。
何故、紗弥香先生が出てきたかと言うと、先生はこの高校の卒業生であり、新体操部に所属していたと話していた。
それに先ほどのハイヒールは紗弥香先生が履いているものだった事を思い出した。
そして俺はさらにとんでもない事に気がついた。
その時は、なんとも思っていなかったし、興味もなかったので真剣に見ていなかった。
それは堂上先生の授業で、紗弥香先生は教壇に立っていたのだが、人体模型を使った2回の授業に紗弥香先生はいなかった。
いや、いたのだ、俺たちの前に人体模型として。
人体模型の中に入り、俺たち生徒の前に晒されていたのだ。
だから授業の時、姿が見えなかったと考えればすべて合点がいく。
皮膚を脱がせたり、血管を脱がせたりする時も堂上先生が体のパーツを動かす時、妙に円滑だった事はなんとなく見ていた俺も覚えている。
その時はよくできたマネキンが入っているぐらいしか思わなかった。
それはそうだろう人体模型のなかのマネキンが紗弥香先生なのだから。
俺の考えが一つにまとまった時、人体模型がロッカーを開けようとして、扉を叩き始めた。
ロッカーに閉じ込められた事に気づき焦りはじめたのだろう。
俺は条件を人体模型に突きつける。
「出してあげるのと引き換えに人体模型を全て脱いで顔を見せて下さい」
俺は続ける。
「YESならノックを2回、NOなら1回扉をノックして下さい」
「聞こえましたか?」
俺の問いにノックが2回返ってきた。
もう一度質問する。
「人体模型を全て脱いで顔を見せてくれますか?」
人体模型は俺の質問にはすぐに回答しない。
少し時間を置いて、扉が2回ノックされた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます