幕間 美桜③(※この女、ドスケベにつき)

 美桜がを見たのは今日が初めてだった。

 話には聞いたことがある。美桜だって子供のままではないから当たり前だ。

 だけど、自分の目で見るのは初めてのことだった。

 しかもで。

 悠陽のがビッグになっているのを目撃してしまった美桜は硬直してしまい、浴室のドアが閉められた音で我に返る。


(お、おち……おちん……っ……あれが……)


 脳がくらくらする。

 懐中電灯が手から零れ落ちる。そのまま美桜は脱衣所の床にへたり込む。

 腰が抜けていた。

 

「はーっ……はーっ…………」


 息が荒い。

 ほっぺたを触ると、焼き立てのパンくらいに熱々だった。


(………………見間違いじゃない…………よね?)


 明かりに照らし出されたは脳の奥に鮮烈に焼き付いてしまったくせに、いざ思い出そうとするとモザイクがかかったようになる。

 先ほど見たときの感想だけが頭でリフレインする。


(うゎ……でっか……)


 浴室のドアを、その向こうの悠陽を凝視してしまう。

 床に転がった懐中電灯が曇りガラスを照らすけれど、中までは見えない。

 と、悠陽が動く気配がして。


「わ、私、リビング、もどる……!」


 美桜は四つん這いになりながらわたわたと居間へ退避した。

 手探りで見つけた毛布にぐるぐると包まった。


(ゆ、ゆう兄ちゃん……興奮してた……ってことだよね。もしかして……私に……?)


 美桜とて二十歳の女子だ。

 性の知識が皆無なわけではない。

 多くの男子が異性に欲情して膨張してしまうことを知っている。

 なんなら、自分の発育が良いことも、男子からで見られている事にも気づいてはいる。


(でもまさか……ゆう兄ちゃんが……)


 よく知らない他人から向けられるそういう視線には良くも悪くも慣れてしまった。嬉しくはない。それでも慣れざるを得なかった。

 けれど悠陽は。

 悠陽からそんな目を向けられるというのは────


(あ、あれ? 案外悪くないかも)


 予想に反して嫌な感じがしなかった。

 美桜は胸に手を当てる。

 自分ではあまり好きになれない、大きな胸。

 その奥の鼓動を感じ取る。


(どうしてだろう。イヤじゃないどころか)


 美桜の心臓は嬉しそうに早鐘を打っていた。

 

 どうしてもこうしてもない。

 冷静に考えれば当然のことだった。

 なぜなら。


 

 この女、自らの行動ドスケベは棚に上げていた!

 自分でも知らないうちに、彼女は暴走を始めていたのだ!

 

 美桜は毛布にぐるぐる巻きになりながら、弾む胸に手を当てる。



(私、どうしての? 誰か……誰か教えて……!?)






_____

 どなたか、教えてあげてくれません……?

 いつもフォロー、★評価、♥応援、💬コメントしていただきありがとうございます!

 ますます熱くなっていく二人のラブコメ、今後もぜひお楽しみください( ˘ω˘ )

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