第3話冒険者とは
「ねぇねぇにぃに! あっちであそぼー!」
午前中の勉強時間が終わり、自由な時間となる。
勉強の時間が終わった途端、妹はさっそく俺の腕を引っぱって遊ぼうと誘ってきた。
「ごめんね、ナモミちゃん。
お兄さんは今からお仕事でお勉強をするのよ」
「おしごとー?」
「ええ、そうよ」
「そっかぁ……」
「じゃあ、わたしもいくー!」
「ダメよナモミちゃん。
ギルドはね、子供だけじゃ入れないのよ」
「えー、なんでー?」
「それはねー……」
ギルドは基本的に10歳以下の子供は立ち入り禁止となっているらしい。
なぜなら子供の死亡率が極めて高いからだ。
この世界では10歳までに子供が死ぬ確率が7割にも上るという。
これは別にこの世界だけの話ではない。
日本でも子供が亡くなるのは大体3歳までだ。
しかし、なぜ子供は死んだり怪我をしやすいのか。
これは筋力が未発達で体力もないからだ。
魔物に出会えばまず逃げ切れずに殺されてしまうし、大人と出会おうものなら一方的に殺されるだけだ。
だからこそ10歳までは保護者がしっかりと見守ってあげなければいけないのだろう。
「うー……じゃあ、まちのそとでまってる」
「いい子ね、ナモナモちゃん」
「ん? ああ、ちょっと待って」
俺はアイテムボックスから鉄鉱石を取り出してそれを1個ずつ2人に手渡した。
「なぁに、これ?」
「あげる。
お守りにでもしてよ」
「え? いいの?」
「もちろん。
2人のために採ってきたんだからさ」
「わーい、やったー! ありがとう、おにーちゃん!」
2人は俺が渡した鉱石を嬉しそうに受け取ってくれた。
やはり、子供は笑顔が似合う。
さて冒険者ギルドに着いた俺たちは早速受付で登録手続きを始めた。
「すみません、冒険者登録したいんですけど」
「はい、かしこまりました。
ではこちらの用紙に必要事項をご記入ください」
と受付のお姉さんから一枚の用紙が渡される。
ええと、なになに? 名前や年齢などの他に使える魔法属性とか得意武器とか書く欄があった。
……しまったぁ。
俺って今、無職だったわ!
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