第6話:密の重大なひそかなこと。
「僕の祖父の書斎には興味をそそる書籍がたくさんあってね・・・」
密の祖父の書斎には長年収集してきた様々な本が壁の本棚一面に並んで
いて本棚に収まりきらない書籍が山積みにされていた。
数ある本の中でも密は魔術や天使や悪魔に関する本に異様に関心があった。
その手の本は祖父から読むことは固く禁じられていた。
結局、雑多に山積みされた本の整理もできないまま祖父はこの世を去った。
祖父が亡くなったことは悲しかったが、それよりも祖父の書斎で好きな本を
読めるようになったことは密にとって嬉しいことだった。
そして密が一番興味をそそられたのは悪魔の存在や歴史、悪魔を呼び出す
呪文などが書かれた本。
これは開いてはいけない禁書。
密はドキドキしながら、その悪魔について書かれた本の表紙をめくった。
表紙の裏に「ファリトゥス・デイ・ファルバトゥル・バラドル」と書かれてあった。
密にはその意味は分からない。
その意味は《一度戒めが解かれたら世界が終わるまで》そう書かれてあった。
そして、いちページ目に子供でも読める文字で呪文らしき文字が刻まれていた。
最初密は呪文を口にせず本を閉じた。
だが、数日経ってもそれがずっと気になって結局我慢できなくなった。
それも、もしかしたら呪文による誘惑だったのかもしれない。
密は本のを開くと、恐る恐るその呪文を読んだ。
内心では、とんでもないことが起きたら怖いなって思いながら・・・。
半信半疑だった・・・でも好奇心が優先した。
その呪文はこう書かれてあった。
《我は汝闇の魔族たちを呼び出す・・・
悪魔サタンの偉大なる力によって、汝よ直ちに遅れることなく、
純粋な姿で我がもとへと現れよ。
我が汝に命ずる・・・その全てに応えるために永久に燃え尽きることのない
業火のもとに我と契約を結ばん》
書かれたとおり読んだが、しばらく待ってもはなにも起こらなかった。
あ〜やっぱり・・・これはうそ?・・・密はそう思った。
で、本を閉じようとした時、背後から男の声がした。
「俺を呼んだか?」
密はびっくりして振り返るとそこに一人の男が立っていた。
「ちまきちゃん・・・それがすべてだよ」
「僕はね、開いちゃいけない扉を開いちゃったんだ」
「結局さ、祖父の書斎は火事で焼けちゃったから魔族を封印する書籍も
その時一緒に燃えちゃっただろうからもう魔族を封印することはできないんだ」
「だから今は現れる魔族を駆除するしか方法がないんだよ」
「僕のせいで僕の両親も魔族の犠牲になっちゃたしね」
「分かってくれた?ちまきちゃん」
「魔族がこの世に現れる限り奴らを倒すことが僕の責任だし宿命なんだ」
「そうなんだ・・・私、密のこと誤解してた」
「ちゃらちゃらして、たいして苦労もしないで好き勝手に生きてるノ〜天気な
人なんだって思ってた」
「好き勝手に生きてるノ〜天気な人って・・・ひどいよ、ちまきちゃん」
「でもそんなノ〜天気な僕だけど愛してくれる?」
「うん・・・私ますます密かのこと好きになっちゃった」
「魔族とともに生きてるのに?」
「それはちょと心配だけど魔族がこの世にいなくても避けられないアクシデント
だってたくさんあるよ」
「世界のどこかで戦争だってしてるし・・・たくさん人が亡くなってるからね」
「たとえ魔族がこの世にいなくても人が生きてる限りいつの時代でも争いが
絶えることなんてないんだよ」
「それにこの世に魔族なんてものがいることなんか誰も知らないでしょ」
「そうだね、僕ひとりができることなんかしれてるしね」
「でも、君を守ってあげることはできるよ」
「だからね、僕はここでちまきちゃんを守りながら生きてくことにする」
「私もそれを望んでる」
密・・・これからだよ、君を向こうになんか帰えなさい。
あなたは大切な存在・・・私の愛するペパーミント男子なんだもん。
一生ね。
あ、そうそう最中ちゃんもすくすく育ってるよ。
END.
私のペパーミント男子。 猫野 尻尾 @amanotenshi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます