第5話:傷ついた密。
私を乗せた椅子は、無事私を家まで送り届けてくれた。
でも私は事故現場に残った密のことが心配だった。
「密、大丈夫かな?」
「私には魔族って見えないから、なにが起きてるのかさっぱりだよ」
「密って普段は、軽いのに、いざとなると大変な使命を負ってるんだね」
それから一時間経っても密は帰ってこない。
とっても心配・・・。
「私にはなにもできないから待ってるしかないんだよね」
「あ〜胸が苦しい・・・私、密に恋しちゃってるから余計だよ」
なにも手につかないまま、私は密が無事で帰って来てくれることを祈った。
そしたら玄関の外で物音が・・・なにかが倒れるような音。
「もしかして、密?」
すぐに玄関ドアを開けた。
そしたらドアの前にうずくまってる密がいた。
肩で息を切らして・・・服も破れていて顔や腕もあちこち傷ついてるみたい。
「密・・・なにがあったの」
「ちまきちゃん・・・ちょっと手こずったみたい」
「あいつらの他にやたら強い奴がいて僕も手傷を負っちゃった」
そう言うと密かはその場に倒れこんだ。
「密・・・密ってば・・・」
密をそのままにしておくわけにはいかないから私は重い彼を引きずって
リビングのソファに密を寝かせた。
「ちゃんと呼吸してるし脈もあるから大丈夫ね」
私は密の傷の手当てをして彼をベッドまでひ〜こら言いながら運ぼうと
思ったら密が目を覚まして自分で歩いてベッドまで移動してくれた。
「ちまきちゃん・・・僕と一緒に添い寝して」
「君のマナ「愛」を僕に分けて・・・」
「分かった・・・ずっとそばにいるからね、安心してね」
そうこうしてるうちのお父さんとお母さんが帰ってきた。
だから一応なにがあったか事情だけ説明しておいて私は次の朝までずっと
密かに寄り添っていた。
(私は君の横にいるだけでいいの?なにができるの?)
密かは目覚めることなく死んだように眠った。
眠ることによって体力を回復してるのかな?
密は私の中にあるマナって超自然力とかで、自分の体を癒してたみたい。
私は彼のぞばにいてあげるだけでよかった。
マナはどこにでも潜んでいて癒しと治癒をもたらすらしく、密の場合は一番
身近な私・・・愛の籠ったマナが彼には一番効果的みたい。
マナについては元気になった密が教えてくれた。
マナはこの地球自体にも、人間にも動物にも植物にも存在するんだって。
私の添い寝がよかったのかマナの効果があったのか・・・お昼を過ぎる
頃には密は元気を取り戻した。
「ちまきちゃん・・・君がいてくれてよかった」
「もし君がいなかったら、僕ヤバかったかも」
「元気になってよかった・・・心配したんだからね、もう」
「だけど、そんな危険を冒してまでどうして魔族とやらと戦わなくちゃ
いけないの?」
「そうね・・・あいつらは僕にとって憎んでも憎みきれない最悪な連中だからね」
「実はね・・・僕の両親とも魔族に殺されたんだ」
「え〜そうなの?」
「だけど最初にその原因を作ったのは僕なんだ」
「それ、どういうこと?」
「僕が幼い時の話だよ・・・思い出したくもない話だけど・・・」
「ちまきちゃんになら話してもいいかな・・・」
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます