第4話:学校についてくるペパーミント男子。

「ちまきちゃん、今日から君が学校へ行く時は僕もついて行くからね」


「え?なんで?」

「人には見えないけど魔族が、そのへんにうようよ徘徊してるからだよ」

「この世界にも魔族が入り込んでるからね」


「それほんと・・・知らないのって私たち人間だけ?」


「そうだよ・・・まったくのノ〜天気だよね」


「交通事故とか電車の脱線事故とか飛行機の事故とかね、あれはぜんぶ魔族の

仕業なの」


「僕は普段は僕の世界で人に害をなす魔族を駆除するのが本来のお仕事」

「だから、ちまきちゃんが外出する時は僕がついていくから」


「そうなんだ・・・ただの執事さんかなんかかと思ってた」

「まあ、それもお仕事だけどね」


「じゃ〜生こうか?・・・学校」

「今日は公共機関は使わないからね」


「え?歩いていくつもり?」


「ノ〜ノ〜」


密が指パッチンするとどこからともなく現れたのはフランスの代表的な

サロンチェアみたいな豪華な椅子。


「はい座って、ちまきちゃん」


「なに?この椅子に座ってどうしようっていうの?・・・まさかだけど」

「この椅子、空飛んだりしないよね」


「いい線いってる、ちまきちゃん」

「いいから、座って」


私が恐る恐る椅子に座ると密は私の後ろに回って椅子の足の横桟よこざんに片足を乗せて背もたれの装飾された両方の柱を手で持つと


「飛んで・・・エリザベスちゃん」


そう言うと椅子が自然に宙に浮いた。


「わわわ・・・浮いた」

「こ、こ、この椅子シートベルトとかついてないの?」


「そうですね、我が家に伝わるかなりの歴史ある椅子だからね」

「大丈夫、前に乗り出したりしなければ落ちたりしないから・・・」


私はそうやって空を飛んで学校に通学して行ったの。

なんかおとぎの国の出来事みたい。

信じられない出来事よね・・・でも密を見てるとそれも不思議とは思わないのが

不思議。


で授業がはじまって、密か教室の隅に椅子に座っていたけど先生もクラスの誰も

密かに気づかない。

私には密が見えてるのに?・・・なんで?


私以外の人には姿を見えなくしてるんだ。

そんなこともできちゃうんだ・・・器用なペパーミント男子。


授業はつつがなく終了して、私はまた椅子の乗せられて家に帰った。

帰りは私も余裕だったから慣れると空から見る景色もまんざらじゃない。


そしたら信号のある交差点で車どうしが事故を起こしてるのが見えた。


「密・・・・事故だよ」


「魔族のしわざだね・・・4体ほどいるのが見えるから」

「ちょっと降りるね、ちまきちゃん」


密は事故が起きたあたりに少し離れて私が座ってる椅子を下ろした。


「あいつら、放っておいたらさらに災いをもたらしそうね、駆除しないと」


「私にはなにも見えないけど・・・」


「あいつらが見えなくしてるだけだよ」


「ちまきちゃん・・・不安かもしれないけど君、ひとりで、このまま先に

帰っててくれる?」

「僕がいなくても椅子が勝手に家まで連れてってくれるからね」


「密はどうするの?」


「私は災いをもたらす魔族を駆除する役目があるからね、たとえ人間界でも

僕の世界でもそれは同じ・・・」


「大丈夫だよ・・・すぐに終わらせて僕もすぐに帰るから」


つづく。

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