第3話:居座ってしまった密。
そんなやりとりをしてるところに両親、大福とわらび帰ってきた。
見知らぬ青年が家の中にいたので、両親はいぶかしそうに密を見た。
だから私はお父さんとお母さんに密を紹介して、さっきまでの事情を説明した。
「え?最中ちゃんを連れ戻しに来たんですか?」
母親がそこに反応した。
やっぱりそこだよね・・・。
「どうしようかなって・・・最中ちゃん、もう菓子乃家の子になっちゃってる
みたいだし・・・」
「連れて帰るより、ここの方が環境よさそうだよね〜」
「それに最中ちゃん、誘拐されたのこれで10回目だしね・・・」
「ここにいたほうが安心安全かな・・・」
「え?10回も誘拐されてるの?」
今度は私が反応した・・・。
「僕が最中ちゃんは見つかりませんでしたって報告したほうが最中ちゃんに
とってはいいのかもね?」
「そんなことしていいの?」
「だって最中ちゃんは見つからなかったんだもん、ちまきちゃん」
「それにさ、僕も自分の世界に帰りたくなくなったし・・・」
「え〜だって、執事のお仕事は?、放棄していいの?」
「そうね〜それもそろそろね・・・飽きてきたし」
「僕も最中ちゃんと一緒にちまきちゃんちにお世話になろうかなって思って・・・」
両親は突然の密の発言に目を丸くしていた。
まあ、両親からしてみれば、最中ちゃんを向こうの世界に連れ戻されることが
ないのなら、密の意見には賛成だった。
「そういうことなら・・よろしくお願いしますね、いおいきべ?さん」
「密・・・そう読んでください、ママさん」
「え?ママさん?」
「あ、ママさん苗字呼びにくいですからね・・・密で」
「ご自分の息子だと思って・・・」
そう言われてお母さんは分かりましたってうなずいてた。
そんなわけで両親は密を大歓迎でもないけど不承不承だけど迎え入れたの。
でも、密は器用なデキメンで家事手伝いをやってくれることになった。
お母さんは大助かり・・・しかもお母さんより料理上手だし・・・。
密がご飯を作るようになってみんな前よりたくさんご飯を食べるようになった。
ペパーミント男子にエプロン、エプロンなんかするとまじで女の子みたい。
もし髪が下に長かったら絶対女の子と間違われると思う。
って言うか、まんま見た目、女の子だよね。
「お世話になっていてVIP待遇じゃ申し訳ないでしょ」
って密は言った。
「それに、なにかしてないと暇だし・・・」
「僕のちまきちゃんは昼間は学校だしね・・・」
「僕のって・・・僕のってなに?」
「ちょっと言ってみただけ・・・」
「ちまきちゃんがどういう反応するかなって思って・・・」
「私はあなたのものじゃないからね」
「勝手にそんなこと決められても困るんだけど・・・」
「まあまあ・・・仲良くしようよ、ちまきちゃん」
「ラブラブしてって、そこまでまだ言ってるわけじゃないんだからね」
「なに?ラブラブって・・・」
「ラブラブはラブラブ・・・愛し合うもの同士のラブラブ」
「ハグしたりチューしたり・・・」
「なに言ってるの・・・そんなこと」
「ちまきちゃんって・・・普段でも可愛いけど、怒った顔も可愛いよね」
「からかwないの」
「みんな可愛いって思ってるけど口に出さないだけだよ・・・」
「悪いことや噂は口にしても、いいことや素敵なことって人はなかなか話題には
出さないもんだよ、ちまきちゃん」
「僕がちまきちゃんの同級生なら絶対、君を放っておかないよ・・・」
「とっくに告ってると思うけど・・・」
「だからさ、さっそくだけど僕の彼女になってってお願いしてもいい?」
「はあ?・・・彼女?・・・速攻だね、まじ呆れる・・・」
「真族ってそんなに女子に手が早いの?」
「うん・・・まあ僕はかなり早いほうかな」
「もたもたしてたら、想いを寄せた子は誰かに取られちゃうでしょ、恋の世界も
弱肉強食なの・・・」
「答えはイエスかノーだよ、単純だよ」
「ちまきちゃんは僕にイエスって言うだけでいいんだから・・・」
「そんなこと言われたって私、まだ密のことなにも知らないんだよ・・・」
「こういうことってお互いのこともっと知ってからじゃないの?」
「僕だってちまきちゃんのこと知らないよ・・・」
「だからもし、ちまきちゃんの性格がねじ曲がってたら、それは僕に君を
見る目がなかったってこになるんだから・・見抜けなかった僕が悪いって
ことになるよね」
「ん〜それはちょっと違うと思うけど・・・って私、性格捻じ曲がって
ないからね」
「僕もそう思ったから告ったの・・・」
「だからちまきちゃんの答えはイエスでいいよね・・・そうだよね」
「優しそうな顔して人の気持ちは無視してめちゃ強引・・・そういう性格
なんだね君は・・・真族くん」
ちょっと変わったペパーミント男子。
密との暮らしがはじまって私は少しづつ密の不思議な魅力にハマっていった。
つづく。
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