第2話:別の世界からやってきたって言う真族。

で、いきなり菓子乃かしの家にやってきた「五百旗頭 密いおきべ ひそか」って名乗った人・・・真族だって言う。


「なかなか素敵なお家ですね、ちまきちゃん」


「あ、ありがとうございます・・・あの、ひ、ひそかさん」


「さんはいらないからね、ちまきちゃん、密って呼びすてでいいから」


「はあ・・・それじゃ・・・」


「じゃ〜私のことも、ちまきでいいです」


「君は女の子だから・・・ちまきちゃんでいいの」


ひそか・・・それはそうと私のうちにどんな御用でいらっしゃったんでしょ?」

「そうそう、そのことだけど・・・ちまきちゃんちに最中ちゃんて赤ちゃん

いるでしょ?」

「ちょっと探すの苦労したけど、見つけちゃった」


「あの、最中ちゃんになんのご用ですか?」


「最中ちゃんは音色ちゃんちで大事にしてもらってるみたいだね」

「実は僕は最中ちゃんを引き取りに来たんだ・・・」


「でもちゃんと説明しなきゃ分かんないよね・・・」

「僕はねこの世界とは違う異世界から来たの・・・異次元にはこの世界以外にも

同じような世界が無数に存在していてね」


「その世界では僕は真族・・・真族って悪魔とかの魔族とは違って」

「真族っていうのは、どっちかって言うと、その悪魔のほうを排除する役目を

負ってる種族なんだ」

「僕の世界では僕たち以外の普通に魔族「悪魔」も存在するからね」


「僕はその世界の中のクロッカンブッシュってところからやって来たの」

「僕が住んでるお屋敷は大金持ちの家系で、僕はそこで執事兼執務一般を

預かってるの」


「でね、そこの娘さん、つまり最中ちゃんのことだけど・・・」

「ある日、最中ちゃんが悪い人たちに誘拐されちゃって」

「もしかしたら魔族の仕業かもしれないね」


「魔族は僕のご主人様の家系とは昔から確執があったからね」

「一見平和そうにやってるけど、その遺恨は長いんだ」


「で、いろいろ探したんだけど、僕たちの世界にはいないってことが

分かってね、で、別の次元を調べたら、この世界、しかも音色ちゃんの

家にいることが分かったの」

「最初は身代金要求されてたんだけど、めんどくさくなった犯人が最中ちゃん

を別の世界に放置したまま消えちゃったみたいで」


「だから、最初はちまきちゃんちの誰かが最中ちゃんを誘拐したのかなって

思っちゃって・・・」

「だから、調べさせてもらったの」

「そしたらまあ、アットホームなご家族ってことが分かってね」

「そんなご家族のところに最中ちゃんがいるなら安心かなって思って」


「ここまで、掻い摘んで話したけど分かった?ちまきちゃん」


「うん、分かった・・・それでうちへ来たのね?」

「そう言うことなら・・・さっそく最中ちゃんにお会いになります?」


「そうだね・・・最中ちゃんがいることが分かったし、慌てることも

ないかな・・・だからその前にコーヒーでも入れてくれない? 」

「僕、大急ぎでこの世界に来たから、ちょっと一息入れたいの」


「あ、はい・・・分かりました、ちょっとお待ちください」


「なんか硬いね、ちまきちゃん・・・」


「え?、なにが高いんですか?」


「スカイツリーが・・・って・・・そうじゃなくて・・・」

「高い・・・んじゃなくて硬いって言ったの」


「あ〜硬いね・・・ってなにが硬いんですか?」


「君のしゃべりかた・・・硬いから・・・僕とはタメで話さない?」


「でも、さっきお会いしたばかりで、タメグチは失礼でしょ」


「だからもう知らない同士じゃないよね、僕たち?」


「まだ会って、数分しか経ってないんですけど?・・・」


「一目会ったその日から、僕たちはもうベストフレンドなの・・・」


「え?、そんなに早く?」

「ん〜じゃ〜ま、そう言うことならいいですけど・・・」


「はい、そこは、いいよって答えてくれなくちゃ・・・だよね」


「・・・・」


「なによ、いちいち、どう喋ろうと私の勝手でしょって思ってるよね?」


「思ってません・・・あ、思ってないよ、そんなこと」


少しは思ってるけど・・・。


「ちまきちゃん・・・コーヒーは?」


「あ、はいはい、待って、今入れるから・・・」

「密さん・・・密が、私のしゃべりが硬いとかってどうでもいいこと言いだす

からだよ・・・」


「まあ、おしゃべりのほとんどは、どうでもいいようなことが多いよね・・・」

そう言って密は悟ったようにコクコクうなずいた。


つづく。


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