第6話 異世界にもツンデレは居るらしい
緑とオレンジのグラデーションが綺麗なドレス。
白髪のツインテールに、瞳孔に十字架の模様が入った眼。
外見の特徴を見る限り、間違いなくこの子もコービスと同じ
彼女は軽いため息を吐きながら心底あきれた顔でコービスの事を見ている。
「大体、パートナになんてもの食べさせてるのよアンタは」
「この料理を選んだのはセンロク本人だよ。ミミルにお節介焼かれる筋合いはないと思うけど?」
ミミルって言うのかこの子。
この感じ、多分コービスとの付き合いが長いと見た。
今のもうんざりって顔も腐れ縁にしか見せない特別な表情に見えてくるな。
「まあ良いわ。ここ座るわよ」
「お、ミミルもこれから食事?」
「アンタなんかと一緒に食べる訳無いでしょ」
ミミルはそう言うと対面の席へ座った。
言葉使いはだいぶ砕けてるけど、一つ一つの動作はやけに丁寧だな。
何というか、お嬢さまって感じだ。
「アンタが久しぶりにディスホールに来たって聞いたから顔見に来ただけよ」
「あれ~。もしかしてミミルってば私と会えなくて寂しかったの~?」
「ち・が・う・わ・よ!!だ~れがアンタの事なんか、このアホコービス!!」
ミミルはゼェゼェと一呼吸置くと、頭を抱えながら何かを呟き始めている。
なんかこう、見てるだけで面白い子だな。
「ねぇコービス、アンタそのドレスを着て何回戦ったの?」
「お、センロクの事が気になるの?」
「そりゃぁ、【花嫁修業】で一番最初に行うパートナー選びでずっと躓いてたアンタがやっと見つけたパートナーだもの。気になるに決まってるでしょ」
「それなら私とセンロクの出会いの物語からー」
「そう言うの良いから。何回戦ったの?そこが重要よ」
「えぇ……つれないね。センロクと一緒に戦ったのは1回だけだよ」
「そう、なら
そう言うとミミルはまた大きなため息をついた。
結局、この子何の為に俺達に声かけたんだ?
ボソボソと「あれをして」「これをして」って言いながらコービスと話してる様子を見る感じ、顔を見に来ただけって感じじゃないと思うんだが。
そんな事を考えながらミミルを観察していると、彼女の着ているドレスから声が聞えてきた。
「こらミミル。照れくさくなって本心を隠してはいけないよ。ちゃんと言葉にしないと相手に伝わらないだろう?」
「うわぁ。服がしゃべった?!」
「それ……君が突っ込むんだ。今のセンロクも同じ状態だからね」
コービスにそう言われてハッとする。
そう言えば
現に俺もその力でコービスのドレスになってる訳で。
いまミミルが着ているドレスも俺と同じように元となった生命体が存在するという事になる。
いや、慣れない!!
いきなり服から声が出てくるのは慣れねぇって。
「いやぁ、君の気持ち僕には良く分かるよ。ドレスとして過ごすというのは中々慣れない事ばかりだからね」
「あ、やっぱりそうなんですね」
「僕はミミルのパートナーをしている妖精のライルだ。よろしく」
「俺はコービスのパートナーやってるセンロクだ。種族は人間、よろしくな」
すっごい自然な流れで自己紹介。
ライルさん良い声してるな。
もうすっごいイケボ。
妖精とか言ってたし、自然と誰かを癒してしまう特性とかが有ったりするのかね。
「ちょっとライル。私の話遮らないでよ」
「君が回りくどい事をしているからね、これだけは伝えておこうと思ったんだ。いいかい、君はコービスさんを手伝う為にここに来たんだろう?君にとってコービスさんは唯一のライバルで、パートナー探しが遅れた彼女に
「ちょ!!」
ライルさんの言葉が止まらない。
そしてミミルの顔がどんどん赤くなっていく。
「もしかしてミミル、私の事結構大事に思ってくれてるの?」
「はぁぁ?!ばっかじゃないの。なんで私がアンタなんかを」
「ミミル、嘘をついてはいけないよ。君は
「ライルさんストップ!!ストップ!!」
何考えてんだあの妖精。
ミミルみたいな明らかツンデレタイプの本心をさらけ出すのは禁忌だよライルさん??
もしかして妖精の世界にはそう言う概念ないのか?
「ああもう!!いいかしらバカコービス。この私がアンタとアンタのパートナーに
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