たったひとつの願い事
勝利だギューちゃん
第1話
「ひまだ、ひますぎる」
今、僕はアパートの一室にいる。
自宅兼仕事場だ、
そう・・・
仕事兼。
ただ、仕事のしていない時は無職になる。
つまりは、作家。
最近は、アイデアにつまっている。
仕事を終わってから、次の仕事を始めるまでは無職なのだ。
まあ、数日だが・・・
『魔女っ娘マヤリン参上!』
な・・・なんだ?
眼の前に怪しげな女の子がいる。
「君は誰だ?どこから来た?」
「自分で呼んでおいて失礼な?」
「呼んだ?僕が君を?」
「確かに呼んだじゃない。私を」
嫌、呼んでいない。
マヤリンと名乗る、魔女っ娘という女の子は僕をみる。
「あなた、どこからどうみても、男よね?」
「女に見えるか?」
「詐欺じゃない。ネカマはよくないよ」
ネカマって・・・
「あなた、山下由美さんでしょ?願い事は何?ネカマさん」
「あのう」
「何よ、ネカマさん」
「山下さんはお隣。うちは泉。泉信夫」
「でも、アパートさとり荘の10号室って・・・」
「うちは9号室です」
固まる女の子。
「ごめん。間違えた。じゃあ、お隣いってくるね。」
消えた。
それだけか?
この話、いけるかな。
ドジな魔女っ娘の話。
尋ね人を間違えて、せっかくだからとその人の願いを叶えるという話。
うん。いけそうだ。
カキカキっと・・・
同時刻10号室にて
「これでいい?由美さん」
「うん。ありがとう。マヤリンさん」
「でも、健気だね。願い事が『大好きな信夫くんのために、アイデアを与えてくれ』って」
「私には、それしかできないからね」
「でも、いいの?たったひとつの願い事をこんな事に使って」
「うん」
「でも、どうせなら『彼を売れっ子にしてあげて』のほうが」
「そこは、彼の力でどうにかしないといけないからね。」
「『勝利は力で掴み取れ』と」
「大丈夫?」
『彼なら出来ると信じてる』
たったひとつの願い事 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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