第49話 デルおじ、作って欲しい2

「デルおじ、実はもう1つ、作ってもらいたいものがあるんだ」

「なんじゃ、まだあるのか?」

「うん。今度は、武器かな?」

「なんで、首を傾げる」

 それは、武器は武器なんだけど、当分は物干しざおに使おうと思ってるから。

「じゃ、説明するから、これ消すよ」

 ティティはそう断りを入れつつ、石板を布で拭こうとしたら、待ったがかかった。

「待て! その絵を写させろ!」

「う、うん、いいよ」

 顔恐いよ。すごまんでくれ、元から恐い顔が更に恐い。

 そうして待つ事5分ばかり。

 デルは羊皮紙に幅広水筒を写した。

「よし、これでいい。それで、今度はなんじゃ?」

「うん。これはすぐでなくてもいいんだけどね」

 そう言いつつ、三節棍を石板に描いていく。

「大人の身長くらいの高さの棒を3つに分けて、鎖でつないで、振り回して使う。それとともにそれを1つの棒として使うようにしたいんだよね。だから、関節部分はねじ式につなげられるようにしてね」

 ティティはさらさらと絵を注釈を書き加えながら説明した。

「今まで、見た事のない武器だな。これはお前が考えたのか?」

「え? いやあ? 行商人からちらっときいたような。ははは。確かこの国のものじゃないみたいだよ」

<うむ。この国から大分離れた傭兵の国で扱いがある筈だ>

 スヴァが心話で助言をくれるがそのままいう訳にはいかない。

 それこそ、なんで、こんなチビがそんな事知っているってなってしまう。

「まあいいわい。面白い武器だし、作りがいがありそうじゃ。しかし、扱いは難しいぞ。お前に扱えるのか?」

「まあ、すぐには無理だけど、不意打ちの武器としてはいいかなっと」

「そうだな。逃げる隙を作るにはいいかもな」

「そうだよね」

 そう、ティティはがりがりでとても戦う状態じゃない。けれど、危険は向こうからやってくるのである。なにかあった時に、この武器なら不意を付けるかもしれない。ティティが扱うには長すぎる武器だが。用途のメインは物干しだから。武器としてはおいおい使えればいいだろう。

「これは、いくらになりそう?」

「そうだな。大銀貨3枚か」

「うえっ! 高っ!」

「まあ、特注品だからな。どうする?」

 物干しざおに大銀貨3枚か。でもデルは腕のいい、職人だし。

 それに、この三節棍ちょっと、扱ってみたいのもあるんだよな。

 男としては、いやティティは女だけど、新しい武器っていじりたくなるよな

 ならば、支払えるように、働けばよい。

「お願いします! 支払いは後でいい? 今は持ち合わせがなくて。あ、ちゃんと支払うからね!」

「わかっとる。それでいいわ。そうだな。水筒が先がいいよな」

「うん!」

「なら、水筒は2日後、いや明日で大丈夫か。三節棍は1週間後だな」

「わかった。それでお願い!」

「おう!」

「それじゃ、私、お金稼いでくるよ!」

「気を付けていけよ!」

「うん! 今日からは、武器も使いやすくなったから、大丈夫!」

 ティティはホルダーを叩く。

「ふん! 世辞をいっても、負けてはやらんからな」

「はは、残念。では行ってきます! スヴァ!」

 相棒に声をかけると武器屋を後にした。

<うむ。これで、用事も済んだな。午後、丸々空いたな。ならば、行こうか?>

 やばい。スヴァは湖に行く気満々である。

「そ、そうだなあ」

 湖に行くか? 行くしかないか? 冷たいのやだよぉ!


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