第26話 今日も予定がいっぱいです

 翌朝。

 ティティはぱちりと目を覚ました。

 ベッドから窓の方を見ると、薄く日が差し込んで来ている。

「んー!」

 ティティはむくりと起き上がり、こきこきと肩を回す。

「よっしゃ!」

 それからぴょんとベッドから飛び降りると、枕元に準備していた服を着る。

 寝巻を脱いで新しい服に着替える。昨日来ていた茶色の奴だ。

 ぼろいワンピースは、風呂の時に洗って風呂場に干してある。一日あれば乾くだろう。

 家族につながるものは持っていたくはないが、自分ジオルではなく本来のティティが身に着けていた最後の品だ。大事にとっておきたい。

 下に視線をむけるとスヴァももう起きていたようだ。

「おはよう。今日もよろしくな」

 靴も履きつつ、声をかける。

「うむ。今日はどこに行く?」

「まずは朝食を調達しつつ、冒険者ギルドだな。できそうな依頼を受ける。採集だろうな。ランクあげてかねえと。それに昨日お金沢山使ったからな、稼がないとな。それから、デルんとこ行って、ホルダー見せてもらってから、それで時間があったら、リッシュの店も行きたいかな」

「ああ、布と糸か」

「そう! 安いのあるといいな!」

「昨日も思ったが、器用な男だな」

「おうよ! 俺は孤児院育ちだからな! 繕い物は元より、ちょっとした小物なんか問題なく作れるぜ! なんせ既製品は高いからな!」

 それに早起きは得意だ。孤児院では日のあるうちに何でも済まさなければないらないからだ。

「それから通行料を払いに行かねえとな。誰でもいいんだろうが、できればあの門兵のおっさんがいるといいな。あ、お礼に何か買って行こうかな。んー。とすると朝食を調達する時に、何か見繕うか、それともまたイリオーネさんに聞いておすすめの店を聞いてからにするか」

「それだけこなすには、早く出た方がいいのではないか?」

「そうだな! リュックを持ってと!」

 きゅるるるる。ティティの腹も急げと言っているようだ。

 ローブはどうするか。動きにくそうだしな。着なくていいか。

「じゃ、行こうぜ!」

 ティティは、スヴァに声をかけると、部屋のドアを開けた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る