第24話 デルおじ!ティ!
「まだ、時間たっぷりあるな。なら、デルコんとこにもう一度行くか?」
<ああ、ホルダーを頼むのか?>
「おうよ! 今から行ったら、明日には出来上がるかもしんねえからな」
<お主、また言葉遣いが雑になってきておるぞ>
「や、ついな。お前と2人だと思うと気が抜けちまって。ははは」
<早く慣れる事だ>
「わかってるって。ささ、早く行こうぜ!」
<言ってる傍から>
スヴァが大きなため息をついた。
「まあ、いいじゃねえか。男んふりしてるっつーのもあるからさ」
ティティはそう言いつつ、足を早めた。
言葉使いはすぐには治らないんだよ。
大目に見て欲しい。
「こんにちはー!デルおじ~!」
ティティは勝手知ったるドリムル武器屋に入った。
「おう、ティか」
ティティの元気いっぱいの声が聞こえたのか、すぐにデルコが奥から出て来た。
「ティ? 私はティティだよ?」
「2つ言うのも面倒だ、俺はお前をティと呼ぶぞ。お前も俺を略して呼んどるだろうが」
「可愛いから別にかまわないけど」
「ところでどうした? また何か欲しいのか?」
「うん。さっき気が付いたんだけど、短剣や投げナイフを携帯しておくホルダーが欲しいなって思ってさ。だからまた来た」
「そうだろうな」
「何? もしかしてデルおじ、わかってたの?」
「ああ、まあな」
「もう! それなら言ってくれればいいのに! そしたら、デルおじも手間が省けたでしょ! あ、もしかして、もう一回私に会いたかったから言わなかったとか?」
「ばかもん! んなことあるか!」
あらら。デルコが真っ赤になって喚いている。これは正解だったかな。
まあ、デルコ顔がかなり怖いし、子供とまともに話した事がないかもしれない。
ティティの顔は平凡だが、子供というアドバンテージがあるからな。うん。小さいガキは皆可愛い。
突っ込んでからかいたいところであるが、今日は予定がぎっしりである。
ここはもったいないが流そう。
「なんて。冗談冗談!」
「まったく、大人をからかうもんじゃねえ」
「はーい、ごめんなさい」
「まあいい。それでホルダーだったな」
「うん、短剣を差す腰のホルダーと投げナイフを差す足用のフォルダーが欲しいんだ」
「うちはお前みたいなちっこいやつ用のものはないぞ」
「えー。高いから、既製品でいいんだけどなあ」
「‥小さめの奴を調整してやる」
「わーい!! デルおじ大好き!!」
ティティはデルコに抱き着く。
「ふん! ほら、腰と足首のサイズを計らせろ」
「はーい!」
ティティはぴっと背筋を伸ばして真っすぐに立つ。
「調子のいい奴め」
そうぶつぶつ文句を言いつつも、サイズを計っていく。
「よし。じゃあ明日にでもまた来い。作っておいてやる」
「えっ! 明日できるの! ちょっ! デルおじ仕事ないの!」
「違うわい! 武器はすぐ使えるように携帯してないと、お前みたいなちびっこは攫われちまうだろうが! だから優先して作ってやるんだ!」
「デルおじ」
昨日会ったばかりなのに、そこまで心配してくれるのか。やっぱりちびの女の子の効果か。
とにかくもありがたい。
「デルおじ、ありがとね!」
ブンと大きく頭をさげる。
「もういい。わしは仕事に戻る!」
照れ隠しか、デルコはさっさと店の奥に消えてしまった。
「デルおじー! 明日また来るからねー! ホルダー楽しみにしてるねー!」
そう大声で叫ぶ。 デルおじ! いい奴だ!
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