第13話 発表会とカメラマン仕事

 夫の故郷に移住し始めたベリーダンス、1年が過ぎた。

 発表会は私を含む、40代3人組で幕を開けた。

 衣装は、ブラとマーメイドラインのスカートでスリットが太ももの上までがっつり。若い時にも露出は控えていたタイプ、人生最大のセクシー路線。

 踊りは練習の甲斐あって、息もぴったりと褒められた。

 さて、どこの国でもマダムたちは基本「撮られたがり」なので、出番以外はカメラマンに徹した。

 先生が「キャシー姉さんを撮ってあげて」と、センターを取りそびれて、すね気味の人を指さす。

 小柄ぽっちゃりで踊りが上手くない67歳(推定)を、美しく撮るのは簡単ではない。昔は美人だったであろうキャシー姉さんは五月みどり的なお顔立ちで、自分は写真映えすると信じて疑わないのだ。

 樽のような真っ白いぷるるんお腹が、振り返りざま半分になる一瞬を狙うと、横顔が上を向きアゴのたるみも消えた。見事、キャシー姉さん大満足の奇跡の1枚が出現。

 他にも、50代姉さんデュオはガリガリなので、ベールをひるがえした時に撮ると貧相さが薄れる。背景はぼかして、フィルターは色白加工で。

 もちろん、私は特に詳しくもないフツーのおばちゃんなのだが、平均年齢アラカンの中ではカメラマン扱い。期待に応えるべく、100枚を超える熟女写真がカメラロールを埋める。やばい、一部ではお宝なんじゃないのコレ。

 ちなみに、ソロをやりたがっていたメグ姉さん(11話参照)は不参加。

 ぶっちぎりで下手なのに、金に物を言わせて個人レッスンを強行しかけたのだが、不真面目なのでドタキャン連発。結局、団体練習の動画を観て、やっと自分だけ違う次元にいると気づいたのだ。

 骨格標本が脱臼しながらロボットダンスをしているようなメグ姉さん。隣で踊るのは「笑ってはいけない」系の番組かと錯覚したよね。

 そんなこんなで、当日は12名のマダムダンサーたちが、お互いを褒め合いながら楽しんだ。

 

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