第6話 日本語先生の状況は

 異国にて日本語講師デビューすることになった、四十路の沖縄おばさん、私です。

 場所は日本語学校ではなく、役所の一角にある住民センターなので受講者は50代から70代だ。

 留学予定とか、学校で第二外国語の成績を上げたいから、というリアル学生が相手ではない。デビュー戦として気楽この上ない、環境ではないか。

 「旅行で使いたい」「子供が日本で働いている」「昔、習ったから」などが主な理由で通う人たちだ。

 3か月1学期、という仕組みで2学期目に入った。

 今学期は生徒が2倍になり、2クラス連続で取る人も現れた。

 思いのほか「ネイティブに習える」がポイントだったらしく、人気講座になりつつある(と信じたい)。

 教室で教えるのは初めてなのだが、実は「日本語講師養成講座」なるものを受講した経験がある。

 大学生の時、留学から戻ると「日本語講師は国家資格がないが養成コース420時間受講がひとつの証明になる」と言われた(なお、最近はちゃんと試験ができたらしい)。

 留学中に軽い気持ちで日本語の個人レッスンをやったら、全然うまく教えられなかった苦い経験をしたばかり。「いずれ役に立つのでは」と考え、大学4年生をしながら1年間の日本語コースに通った。

 しかしね、20年以上も前の話である。

 教授法も理論も文法もなにも、ほぼ頭には残っちゃいない。

 はっきりと覚えているのは「日本人だからって日本語が教えられるわけじゃない」と再認識した、てこと。

 「東京へ行く」と「東京に行く」の違い、「い形容詞」と「な形容詞」、「やっぱり」と「やはり」は何が違うの?

 自分が文章を書く時にも曖昧に言葉選びをしていたのに気づく。

 もちろん、創作においては文法的な正しさは絶対ではないだろうが、日本語と向き合うのも良いなと感じている。

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