おまけ50・久美子、嫁の地位を確保する

 双転写。


 これは彼にも強烈な一撃だったみたい。

 狙い通り!


 この一撃で、私は大河の婚約者になることに成功した。


 ……まあ、その際に色々問題あったんだけどね。

 彼、自分に自信無さすぎるから。

 すごい人なのに。


 何と言うか……他人の言うこと信用しないんだよね。

 特に好意。


 自分なんかが女に愛されるはずがないって思い込んでるみたいで。


 まぁ、これには理由があって。


 大河がまだ四天王に選ばれる前。

 辺境警備隊だったときに。


 近づいて来た女の1人に


 藤井大河はATM程度の価値しかない。


 そんな暴言を吐かれたらしい。

 そのせいで元々自分に自信が持てない悪癖があったのに。

 余計酷くなった。


 ……まあ、その馬鹿女が彼をキャッチしてくれなかったから、私が彼の奥さんに納まることができたんだけどさ……


 ちょっとだけ、名前を教えて欲しいと思ったよ。


 色々な意味でお礼参りしてやろうかと思ったので。


 ……双転写で能力が拡大され、気が大きくなったのもあると思うんだけど。

 ちょっと暴力性が……暴走しそうになるときがある。

 それ以来。


 彼はあんまり変わんないのにな。

(そこのところもすごいと思ってるんだけど)




 そして私の転写が終わったせいで。

 大河に四天王の魔力が全て揃った状態になった。


 後は、皇帝陛下に転写を行うだけ……。


 そうなんだけど。


 ここで……私は。


 嫌だ。


 そう思ってしまった。

 佐倉さんの転写のときは何も思わなかったのに。


 ……理由は簡単だ。


 佐倉さんと転写を行っているときは、まだ私は何者でも無かったからだ。

 ただの同僚だったからだ。


 でも、今は違う。

 私は大河と将来を誓い合った。

 彼の奥さんになれることが確定したんだ。


 その状態で、大河が他の女性とセックスする。


 ……自分のものを奪われる気がした。

 陛下はそんなつもりは全くないのは分かっているのに。


 頭の中で、大河が陛下とセックスするのを想像して、泣いてしまったこともある。


 でも……耐えるしかない。

 そういう使命だから。




 そして陛下への転写が済んだ後。


 彼は私のことをやたらと求めてくるようになった。


 何か、精神が不安定になっているように思えた。

 私の身体を触って、貪ることで落ち着くみたい。


 ……正直、玩具みたいに扱われてる気はしなくもなかったけど。

 彼は本当は他人にそういう扱いをする人じゃないし。


 一時的におかしくなってるんだ。


 そう思ったから、可能な限り応えてあげた。

 他人の目が無いなら、いくらでも触らせてあげたし。

 好きにさせてあげたよ。


 だってさ……


 彼がこんな状態になったの、私がいたからなんだし。

 その愛の証明だと思えば、全然嫌じゃ無かったよ。


 ……愛する人が苦しんでいるのに、喜ぶのは良くないのは分かってるんだけどね。

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