おまけ45・久美子、主人公に不満を持つ

 四天王になれたせいで、私の夢はほぼ叶った。

 職務上、この国の真実の歴史と真実の情報を知ることができるから。

 毎日、職務上必須の勉強と、与えられた仕事を片付けた後。

 王城の資料室に籠って資料を読み漁った。


 初等部からの疑問が全て氷解していく……。

 本当はそうだったんだね。


 嬉しい……私、四天王になれて良かった……!




 四天王の仕事は、純粋にただ危険なことや、死人が出そうな状況の解決。


 初めての任務は不平士族の立て籠もり事件の解決で。

 2回目は、石油の採掘施設への出張。

 なんでも、魔界にある石油採掘施設で魔族が出たらしい。


 魔族……この惑星の先住民族で、人類とは違う精神構造を持ってる、危険極まりない意味不明の知的生物。


 で、そのための選抜メンバーが……


 私。

 藤井さん。

 小石川さん。

 そして石油採掘施設の職員さん。


 同僚の佐倉さんはお留守番。

 今回活躍ポイントが無いので。


 私も魔力はほぼ偵察しか出来ない感じだけど、魔界語能力が高いから。

 そこを要求されて、選ばれた。


 で、車が使えない状況だったので、歩きだ。


 で、ずっと思ってた。


 ……藤井さん、私を見て無いなぁ。


 自分は恋愛脳じゃないと思ってたんだけど。

 流石に、子供を作ることが決定づけられている男性相手に、私がその眼中にない状況を仕向けられるってのは


 ちょっと、傷つく。


 荷物を詰めたバックパックを背負い歩く私。

 重いなぁ、と思いながら。


 私、別に太ってないけど基礎体力が無さ過ぎだよね。

 少しは鍛えた方がいいのかも。


 藤井さんは定期的に鍛えているし。

 小石川さんも同様。


 ……小石川さん。

 金髪の華族女性。


 多分、先祖に白人がいる女の人。


 金髪って、差別されるけど。

 外見は良くなるんだよね。


 白人種と黄色人種の血が混じると、美人になりやすいらしいから。


 小石川さん……


 多分、外見は最高の女性なんだろうね。

 美人な上、背が結構高くて、胸が大きくて、スタイルが超いい。

 だから、藤井さんが夢中になるのも分かるというか。

 

 ……まぁ、人妻なんだけど。


 華族って、義務が多くて大変だなぁ、と前々から思っていたけど。

 まさか四天王にまで拒否権が無いなんて。


 正直、気の毒。

 それ以外、感想が無かったな。

 この人のお話を聞いたとき。


 話を戻して。

 私が自分が藤井さんの眼中にないと考えるのは、藤井さんの視線が全て小石川さんに注がれているからだ。


 まあ、それはつまり。


 藤井さん、小石川さんとセックスしちゃったんだよね。

 きっと。


 だから、視線が集中してて他に向いて無いんだ。


 私はこの状況で、藤井さんを非難してしまうほど自己中心的ではないし、傲慢でも無いから。

 それは仕方ないと思う。


 でも……なんか悔しいなぁ。

 今の藤井さんの中では、私はただの女A、なんだろうなぁ。

 モブというか。


 そしたら藤井さん、


 なんか私のバックパックが重そうだ、って言って。

 気を遣ってくれた。


 正直、ちょっとだけドキっとした。


 純粋に優しさを向けられた気がしたから。

 で、私のために色々考えてくれて


「その荷物、使い魔でなんとかなんないの?」


 ……こんな、ナイスアイディアをくれた。

 正直、ハッとしてしまった。


 私の中では、魔力は日常で使うものじゃなく。


 偵察がしたいとき。

 戦わねばならないとき。


 そういうときに出すもので、日常生活の不都合を解決するものじゃなかったんだよね。


 コロンブスの卵みたいな気分だった。ちょっと意味は違うけど。


 だから後で


「……小石川さんだけが女性じゃ無いんですよ?」


 こう、私は藤井さんに言った。

 このときが、私が藤井さんとの関係性を自発的に深めたいと思った最初の瞬間だった。

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