おまけ31・翔子、進美と主人公の評と、使命への想い

「そっか、来たか。とうとう」


 私が四天王に選ばれたことをすぐに夫に報告した。

 すると夫は、特に悲しむような様子は見せなかった。


 ただ、無事選ばれて良かったとは一言も言わなかったけど。

 ……引き換えとして提示された、極めて高額の四天王の給与額を聞いた後でも。


 だから私も、気にしないことにした。




「……よろしく。佐倉進美です」


 私の他にももう1人。

 すでに四天王に決定してしまった子がいた。


 名前は佐倉進美。

 事前資料に書かれていた情報では、平民出で。

 元々、皇太子殿下の身辺警護をしてた子らしい。


 ……補足情報で、元々反社会勢力の広域暴力団「白虎会」で、スパイみたいなことをやってた子だったと書かれていた。


 女ヤクザが、皇太子殿下の身辺警護……?

 何それ、エモい。


 皇太子殿下が手元に置いてるんだもの。

 彼女はきっと、絶対の忠臣なのよ。

 そうに決まってるわよね。


 だって、偉大な地球皇帝になるべくして生まれた方が選んだんだから。


 だから会う前から彼女に対する好感度は高かった。


 平民出ですでに四天王決定済みになってるのも、それぐらいの信頼関係……主従関係が殿下と彼女にはあるんだ。

 気に入らないわけがない。


 だからなるべく距離が近づくように接したんだけど……

 ちょっと、嫌だったみたいね。


 彼女、背が低くて実年齢より3才くらい下に見えるから。

 そういう態度、余計嫌だったのかもしれない。

 子供扱いされてるみたいで。


 ……反省しないと。




(藤井大河……この子が、この代の四天王男役……)


 そして。

 この代の四天王男役の情報も当然チェックしていた。


 元々辺境警備隊。

 士族の男の子。20才。


 ……私より6つ下か。


 ちょうど、私と夫との関係とは逆ね。

 ふと、そういうことを考えた。


 ……ちょっと雰囲気が暗い子だったけど。

 特に性格が悪いようには見えなかった。


 実はちょっと、頭の片隅で


(とんでもない男性が四天王に選ばれたらどうしよう)


 これは考えていたから、私は比較的運が良いのかなと。

 それを少しだけ考えた。


 だけど……


(……この子、おそらく童貞よね。なんか分かってしまう)


 この顔つきは童貞だ。

 賭けてもいい。


 ……いや、何を賭けるのという話だけど。


 だとすると……


 私は、彼に性の手ほどきをしなければいけないのかもしれない。

 でないと、彼が主導権を持ってセックスをして、四天王の魔力を一身に集めるってことは不可能だもの。


 けれど……


 それをイメージしたとき。

 私は心が重くなり


 気が付いたら、泣いていた。

 私も、夫も。

 双方納得済みのことのはずなのに。


 ……ホントに、あまりしっかり考えない様にしないとね。

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