第47話 惑星の意思
え……え……?
俺は混乱していた。
いきなり久美子にキスされた……!
俺の中では久美子はこういうことをする女では無かったんだけど。
だからすごく混乱した。
で、しばらくされるがままだったんだけど。
……いや、ちょっと待て!
俺は無理矢理引き剥がした。
「ちょ、ちょ、ちょ!」
まあ、腕力差で大して難しくも無いんだけど。
驚きと混乱で動揺する。
「……いきなり何!?」
ちょっと息が上がってしまう。
久美子は……
「私、今日が危険日なんですよね……」
危険日……
その言葉に、否応なく興奮してくる。
彼女と今セックスしたら、高い確率で妊娠する……!
使命で必ず妊娠させないといけない女性に、危険日を申告される……!
誘惑の言葉としては、俺の中では最高の言葉だった。
だけど、その前に
えっと……
そういう彼女の表情が……
なんだか、とっても淫蕩で……
いや、清楚な雰囲気はあるのよ。
でも、なんだかすっごいいやらしいの。
……こんなところ他人に見られたら……
俺は周りを見回す。
……誰も、いなかった。
「この部屋の中には、今は私たちの他は誰もいませんよ」
久美子がそう言ってくる。
「どうして……」
「大河さんは自分の子供を愛せる人なのがね、決め手でした」
……なんか今の久美子……俺の話を聞いてない。
そんな感じがする。
いつもはそんな女じゃないのに。
「ちょっと話を……」
「すいません大河さん、今は少し黙っててください」
そう言いながら、久美子は俺にまた抱き付いてきて
ヌチョ、と俺の首筋に濡れた温かいものが当たる。
……久美子の舌。
そして俺の右手を持ち上げて、自分の胸を触らせた。
……翔子さんと比較すると確かに小ぶりだけど……
充分、女性を主張できる大きさの、久美子の胸。
……最初に出会ったときの思い出から、今に至るまでの久美子が俺の頭に中で流れていく。
最初に会った時、可愛い清楚な美人だと思った。
「……結論が先に出ていて、そこに至るまでの精神性が問われている状態。私の方はね、もうあのときに決まってるんですよ」
久美子は俺の耳元でこう囁いた。
「……あなたの最初の子供が出来たときに」
俺の……子供……
あのときの、あの様子を見て、久美子は……決めたって言うのか?
彼女は続けた。
「ここまで子供のことを愛せる男性に愛されたら、絶対に幸せになれる。好きだ、って」
久美子……?
そして彼女は言ったんだ。とても強い意志を込めた声で。
「だから私はあなたの奥さんになりたいんです!」
ここで、俺は昔言われた言葉を思い出した。
『藤井さんさぁ、顔はそんなに悪くないんだけど、目つき暗いし、覇気がなくて全然魅力無いよね。けどさ、稼ぎは良さそうなんだよね。ATMとしては優秀。迷うなぁ』
あのときの絶望。
あのときから俺は女性が信じられなくなった。
でも……
このとき、俺のなかでスイッチが入った。
……やってしまった。
なんかもう、どっちが主導権とか全く意識してなかった。
久美子の方も、めっちゃ積極的で。
というか、処女じゃなかった。
……経験済みか……まあ、当たり前だけど。
久美子だって美人だし、それに、あのモーションの掛け方。
処女なわけねーじゃん。
処女ビッチなんて実在しねえんだよ。
分かってたのに……
なんか……辛い……
俺、勝手だなぁ……
泣きそうだ
俺がそんな自分の中の勝手な部分に嫌悪感を抱いていると。
「ねぇ……大河……」
王城の資料室なんだよね。
この部屋。
今は人が俺たち以外居ないんだが。
そんなところで、制服全部脱ぎ散らかして、全裸で床でヤったのよ。
衝動のままに。
で、久美子は俺の横で横になってた。
すごく……なんというか、淫魔というか……
そういう表情を浮かべて、語り掛けてくる。
「……私さ、転写も
言いながら、自分の下腹部を撫でる。
「だから……?」
俺の言葉に、ウフフ、と
「もっかい……しよ」
……ゾクゾクする声。
俺の耳元で囁いて
「……精子の量が少ないと、受精が成功しない場合があるから……お願い」
ゾワゾワする……スイッチが入りそうになる。
でも……
「いや、人が来たら……」
俺がその懸念点を口にすると
「そんなの」
久美子は俺の上に覆い被さりながら
「アナタが来た人全員洗脳して私たちの邪魔ができないようにすれば良くない? ……そうすれば何も問題起きないよ」
ニヤア……と
オイオイ……
ものすごく興奮するけど……少し、怖かった。
「言ったでしょ? 転写も
彼女の言葉を俺は何故か否定できなかった。
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