第34話 なんか文句あんのかよ?
「……処女で悪かったな。文句あんのか……?」
俺の下で、進美がようやく口を開いた。
ずっとだんまりだったのに。
彼女は涙目で、キッと俺を見上げ、睨んでいた。
「い、いや……悪いわけないけど……」
流石に、責任を感じる。
どうしよう、という気持ち。
これ、使命だからという理由で、責任から逃げていいものなんだろうか?
そんな思いが湧いてくる。
結婚しないといけないんじゃないのか?
そんな思い。
無論、彼女が望んだ場合は、という前提はつくけれど。
俺が混乱のあまり、そんな考えを口走ったら
「……オマエ、アホか?」
と……笑われた。
ちょっと待てや。
……女性を気遣いしたら、馬鹿にされるのかよ。
それは酷くないか?
そんな不満を口にしたら
「……ワリィ」
今度は、謝られた。
そして
「……気にすんな。結論が先にあることだから、これも想定済みなんだよ。むしろ、今まで延々映画見てオマエと遊んだのが、使命からすると、無駄なんだ」
本来なら、最初の日にオレがオマエの前でパンツをおろしてケツを突き出すのが一番正しいんだからな。
そうしなかっただけでも、遊んでるんだ。怠慢なんだよ。
……進美。
俺はこいつのこういう臣下としての責任感が好きなんだよ。
それは初日で分かってたことなんだが。
「……で、どうする? やめるなら中止するけど?」
色々あって冷静になったから、やめようと思えばやめられる。
ムラムラするけど、それはまあ、なんとか。
さすがにさ、処女喪失の日にそのまま最後までやるのは酷いだろ。
傷を抉るようなもんだろうし。
だけど……
進美は首を左右に振り
「……これ以上無駄な時間を使うのは陛下に申し訳ない」
そう、言ったんだ。
……こいつ。
愛おしい。
敬意も湧き上がる。
「分かった」
だったら早く終わらせてやんないと。
そう、思った俺が集中しようとすると
「……その代わり、このセックスは恋人設定でして欲しい」
見下ろす……そこにいる進美に、俺は心を奪われそうになった。
本当に、可愛かった。
だから
「……分かった。……愛してる。進美」
「だいすき……大河」
そう囁きあって、俺たちは口づけを交わした。
そして、行為を再開し。
……俺は進美の中に、自分の精を放った。
「おい、大河」
次の日。
また廊下で進美に呼び止められる。
昨日のラブホのときと違い、いつもどおりの制服姿。
当然、髑髏のマスクも被ってる。
「会議だ会議。会議室行くぞ」
……いつも通りだ。
昨日はあんなに可愛かったのに。
まあ、そんなことを頭の片隅で考えつつ、応える。
「……また陛下から出撃要請が出たんだな?」
今度は何なのか。
この国、平和なはずなのに反社会勢力が多すぎるんだよな。
魔界から魔物が流れてこなくても、毎日トラブルばっかりだ。
「レクチャーで言ったこと、覚えてるか? マヌケな質問だけはすんなよ?」
「分かってるわい。お前を失望させるような失態はせんから」
そして俺たちふたりは、会議室に急いでいく。
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