第15話 初日でしょ?

「そんな魔族相手に、よく初代の皇帝陛下は勝つことが出来ましたね」


 俺は話を全て聞き、そんな感想を言ったんだけど。

 小石川さんは


「その疑問はもっともよ。だから、真っ当な手段で初代皇帝陛下は勝ったんじゃ無いわ」


 興味を惹く言い方。

 真っ当では無い、とは……?


 思わず、身を乗り出す。

 それに対し、こう教えてくれた。


「彼らには恥の文化があると言ったわよね? そこに付随する形でね……約束の概念もあるのよ。彼らには」


 約束しておいて、反故にするのは無責任で卑怯である。それは許されない。

 そういうモノの考え方をするらしい。


 それを利用したんだとか。


 こっちの交換条件で、何を提示したのか不明だけど「負けたらお前の部族の領土を全て割譲せよ」という条件を提示して魔王と決闘を行い……。

 そして、見事に勝ち残った。


 そういう経緯らしい。


「敵を知り抜いたからこそ立てられた素晴らしい作戦だわ」


 まぁ、そうですね。

 そのお陰で、今の我々の地球帝国があるんですし。




 今日はここまでよ。

 まだ勉強して欲しいことはあるけど、それは後々ね。


 ……この一言で、俺は辛い座学が終了したことを知り、軽く伸びをした。


「藤井さん。お疲れさまでした」


 隣の席で講義を受けていた山本さんが俺に礼をして、立ち去っていく。

 ……何か急いでるな。

 何か用事があるのかな?


 そう、講義に使われていた会議室から出ていく彼女の姿を見送った。


 俺は……どうしよう?

 今日はトレーニングも無いし、俺も帰って寝るかな……?

 色々あったし……


 そう思っていたら。


「藤井くん」


 声を、掛けられた。

 相手は……小石川さんだ。


 さっきまで壇上に居たんだけど、降りて来て。

 俺に笑顔を向けてくれる。


「今日はありがとうございました」


 座ったまま、頭を下げる。

 そしてやってしまってから、ミスをしてしまったと自覚した。


 ……立つべきだった。


 今頃遅いが、俺は席を立った。

 立って、彼女に向き合った。


「……まだ硬いわね。まぁ、しょうがないか」


 初日だもんね。

 そう、小石川さんは俺をフォローしてくれた。


 ……小石川さん。


 間近で見ると、すごく綺麗で魅力的な女性だ。

 ウェーブのかかった長いブロンド、綺麗だし。

 痛んでるような雰囲気が無い。

 さらさらしている。


 それに、顔も綺麗だし。

 目の大きさや、青い瞳。

 唇がちょっと薄い感じが、より彼女の美しさを引き立ててる。

 この国の歴史上、当然の如く混じっている黄色人種の血が、すごくいい状態にしている印象。


 それにボディライン。

 胸の大きさは、文句なしに巨乳でいいと思う。

 腰の括れ、お尻の大きさ。


 ……正直、そそる。


 そして俺は、この人とセックスして妊娠してもらわないといけない。

 それを国に要請されている。


 それを自覚すると……


 俺は興奮してきた。

 引き受ける前には、あんなに渋っていたのに。


 ……俺、控えめに言って最低では無いのか?


 そう、思うんだけど。


 俺……童貞なんだよな。

 経験無いんだ。


 情けない。


 だからだろうな……威勢のいいこと言っておきながら。


 そんなことをぐるぐる、ぐるぐる考えていた。


 すると


 そこに、こう言われた。


「藤井くん」


 声に、何か覚悟があった。

 そして続いた言葉が


 ……ちょっと信じられなかった。


「今から私とセックスしましょう」


 せっ……くすだと?

 俺は耳を疑い、同時に


 あ、もう来るのか。早いな


 そうも思っていた……

 初日だぞ……?

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