第93話 ソティーブンは突然に
無事?に部活オリも終わり高校に平和が訪れた。なんてどこかのアニメでは無いが、それから一週間は静かに、まだ校門は五月蠅いが、過ぎて行った。
健吾達とも塾の事を早く決めようと手分けして近隣の塾に電話した所、なんと学校の駅の反対側の改札の道路を挟んで向かい側にあるビルに入っている可愛塾に三人でも個室で受講可能にしてくれると言って来た。もっとも俺の名前を出しちゃったんだけど。
国立難関コースで受けれるかと聞いたけど、問題ないという。両親と相談して、紅さんの車を上手く利用して通う事となった。
早速、三人で入塾テストを受けに行った。勿論俺はフード、サングラス、マスクでだ。これは紅さんから塾の方へお願いしている。
その場で三人共入塾可能という事で、手続きを行った。駅近くなので午後五時から午後八時までのコースだ。これなら部活をやっても来れる。
開始は来週初めからにした。この辺は三人に特化しているので通常コースとは違っても問題ないらしい。
そして、来週末の金曜日は、高校生最後の遠足、楽しみだ。と思っていたら…。
家に帰って部屋で寛いでいると知らない、外国からの電話番号だ。悪戯かなと思ったけど出てみると
『ハロー。麗人』
うん?この声は確か
『ソティーブンか?』
『イエース。覚えていてくれて嬉しいよ。直接かけたのは、他の人に知られたくないからだ』
『ちょっと待ってくれ』
俺は、帰っている両親と美麗の前でスピーカモードにした。
『ソティーブン。待たせて悪い』
『ノゥプロブレム。実は、日本のGWに娘に会いに日本に行くんだ。勿論プライベイトさ。
だから、その後、麗人に会いたいと思ってんねん』
『えっ、俺に会いに来る?』
『イエース。麗人、手合わせしてくれ。お前の道場でええから』
いきなりだな。師範にも聞かないといけないし。しかし、また突然だな。
『師範に聞かないと道場を借りれるか分からない』
『二時間も必要無いやろ。麗人が頼んでくれへんか』
『約束は出来ないが、聞いてみる』
『それとだ。麗人のママとパパにお願いがあると言っておいてくれないか』
『何をだ?』
『麗人、一緒に食事をせんか?麗人の家にこっちから牛肉を二十ポンド送ったる。BBQやらんか?』
「お母さん、いきなり言われたけど」
『ソティーブン。私麗人の母よ。喜んでお招きするわ』
「お母さん!」
「いいじゃない。ねえ、あなた」
「まあ、私は構わないが」
『グレイト!じゃあ、決まりだな。娘の文子(ふみこ)も連れて行くから会ってくれ。気が合うと思う』
えっ、お兄ちゃんにまた変なのが来るの?
『分かった』
『細かいスケジュールは後で送る。じゃあ日本で』
ガチャ。
「お母さん、何でいきなりあんな大物俳優を招いちゃうの?」
「美麗、何を怒っているの。いいじゃない。映画で知り合った人達って大切よ。それにお母さんも映画以来だから会うの楽しみだわ」
なんか、言い方に含みが有るな。しかし、ソティーブンから連絡が有るとは、…まさかね。
次の土曜日、俺は道場に行って師範にソティーブンとの手合わせの事を話したら、何故かとても喜んでくれて、他の師範代も手合わせしたいという事になった。
気になるのは…。さっきから秀子さんがニヤニヤしていた事だ。どういう意味だろう。
開けて月曜日から放課後は可愛塾の個別指導を三人で受ける事になった。入る前まではフードをかぶり、サングラス、マスクを掛けて個室に入るが、入ってしまえばフードは脱いで、サングラスもマスクも外すからとても楽だ。
最初、塾長、ここは男性、から受講時の注意事項を受けた後、授業が開始された。今日は英語と国語だ。
三人で講師を待っているとドアが開いた。うん、何処かで嗅いだ香水の匂い。えっ、俺は顔を上げると…秀子さん?
「早乙女君と小早川君と東雲さんね。私が国語と英語を担当する東郷秀子です。宜しくね」
はぁ、何でだよ。
「麗人、そのがっかり顔、どういう意味?」
「いや、がっかりなんかしてないです」
「そう、それならいいわ。では始めましょうか」
ふふっ、麗人が個別指導を受けるのは分かっていた。だから麗人が放課後通える塾には家の力で全部根回しをしておいた。ここなら私の家に近くていいわ。
麗人、いずれ私の夫になる人。手取り足取り教えてあげるわ。課外授業も大丈夫よ。
俺の背中に悪寒が走ったけど気の所為か?
―――――
あの、ソティーブンの飛んでもない話し言葉に突っ込みはご容赦を。
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