第80話 これは不味いわ
麗人に接近する乙女?達の心情を描いています。ちょっと怖い?
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私、東郷秀子。
麗人が出演しているPVを見た。はっきり言って、同じ女性、いや彼は男性だけど、性別なんて関係ない美しさが有った。
私がどんなに磨いてもあそこまで綺麗には慣れない。麗人が言っていたようにもし登下校の付き添いをしていれば、世に言うパパラッチに追いかけ回される羽目になっただろう。
早乙女麗人と一緒に居る女は誰だという事で。挙句好き勝手に書かれるに決まっている。そうなれば大学どころか家族にも危害が及ぶ可能性もある。
道場だって来れるのか。彼の事だから、道場に迷惑が掛からない様にと稽古を休むのは間違いない。残念だけど今は麗人を見守るしかないか。
私、九条静香。
麗人のPVを見た。心の底から沸き上がる気持ちの昂揚を抑えきれなかった。
あの美しい女性いや麗人に包まれてみたい。私の全てを捧げたい。初めて思う感情に一晩眠れなかった。まさか麗人にあれだけの隠された魅力が有るなんて。
どうすればいいか分からない。でも誰にも渡したくない。受験はある、でもそれはそれ。とにかく望月美紀や芦屋真名それに八頭音江の毒牙から彼を守らなければならない。どうすれば。
私、八頭音江。
麗人のPVを見た。信じられない美しさを見てしまった。絶世の美女と呼ばれたクレオパトラや楊貴妃だって、あそこまでの美しさは無いだろう。そしてあのしなやかな体。
堪らない。私は初めて自分を捧げたいと思ってしまった。我慢が出来ない。何としてもあの九条静香、望月美紀そして最近転校して来た芦屋真名とかいう小娘に彼を渡す訳には行かない。何とかしないと。
私、望月美紀。
早乙女君のPVを見た。普段だって美しい彼なのに、なんなのあのPVに映る彼は。私もその辺の女の子よりは絶対に容姿に自信がある。
でも彼の美しさは、比較するという単語が意味をなさない位だ。毎日傍で見ているけど、まさかあんな隠された美しさが有ったなんて。そしてあの身のこなし。
スナイパーの時のあの美しい横顔。初めて身に起こった下半身の疼き。どうしようもない感情だった。
九条静香、八頭音江、そして面倒な芦屋真名なんかには絶対に渡したくない。何とかあの三人を消す方法がないかしら。消しゴムで消せればいいんだけど。そんな訳にはいかないし。どうすれば。
私、芦屋真名。
何度も麗人お兄様、いえ早乙女麗人の美しい姿は撮影の時、傍で見ていた。
二人一緒の撮影の時に私が暴漢に襲われて彼に助けられ、私が彼に抱きつくシーンなんか、もう演技では無く、思い切り一人の女性として彼を抱きしめた。手も繋いだ。
だから、彼が椅子で休んでいる時だって後ろから何回も抱き着いて、スタッフから文句言われたけど、そんな事気にしない。
それに彼に抱きつくといい匂いがする。汗の匂いじゃない。化粧品の匂いじゃない。早乙女麗人の匂い。
幼い時から何人もの役者と共演したけど、こんな気持ちになったのは初めて。私は自分の心に誓っている。早乙女麗人の妻になるのはこの私。
だから高校も転校してずっと傍に居る事にした。でも邪魔な人達がいる。九条静香、彼女は綺麗だ。学校でも一、二を争うだろう。
八頭音江、どこかの男役をやっている様なスッキリした顔をしている。
望月美紀、同じクラス、それも早乙女麗人のすぐ前の席に座っている。活発で明るい少女。剣道部の主将もしている。でもこの人達は私の敵じゃあない。
綺麗さでは、私の方が圧倒的に有利だ。だけど…。面倒な女がいる。東郷秀子。こいつは油断できない。大学二年生だけど、大人の香りがする。
人を惹きつける何かを持っている。今迄長い間芸能界に居たから分かる。こういう人間は気を付けないといけない。
そして最高に面倒なのが早乙女麗人の妹、美麗。兄譲りいやお母様霧島花蓮譲りの美少女。顔だけだったら、同じ勝負が出来るけど、彼女は彼の妹、そしていつも側に居れる。
何よりも面倒なのは、あの子が麗人を兄では無く、一人の異性として見ている事だ。私も女だから分かる。最大の強敵だ。どうすれば。
私、早乙女美麗。
お兄ちゃんの周りは、色々面倒な人が一杯いる。中学までは、お兄ちゃんは綺麗だったけど、顔の綺麗な珍しい男子ですんだ。
でも高校になってから一段と美しくなった。お母さんの現役時代より美しいかも知れない。
そんなお兄ちゃんだから、私は優美と一緒にお兄ちゃんと同じ高校に入って、ずっと傍に居ようと思ったら、面倒な子が転校して来た。
女優の芦屋真名、女優として小さい頃から有名で、可愛さと美しさを供えている。甘え方も美味い。
撮影の時一緒だったと聞いていたけど、撮影の時どんな事していたのかと思うと腹が立つ。その上、私の前でお兄ちゃんと結ばれるのですなんて言う。
冗談じゃないわ。お兄ちゃんと結ばれるのはこの私しかしない。兄妹だからって構わない。私の気持ちはお兄ちゃんには伝えてある。
他の人、九条静香、美奈ちゃんのお姉さん、八頭音江、望月美紀は、はっきりって敵ではない。お兄ちゃんはあういう人は好きにならないから。
でも面倒なのは、お兄ちゃんが通う道場にいる東郷秀子さん。彼女は危険。お兄ちゃんの好き嫌いに関係無く、お兄ちゃんの心の中に入って来る気がする。そしてお兄ちゃんはそれを拒絶しない。どうすれば。
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