第47話 女子部活の人達は諦めない


 ここは学校の最寄り駅の傍にあるファミレス。部活帰りの女子達が集まっている。


「ねえ、佐久間さんを園芸部に入れたんだから、早乙女君を引き抜こうよ」

「そうだよ。何も彼を園芸部に入れておくなんてもったいないわ」

「何の為に八頭さんに協力して貰ったのか」


「それに早乙女君、ミス星城高校になってから一段と人気上がったし」

「でも彼女みたいな人が現れたって聞いているけど」

「そんなの関係無いわ。私達の部のマネージャになって貰えさえすればいいのよ」

「とにかく、早乙女君に園芸部を辞めて貰う事が先よ」


「やっぱり、九条さんを脅すしかないんじゃない」

「この前失敗しているじゃない」

「今度は別の方法でやるのよ」

「どうやって」

「こうするのよ…」





 放課後になった。私は花壇に水やりをする為に園芸部に行こうとすると

「九条さん、話があるんだけど」


 私の前に三人の女子が並んでいる。みんな運動部の子達だ。

「何、話しって?」

「ちょっと来てくれない」

「水やりがあるから、話をしている時間無いわ」

「直ぐに済むわよ。それに水やりは佐久間さんが出来るでしょ」

「何言っているの?」

 

 いきなり腕を掴まれた。その上三人が私の周りを囲んでいる。逃げようがない。

「来て貰うわよ」



 連れて来られたのは体育館の女バスの部室。こんな所で何をするつもりだ。まさか…。

「ふふっ、九条さん、変に考えなくても良いわ。いくらあなたが綺麗だからって、あなたを襲うなんて事はしないから。ちょっとだけここに居てくれればいいのよ。用事が終わるまでね」

「用事?」




 放課後になり、健吾も雫も部活に行った。二人共楽しそうな顔をしている。俺も校舎裏の部室に行く事にするか。


 園芸部兼倉庫に行くとドアはまだ閉まっていた。九条先輩も佐久間さんもまだ来ていないのか。仕方ない。先にやるか。


 ドアを開けると

「えっ?!」


 いきなり手を引かれて

「ドア閉めて」

「うん」


 俺の周りには…上半身が裸でスカートを脱いだ姿をしている三人の女子が居た。俺は直ぐに目を閉じて

「どういう事ですか?」

「こういう事よ」


 目を閉じているので油断した。俺の手を持ったと思ったとたん、

「やめろ!」


 触らされている。強引に手を引こうとしたけど三人で周りから押さえられた。仕方なく目を開けて


「やめろ!」

「いやよ。早乙女君この状況分かる。あなたは私の胸を触っている。私はあなたに洋服を脱がされてスカートも降ろされた状況なの。あなたは私を襲っているの」

「何言っているんだ」

「もう遅いわ。撮れた?」

「うん、しっかり撮れた」

「まさか?」

「そう、そのまさかよ。この状態で先生を呼んだらどうなると思う。聞かなくても分かるわよね」

「……………」

 この子達はいったい何を。それになぜ九条先輩も佐久間さんも来ないんだ。


「連絡して」

「分かった」




「九条さん、もういいわ。水やりたいんでしょ」

 ドアを背にしていた女子がドアを開けた。


「良いわよ行って」


 私をこんな所に閉じ込めて、この子達は何考えているの。考えているうちに校舎裏に来た。園芸部室に行こうとすると

 えっ、佐久間さんが部室のドアの側に居て立っている。


「どうしたの佐久間さん」

「あっ、九条さん」

「水やりするわよ」


 私はドアを開けると

「えっ?!」


 部室の中には上半身が裸でスカートを脱いだ女子が三人いた。そして一人は麗人の手を取って自分の胸に押し付けている。もう一人は麗人を後ろから抱き締めて、もう一人はスマホで録画していた。


「どういう事?」

「早乙女君が私達を欲しいって言うから、挙げているの」

「そんな馬鹿な事…」


「麗人があんた達みたいな子に興味持つ訳ないでしょ。出て行きなさい」

「ふふっ、この録画を持って先生の所行きましょうか。どうなるかな?勿論早乙女君は絶対に学校を辞めさせない。

 九条さん、あなたが早乙女君を使って私達に嫌がらせしたんだって言うわ」

「何ですって!」


「でも、そんな事私達もしたくないわ。…条件がある。早乙女君が園芸部を辞めて私達の部活のマネージャになってくれればいいわ。ねえ、早乙女君いいんでしょう。条件が足らなければ、私を好きにしても良いわよ」


 俺は、聞いた事に飽きれるばかりだった。流石に頭に来て、女子とはいえ腕に力を入れると


 ドン!

 きゃーっ!


 バシッ!

 きゃーっ!


 ガチャ!

 きゃーっ!


 部室内でこれだけの人数が居れば動きは制限されるが、仕方なかった。俺の手を掴んで胸を触らせていた女子の手を取ってそのまま後ろに押し倒した。


 後ろから絡みついている女子は親指を捻じ曲げて力が緩んだ後に後ろに押した。


 そしてスマホを持って録画をしている子の手をめがけて蹴りを入れてスマホを天井にぶつけた後、直ぐに拾った。


「やっていい冗談とやって悪い冗談がある。分かるよな。いくら女子だと言ってもこれ以上まとわりつくなら手加減しないぞ!」

「「「ひっ!」」」

「そのまま出て行け」


 三人は傍に有った下着や洋服を持つと胸と下を隠しながら出て行った。どうなっても知るか。



「ふーっ、随分な目に遭ったわね。私も捕まっていたわ」

「わ、私は怖くて」

「佐久間さんは良いわよ。でもこの事他言無用よ」

「わ、分かってます」


「どうしようか、麗人」

「水やりをしますよ」

「そういう事じゃなくて」

「先に水やりします」

 流石に頭に来た。しかし、手に変な感触が残っている。



 色々有ったが花には関係ない。いつも通りに水やりを終わらせ、ジョーロとリールフォルダを片付けるとポケットに突っ込んでいたスマホを手に取った。


「どうするかな、これ?」

「見せて」

「もうロック掛かっているし、大分傷ついているから動くかな」


 スマホの裏を見ると俺の写真が貼ってあった。参った。


「あの三人、それに私をここに来る事を邪魔した子達は分かっている。どう処分するか私に任せてね」

「処分?」

「当たり前でしょ」

 先輩はどうするつもりなんだ。


―――――


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