第一章 第13話 双子姫の目覚め
お互いに、情報を共有することにした俺と彼女は、全力で彼女の故国を復活させるべく、行動を開始する事にした。
なので、先ずは問題を先送りしている形になっていた、アンジー〈結局、殿も除けて愛称で呼び合う事になった〉の妹達の睡眠魔法を解いて、目覚めさせる事にした。
その作業に移る為に降下艇にアンジーを案内して、妹達をベッドに寝かせて[ヘルメス]に命じてレム睡眠状態から、自然な形で目覚める様に新陳代謝に働き掛けて作用させる事とする。
いざ透明化を解除して、地面に降ろした降下艇に乗り込む事にしたのだが、アンジーは目を見開いて降下艇に驚いている。
「・・・流石は、星界からの異邦人エトランゼ【星人ほしびと】の乗る【星船】だわ!
ずっと隠蔽化して、滞空しながら我々を守護していたのね・・・」
そう感嘆しながら降下艇にアンジーは乗り込み、船内をキョロキョロと見渡す。
その間に俺は、[ヘルメス]に命じてアンジーの妹達の体内に【命の水アムリタ】を介して注入してある、【バイオ・ナノマシーン】を顕在化させてアンジーの妹達の新陳代謝を引き揚げる。
やがてアンジーの妹達の呼吸音と寝返りが段々と大きくなり、身を捩らせて大きく伸びをすると2人共に、ゆっくりと目を見開き始めた・・・。
暫くの間、キョロキョロと彼女等2人は見慣れない船内を見渡していたが、彼女達の姉が心配そうに自分達を見守っているのに気付き、大きく声を上げる。
「「姉様?!」」
アンジーの妹達は、ガバッと飛び起きるとアンジーに抱きついた。
そして二人共、号泣し始めた・・・
(・・・無理もない・・・、幸せに過ごしていただろうに、いきなり両親と家を失ったのだから・・・)
そう思いながら、俺は船内に備え付けてあるジューサーから、恐らく彼女等に飲めるだろう果実ジュースを用意して、船内にある簡易なテーブルに並べた。
暫く3人姉妹で泣き合う事で、ある程度感情の起伏が落ち着いたらしい彼女等が、応接ルームに現れたので、俺は果実ジュースと母艦から持ってきたお菓子を勧める。
「・・・大変感謝致します・・・、【リンナ】と【リンネ】もお礼をしなさい・・・」
とアンジーが言い出したが、俺は手でそれを制して、
「先ずは、二人共お腹が空いてるだろうし、アンジーも暫くまともな食事を取っていないだろう?
取り敢えず落ち着く為にも、軽く食事をしてくれないか?」
そう言って見ると、今迄強制的に催眠魔法で眠っていた二人は目を輝かせた。
二人は10日間も飲食を行っていなかったから、ぐうとお腹を鳴らしてしまい、姉であるアンジーが顔を赤らめながら恐縮していたが、俺が笑いながら「遠慮せずに食べてくれ」と勧めると、二人は旺盛な食欲を示して、あっという間にお菓子を食べ尽くして、ジュースも飲み干した。
少なかったか、と反省して此の惑星にも存在する料理で、一般的なパン類とスープを空間収納から取り出し提供してみる。
何だか彼女等は俺が亜空間から取り出して見せた料理に驚いていたが、押し寄せる食欲には勝てなくて、スプーンとジャム類を俺から受け取り食べ始めた。
「うわあ、温かい料理だよ!
なんで亜空間から取り出した筈なのに、温かい料理が出てくるの?!
普通は冷めた食材や、お菓子しか亜空間に入れられない筈なのに?!」
リンナと言われていた娘の方が、疑問を感じたらしく感嘆の言葉を述べて来て、もう一方のリンネと言われていた娘の方は、頭を俺に下げて黙々と食べている。
「・・・俺もこの際食事にしようと思うから、アンジーも妹達と一緒に食事をしようじゃないか!
何か、ご希望の料理かお菓子は有るかな?」
「・・・ありがとうございますヴァン、特に好き嫌いも無いので、ヴァンの判断にお任せして頂きますね!」
とやり取りしたのだが、その様子を食事しながら聞いていた妹達は、何故か目を剝いてアンジーの顔を、まじまじと見直している。
(? 何だろう?!)
と疑問に思ったが、取り敢えず気にしないことにして、俺の好物であるアサリのパスタ【ボンゴレビアンコ】と、海藻サラダを亜空間から取り出して、取皿を四人分取り出して、飲み物は桃の天然水を用意した。
どうやら、パスタの食べ方が判らなかった様なので、フォークで適切な量を巻き込んで食べる事を教え、様々な種類のジャム類で焼き立てパンを食べる。
一時間程食事を楽しみ、大分リラックス出来たところで紅茶を全員に振る舞い、改めて俺の素性とアンジー達の現状を確認し合う事となった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます