第8話ワープロを手に入れて退化がはじまった

 こんにちは、仲津です。


 第2話で、ちょっとワープロ専用機の話をしたので、今回はワープロについて昔語りでもしようかなと思います。


 私の最初の就職先は、所属していた文芸同人誌の主宰が経営していた小さな出版社でした。主に詩集や句集、歌集などを作っていたので、同人誌活動をしている人もよく出入りしていました。


 その中の一人、当時50歳くらいの女性、Uさんが発売したばかりのワープロを購入したというので、見に来ないかと誘われて、お宅にお邪魔したことがあります。


 まだパソコンなど一般的でなかった時代。Uさんのお部屋に案内されると、今で言えばデスクトップパソコンほどの大きな機械が置いてありました。


 触ってみてもいいよと言われましたけれど、キーボードなんて初めて見るものでしたから、おそるおそる一本指で押してみたのを覚えています。記憶媒体はLPレコードのような丸い円盤でした。


 当時、会社では電動和文タイプライターを使っていました。

 ひらがな、カタカナと漢字が、ずらっと並んでいる台の上を、レバーを動かしてガチャンガチャンと1文字ずつキーを打つんです。それがキーボードに変わればどれほど早く打てるかと、期待しました。


 でも当時のワープロは100万円近くしたのじゃないかなと思います。とても個人で買える物ではありませんでした。


 会社には数年勤めて、その後実家に呼び戻されて会社を辞めたのですが、その頃にはだいぶ小型化されて、量販店などでも売られるようになったので、個人でも手に入るようになりました。


 初めて買ったワープロが東芝Rupoだったのですが、最初のは文節変換で、文節ごとに何度もEnterキーを押さなくてはなりませんでした。

 例えば、はじめて↓ 買った↓ ワープロの↓ 変換は↓ という具合です。


 その後、二台目、三台目と買い替えるごとに進化して行きましたけれど、このワープロを手に入れたのをきっかけに、私の「文字が書けなくなる」という退化がはじまったのだなと思います。


 ほんとに、恥ずかしい話ですが、手書きしようとすると、簡単な漢字も忘れているし、字が汚いし、うまく文字が書けなくなっています。

 何か進化すると、一方の何かが退化してしまうのかもしれませんね。


 その後、ワープロが壊れて、買い替えるならとパソコンを使うようになりました。

 今ではもう、私の生活に欠かせないツールになっています。

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