第36話
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〜
【STRING CHIMNEY】の近くの公園で
偶然会った 散歩中の
アミが今 幸せなのかどうか
自分の目で確かめろと
マンションの広場に
足を踏み入れたいけど
現実を受け入れるのが怖くて
…これ以上 進む勇気がない
やっぱり会わずにホテルへ戻ろう…
そう思って振り返ると
さっき 仁に抱えられていた男の子が
俺の後ろに立っていた
。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆
「うわっ…びっくりした!Σ(°д°ノ)ノ」
「…おにいさん、どうしたの?」
「えっ!?…いや…
あ、あの~…ここに少しだけ
住んでたことがあってぇ…そのぉ~
懐かしいなぁ〜 …ってな」
「じゃあ、しってる?」
「ん?何を…」
「いま、かくれんぼしてるんだけど
かくれるところ なくて…」
「そ、そうなんだ…?」
「どこか みつからないところ…
しってる?(._. )」
わぁ……( ̄▽ ̄;)
ど、どうしよう…
そんな顔して言われても…
「う~ん…( ̄-  ̄ ) ………あっ!!」
「えっ!?.。゚+.(・∀・)゚+.゚」
ストーカー女優に尾行され
撒いて帰ってきて
隠れた場所…
「ここだよ!おいで!」
「゚+。:.゚おぉ(*゚O゚ *)ぉぉ゚.:。+゚!」
マンションの脇にある
俺が しゃがんで すっぽり隠れる隙間…
・・・・・・・・・
……って
なんで俺がこの子を抱っこして
隠れてる?
どう見ても怪しいのに
この子…俺の事 怖くないのか?
「おにいさん…」
「んぇ?」
「ママと おんなじ においがする…」
「・・・・・・」
やだなぁ……
まだあの時 渡した 香水つけてんの?
もう 捨てて欲しかった…
男が女性に香水を送る意味…
アミは知ってるの?
── 独占したい ──
ライバルに取られないために
マーキングの意味を込めて…
要するに アミは俺のだ!って
言いたかったんだよ
今は ライバルの手中…
無意味だろ…
何だか…おかしな気分だ…
ホテルに帰ったら
活動拠点、探さないとなぁ…
ココの私物も桃李に頼んで
持ってきてもらわないと…
「Zzzzz…」
「っ…ちょ、ちょっと!…
かくれんぼの最中じゃないの?」
俺の腕の中で
寝息を立ててしまった
えーー!寝ちゃったよ…
どぉすんだよっ!!!!-(;゚ロ゚)-
「おい、起きろ!…」
(( ゚д゚))ノ…ユサユサ((*_ _))
「Zzzzz…(*_ _)zzZ」
お、起きない…
遊び疲れたのか?
でも……
子どもの寝顔って 可愛いんだな~
癒される…( ´ࠔ`* )フフッ
少しの間 抱っこしてると
この子の体温が伝わってきて
「あったけぇ…( ¯−¯ )…」
機内で眠れなかったもんなぁ…
( ¯꒳¯ )ᐝ…ウトウト…
Zzzzz…
・・・・・・・・・
「ミヤ──っ!どこにいるのぉ?」
( ゚∀ ゚)ハッ!
声が聞こえて目が覚める
「ミヤ──っ!みんな帰っちゃったから
出てきていいよぉ〜!」
ミヤ…
なんだか猫の鳴き声みたいで
可愛いな…
抱っこしたまま
智くんの前に出て行った
「ミヤって、この子のこと?」
「え───っ!優さん?どうして!(*゚ロ゚)」
「今日、帰国して……」
「ってか、抱っこしてるし…」
「あぁ…なんか
かくれんぼで隠れる場所…
どこか知らないかって聞かれて
抱きかかえて一緒に隠れてたら
この子、寝ちゃって…」
「(*°∀°)・∴ブハッ!!…
…あ、ごめんなさい!
ミヤは、僕以外の男の人に
抱っこされて寝たことなくて…(*´艸`)」
「そ、そうなんだ……父親の仁でも?」
「え?…」
「さっき この子…
仁を"ダダ"って呼んでたから…」
「そうなんです…仁さんは"ダダ"なんです」
「あぁ…やっぱりそうなんだ…」
改めて 確認してしまうと
さらに気持ちが重くなる…
この子は やっぱり仁の…
「……優? 帰ってきたのか?」
マンションから仁が出てきた
「…今日 戻ってきたよ」
「そろそろ日本に戻る頃だとは
思ってたけど 今日だったのか!
おかえり…(*´꒳`*)」
懐かしい仁の笑顔…
どう 反応したらいいのか 戸惑う
「た、ただいま…」
「アメリカの優の活躍、こっちでも
特集してたよ!やっぱりすごいな!」
「ありがとう…」
…気まずい空気…少し沈黙が続いた
「…優さん 重たかったでしょ!
ミヤ、預かります!」
「あ、…うん」
起こさないように智くんに渡した
「優、時間あるなら ちょっと話せる?」
「うん…」
仁からアミの様子を聞ければいいや…
今さら 俺が
"アミを幸せにしてやってくれ"って
言える立場でもないけど
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
〜802~
部屋の中は
俺が出て行った時の配置
私物もそのままだった
変わったところと言えば…
ベッドの上に ぬいぐるみが
たくさんあって…
「あの ぬいぐるみは…」
「ミヤの お気に入りのキャラだよ…
「ふ~ん…」
聞かなきゃ良かった…
また気持ちが落ち込む
自分の部屋だったのに
居心地が悪い
仁は コーヒーを淹れながら口を開く
「アメリカは、どうだった?」
「うん、たくさん刺激されて
曲作りも楽しかったよ!」
「Ked Sheeranの声、やっぱいいな!
あの〚beloved…〛、すごく良かった」
「あぁ…あの曲ね〜 …」
。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆
beloved=親愛なる
"Dear"よりも深い愛情や敬意を表す表現
アメリカに渡って
少しずつ詞を付け加えて作った曲…
滞在3年目で 世に出した
ピアノとアコースティックギターの伴奏…
ゆったりとした曲調…
歌詞も 少しだけだから
本当は出すつもりは なかったのに
デモを聴いた Ked Sheeranに
ぜひ歌わせて欲しいと懇願され
彼の優しい声で歌い上げて
大ヒットとなった
あれは
アミへの思いを込めて作ったんだよ
•*¨*•.¸¸♪.•*¨*•.¸¸♬
"愛してる"の言葉を嫌う君へ…
君の横には今 誰がいるのだろう
どうしてそこに 僕は居ないんだろう
本気で君を想ってみて
恋は苦しいものなんだと気がついた
甘く
どんなに忘れたくても無理なんだ
僕の毎日に
足りないんだよ…君が…
足りないんだよ…君が…
今すぐにでも…
今すぐにでも…
僕は…
強く抱きしめるために
君のもとへ
僕は…
僕は…
強く抱きしめるために
君のもとへ
僕は…
もし 会えたら 何度も言うつもりだ
"愛している"と…
きっと また
君は僕を好きになる
これは君のための 僕の歌
•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪
「あの曲を聴いて泣いてたよ…」
「…そうか」
伝わってたかな…
歌詞の中で何度も〚僕は…〛と言った
〚I am〛…俺とアミしか知らない 言葉
曲の中で 何度もアミの名を呼んだ
叶うかどうかもわからない
"待っていてほしい"っていう
淡い願いを込めて
それなのに…
「ミヤは 難産だったんだ…
医者には 出産の途中で
子どもは助からないかもって言われた」
「・・・・・・」
「母親ってすごいよね~
自分も苦しいはずなのに…
"この子は大丈夫!絶対死なせない!"って
叫んでた…」
「………」
「男って無力だなぁって思ったよ」
「………」
「出産してからも 寝る間も惜しんで
オムツ取り替えたり、沐浴したり
授乳や ミルクを作ったり…」
喜ばしいことなんだけど
聞いてると苦しくなる
「声出して笑ってみせたり
大きなゲップしてミルク吐いちゃったり…
寝返りも 伝い歩きも…
初めて歩いた時も…全部…っ…」
俺は今……
何を聞かされてるんだ?
アミと結婚して
父親になったっていう自慢だろ…
もう聞きたくない…
「……幸せそうで 良かったよ」
淹れてくれたコーヒーにも
手をつけることなく…
玄関に向かおうとした
「アミさんは、ずっと
…優のことが好きだったよ」
「は?…何言ってるんだ?」
「何度も甘い言葉で口説いて
俺のものにしようと迫ったけど
全然ダメだった…
見向きもされなかったよ」
「仁は アミと…結婚したんじゃないの?」
「…残念ながら 結婚は してないよ
アミさんは 優…
お前の子を産んだんだよ」
「……えっ?」
「アミさんから 妊娠してることを聞いて…
仕事の邪魔をしたくないから
優には言わないでくれって
口止めされたんだ」
いや、待て待て…
「…母子手帳を見せられた時の俺のこと
お前に 想像出来るか?
もう 落ち込んだのなんのってぇぇ…
その場で膝から崩れたからね…
今 思い出しただけでも 泣きそうだぁ…
_(┐「ε¦)_パタリ…」
ちょっと待て…
頭の中が 散らかって
整理がつかない…
「悪い…最初から説明してくれ……」
一時帰国した時の
アミの あの発言は全て演技だった…
俺を アメリカに送り出すための
苦渋の決断…
仁とも同時に関係があったんだって…
俺は…遊ばれていたんだと
すっかり騙された
「何だよ…それ…っ…」
「ごめん…
俺がアミさんに 優と別れてくれって
頼んだんだ…」
週刊誌に撮られたことをいい事に
改めて アミに告白したこと
あの日は
ずっと電話に出てくれなかったアミに
別れるのかどうかを聞きに行って
偶然 帰国した俺に会ってしまったと…
「優のために
あそこまでやるアミさんに
正直 戸惑ったよ…
だけど、今思えば
優をアメリカに行かせる為には
あの時に あぁするしか無かった…
アミさんも 後悔してたと思うよ…」
「はぁ…すげぇな、アミ…」
「俺は本気で アミさんを好きだった!
それは嘘じゃないっ!!
……だけど それ以上に
アミさんは お前のことを想っていたよ」
「………俺もだよ
悔しいけど この5年間ずっと
忘れたことはない…忘れられなかった」
「さっきは 意地悪して
ミヤの成長を語ったけど
あれは全部 智から 教えてもらったこと!
…受け売りってやつだ
実際には 出産にも立ち会ってないし
ミルクも作ったこともないから安心しろ!
懐いてくれるミヤが可愛くて
俺が勝手に会いに来て
勝手に溺愛してるだけ…
本当の父親には勝ち目はないのに…
悔しいから
"ダダ"って呼んでもらってるだけだから!
父親は優だ、こんにゃろ~!۹(◦`H´◦)۶」
アミは 俺の子を産んだのか…
何も言わないで…
「こんにゃろ~って言われても…」
「ダダって呼んでくれるうちに
俺の事…父親にしてくれるかと思ったけど
ミヤの中では
おもちゃ買ってくれるお兄さん…
なんだろうな〜」
「そんなことないよ…
自分のことを愛してくれてる人だって…
ちゃんと わかってるよ」
「ミヤと初対面のくせに
抱っこで寝かせやがって!クソ〜っ!
俺には出来なかったのに〜ぃ!(´^`*)」
「嫉妬か…(*°∀°)・∴ブハッ!!」
「あ!そうそう…
退職願は 受理してないから」
「え?」
「あの時のことは、ホントにごめん…
桃李から退職願を置いて行ったって聞いて
すげぇショックだったよ…
だけど 俺の相方は
やっぱり、優しかいないんだよ…
明日からまた
優と一緒に頑張っていきたいんだ…」
「これからどうしようかって思ってたから
そう言ってもらえて 助かるよ!
…ありがとう、仁
こちらこそ よろしくお願いします!
…それと 俺がいない間
アミを支えてくれてありがとう…」
「……やーー!ムカつく!
早くアミさんを持ってけ、泥棒!」
「どっちが泥棒だよ(ノ∀≦。)ノ」
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