第34話
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
〜
アメリカに来てから3ヶ月…
朝起きてからのルーティンも
定着してきた
失恋の痛手は 思いのほか
曲や詞を生み出す
膨大なエネルギーとなって
こぼれる
芽吹く喜びを音で奏でたり
面白いほどイメージが湧いてきた
夢が叶って 嬉しかったはずなのに
アミに出会って 世界に対しての熱量が
変わってしまって
待たせようか 連れていこうか
このまま 傍にいようか…
アミと話をする前に
あんな形で離れることになって
アミにとっての 5年は
やっぱり長かったってこと
年齢なんか気にしたこと無かったのに
言われて初めて
俺より年上だったのか…って
まだ 知らないことばかりで…
「ハァ━(-д-;)━ァ...」
きっと このまま 忘れるから…
もう少しだけ 想っていてもいいかな
。゜⋆。゜⋆
ブーッ、ブーッ…
電話が震える
「
──「うおぉ!電話に出たぁ!
無視されるかと
ビクビクしてましたァ〜!」
「無視するなって言ったのは 桃李だろ!」
──「アハハ!そうでした!
…優さん、調子は どうですか?」
「うん、まぁ ぼちぼち…ってところだよ」
──「それは 良かったです!」
あ、
今、モデルの仕事から始めてますよ」
「智くん 可愛いから すぐ売れるぞ」
──「仁さんも同じこと言ってました!」
「・・・・・・」
──「Goff化粧品のメンズコスメも
売れ行きは上々です」
「…そっか」
そっち系情報は
あまり聞きたくなかったんだけど
──「他に何か…僕に聞きたいこと
ありますか?ふふふっ」
「……面白がってるだろ、桃李!」
空気読んでくれよ…
まだまだ胸が痛いんだよ
これ、ホントに時間が解決するのか?
体が離れてしまえば
心も冷めてしまいそうで怖くて
ずっと…引き摺ったままなんだ…
──「優さん?」
「あ、ごめん…」
──「忙しかったですか!すみません!
また電話します!
無視しないでくださいよ!」
「わかってるよ!」
。゜⋆。゜⋆
"アミは 今 どうしてる?"
なんて聞いたところで
どうせ
よろしくやってるんだろうけど…
「・・・・・・」
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
〜 アミ side 〜
優が日本を発って半年の月日が流れた
最初の3ヶ月は
どこを見ても、何をしていても
何でもかんでも
"優"に結びつける日々
最近は
少しだけ落ち着いた
"1日を締めくくる場所"
夜のベランダだけは
特に思い出深くて
そこに行けば もっとツラくなる気がして
ずっと避けていた
でも今日は
綺麗な上弦の月…
月明かりに導かれるように
ベランダに出てきた
「………」
頬杖ついて 月に問いかける
「会いたいから ここに連れてきてよ…」
私も勝手なこと言うよね〜
傷つけたことは
一生 忘れちゃいけない…
私のところには もう戻らない…
寂しくて欠けてしまった心
また満ちることは あるのかな…
「……ないよなぁ」
そうよ!半年も経ったんだ
あっちは 若くて可愛い誰かと
付き合ってるかもしれないし…
年中 発情期っぽいし…変態だし…
私のことは もう…
思い出したくもないはず…
「はぁ〜…」
振り返って リビングに入ろうとすると
ベランダの隅っこに
ビニールの塊が置いてあるのに気づく
「…ん?…ゴミ?」
こんなところに
置いた記憶ないぞ?…
ビニールの塊は ちょっと固くて
隔て板の枠に挟まっていて
引っ張り出すのに 一苦労だった
*・゚・*:.。.*.。.:
「姉ちゃん…お風呂いいよ!
ほら 風邪ひくってば!早く中入って!」
「あ、うん!」
「それ 何?」
バスタオルを頭に被ったサトが
私が持っていた塊を指さした
「ベランダに置いてあったゴミ…」
「ゴミぃ?!僕 捨てておくよ!」
「じゃあ、お願い!」
「長湯しないでよ!」
「ふふ…( ´ࠔ`* )わかってるよ」
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
〜
「これゴミ…なの?」
僕には、何か包まれてるように見えて
ビニールを剥がしてみることにした
「ドカーン!って
爆発したりしてぇ!キャーーー(゚ロ゚;ノ)ノ」
剥がす前に
まずは そのブツに耳を当ててみる
無音だ…
ガサガサ…
雨に当たっても平気なように
頑丈に防水テープが巻かれ
それは紙袋に入っていた
誰かに
見つけてもらえるように…
「(ノ∇≦*)アハハハ!ゴミじゃないよ これ~!!!!!」
…姉ちゃんの部屋に置いておこう
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
お風呂あがりのコーラをサトと飲んで
自室に戻る
ガチャ…
「……ひぃっ!さ、サトぉぉぉ!!!」
ガチャ…
「な、何!!」
サトが慌てて入ってきた
「これ…」
「うん、ゴミ!」
「は?」
「ゴミの正体、それだったよ」
優が使ってた ヘッドフォン…
これで 何曲も聴かせてもらった
「…どうして今頃出てくるのよー!
ふ、不法投棄…っ…」
「意地悪いよなぁ、優さんも(*´艸`)フフフ
もう、向こうで
変装の必要ないもんね~!
半年間もベランダの隅に放置されて
可哀想なヘッドフォン!(ノ∀≦。)ノぷぷ-ッ」
〚充電したら使えるから大事に使って!〛
付箋に優しい字で書いてあった
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
ある日の夕方
管理人室には、お客様が来ている
「……」
「・・・・・・」
「………」
「・・・・・・」
「よぉ…」
「・・・・・・・・・」
「おぅ…」
「・・・・・・・・・・・・」
「アミ…エントランスにある
エーイーデー(AED)持ってきてけれ」
「だ、ダメだって!そんなことしちゃ!」
「
お
「ブガッ…お!…俺か…」
「飛車さ、指に挟んだまま お
天に召されたかと思ったべや…ボハハ!」
「(*°∀°)・∴ブハッ!!w お疲れですね、善吉さん」
「善つぁんは、いつも
…本名
ジジイの将棋仲間
対局中…考え込むと寝てしまう
面白い人
「・・・・・・」
「おるァ!善っつぁん!
お
「……( ゚∀ ゚)ハッ!また、寝てしもた!
はて…どこに指すんだっけな…」
「ワシに聞いてどうするだよ!」
「アハハハ!漫才見てるみたい(*´艸`)」
「アミちゃん、これ終わったら お
今日は孫が迎えに来てくれるから」
「アミ、部屋さ 戻っていいど!
あとは
アレしてもらうから」
「うん、ありがとう!
善吉さん、ごゆっくり(*´꒳`*)」
コンコン…
管理人室の窓口をノックする音
振り返ると
ニッコリ笑う 木村さんが立っていた
*・゚・*:.。.*.。.:
管理人室から出ると
「アミさん!」
「お疲れ様です、木村さん」
「ねぇ…仁くんって
呼んでくれないの(´⌒`。)グスン」
「え〜!ヤダ〜!」
「アハハハ…ダメかぁ~」
何かと私の世話をしようとする
「今日 ヒマ?」
「まぁ…予定は無いですけど…」
「じゃあ、ご飯食べに行こ!」
「…またですか(´-ω-`)」
しょっちゅうご飯に誘われる…
サト曰く
私を堕とそうとしてるようです…
「最近、コンビニのおにぎりとスイーツに
ハマってるんですよ、私」
「俺買ってくるよ!
何がいいの?どこのコンビニ?
何個食べる?」
「(〃゚艸゚)プッ」
「あ…アミさんが笑ったァー!"(ノ*>∀<)ノ」
木村さんなりに
気を遣ってくれてるんだろう
"別れてほしい"と言った手前
罪滅ぼし的な…
私が決めたことだから
気にしなくてもいいんだけどなぁ
自動ドアが開く
「あぁっ!また姉ちゃんを口説いてる!」
「お!
「サト、お疲れ様!(*´꒳`*)」
社長と社員の関係…
802号室は 今…木村さんが
マスコミ回避のために
たまに出入りしていて
相変わらず自宅と事務所とココを
転々としている
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
~803~
「智、子どもは早く風呂に入って寝ろ!」
「仁さん、ひどいですぅ(´⌒`。)グスン」
「これからは
アミさんと俺の時間だ…
ゆっくり入ってこい(。-∀-)ニヤリ♡」
「何言ってるんですか…(´^`*)
木村さん、最近は当たり前のように
ここに来てご飯食べてますよね~( *¬ω¬)」
「アミさんの作ったご飯
美味いんだもん!」
「僕が風呂上がる前に
帰ってくださいよ!
姉ちゃんに手を出さないでくださいよ!」
≡┏( `Д´)┛
バタン…
「智、怖〜い♡(。-∀-)」
「園さんには この前連絡しましたからね!
羽玖井宅出禁にしてくださいって(*´艸`)」
「桃李は関係ないだろ!( *¯ ³¯*)」
「その顔、私の真似ですか?( ´ࠔ`* )」
私が優を忘れられないのも
知っているはずなのに
キッチンで食器の片付けをしようと
立ち上がると 腕を掴まれ
優しく抱きしめられる
「ごめんなさい…木村さん」
「わかってる…」
そう言いながらも
耳や頬に 唇を落としてくる
「こんなに好きなのになぁ…
その気になってくれないもんな~
あんなキスしてくれたのになぁ~」
優と別れるためにしたキスを
未だに根に持っている
「あれは、ホントにごめんなさい…」
「俺じゃ…やっぱりダメなの?」
抱きしめながら
寂しそうにいう木村さん
「ごめんなさい…」
「キスしたい…」
「ダメです…」
「(´;ㅿ;`)えーん!頑固者ぉぉぉ~!
後悔しても知らないからなぁ~!」
「私は1人でいいんです…
傷つけた罰を背負って このまま1人で…っ」
木村さんは私の話を
キスで遮った
グイグイと温かい舌で
私の唇をこじ開ける
「ぁっ…」
強引なのに優しくて
唇をグルっと舌で なぞられるだけで
気が遠くなりそうで
木村さんの調子に合わせて
私も舌を動かしていた
しばらく絡めて
唇を離すと
「セフレで良いから…
俺を受け入れてよ…」
そう囁くと 息遣いも荒く
耳に唇を這わせた
「ぅん…ちょっと木村さん!」
「仁くん…でしょ」
「じ、仁くん…やめよう…ね?」
「大好きだよ、アミ…」
そう言って
唇を貪りながら
私の下半身にスルスルっと
木村さんの手が伸びてきた
……ダメっ
「仁くん、やめてっ!」
「人肌恋しいんだ、俺も…
アミ…俺を 癒してよ…ぉ…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます