第29話

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 日曜日 AM10:00

 広告の撮影…


 今日も太陽が眩しい…



『無事に飛んだかな〜』

 手で陽射しを遮りながら空を見上げ

 ゆうの仕事が

 滞りなく終わるよう…天に祈る




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 カメラのシャッター音と共に


「ど〜ん♡いいわよ、木村さん!

 かっこいいわよォぅ♡素敵っ♡

 たまらないわねぇ♡ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙…」



 郷布ごぉふさんの黄色い声も響いて

 スタッフ一同、笑いをこらえる…


 郷布さんの近くにいた

 アシスタントの難田なんだ 君羽きみはさんが

 こちらに向かって走ってきた



「アミさん ちょっと来てもらえますか?」


「え?私?」


 |ノд・)ヒソヒソ

(木村さんに

 気づかれないように こちらへ…)


(…気づかれないように?)



 郷布さんの後ろに立つように

 君羽さんに指示された


 |ノд・)ヒソヒソ

(アミさん、笑っててください…)


(はい?)



 当の木村さんは

 こちらに背中を向けて立っていた



 郷布さんが

「いいわよ、木村さん!

 こっち向いてぇ〜♡はい、ド〜ン♡」



 合図を聞いて振り向いた木村さん



 ぎこちない笑顔の私と目が合うと

 一瞬、驚いた顔をしたあと

 満面の笑みになった


 連写音…

 カシャシャシャシャシャシャシャ…!!!!


 木村さんの素敵な笑顔を見た私は

 心臓が口から飛び出るんじゃないかと

 思うほどドキドキした…


 さすが 人気俳優…

 イケメンスマイルの破壊力は

 強烈です…_(┐「ε:)_パタリ



「ぎゃ───っ!!!!OK〜OK〜〜!!!!!

 最高よぉ♡木村さ〜ん♡

 やだ!アミちゃん、はやくティッシュ!!!!

 出ちゃいそう!(´□`*)アーン 出るぅぅぅぅ♡」



「急に呼ばれて

 ティッシュくれって言われても!

 待って、カナやん!

 何が出ちゃうんですか?!」



 ポケットに入っているティッシュを

 あるだけ出した


「どんだけ持ってんのよ〜♡

 や〜ん!ホントに出てきちゃったぁ〜

( ´ ii ` )ダバー…」


「な〜んだ、鼻血か…(*´艸`)ブハッ♪」



 クスクス笑いながら

 木村さんが近づいてきた


「一発OKで良かったァ〜ε-(´-`*)ふぅ

 振り向いたらアミさんがいて

 嬉しかったよぉ( *´꒳`*)」



「その笑顔で

 どれくらいの女性を落としたんですか?

 ズキュンって撃たれました( *¬ω¬)ジトー」



「ホント?!」



「嘘です(ノ∀≦。)ノふふふ…」



「落としていいなら

 落とすつもりでいくけど?…ん?|´-`)チラッ」



 近づいて 私の顔を覗き込んで

 ニヤける木村さん…



「(´▽`;;)アハハ…こっち見ないでぇ〜」



 最近の木村さん…

 揶揄からかう度合いと距離がバグり気味!

 …勘弁してよぉ〜(´^`*)



 この感じなら きっと優は

 木村さんに私たちのことは

 話せてなさそうだなぁ…




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 〜 咲 side 〜



『ん?何、あの光景…』

 木村さんと アミっぺ…近いッッ!!!

 最近 随分と仲が良いような…



「( ̄-  ̄ ) ンー…匂うなぁ…」



「え?…くさい?朝のキムチか…」


 隣で一緒に撮影を見守ってた俊が

 ボソッと呟いた



「え!朝からキムチ食べてきたの?

 じゃあチッスは お預けか…」


「な、な、何言ってんだ!?(///ω///)」


「(*°∀°)・∴ブハッ!!w

 しませんよ、安心しなさい!

 いや、アミっぺよ…」


「アミが どうかしたのか?」


「木村さんとの距離、近いと思わない?」


「アミは、案外

 誰とでも話せちゃうからなぁ〜

 2人で じゃれ合ってるだけじゃないの?」


「なんか最近のアミ…

 垢抜けたのよねぇ〜

 もしかして 本気の恋って

 木村さんと?!」


「…それ、姉御の勘か?」


「…姉御って」


「アミが咲を姉ちゃんみたいに

 慕ってるのが いつも見ていてわかるよ!

 たまに危なっかしい時も

 あるもんな、アイツ(´∀`*)ヶラヶラ」


「アイツ?

 いつもアミを見てるってこと?(ボソッ)」


「…ん?咲?」


「…それ、なに目線?男目線なの?」


「何で?」


「……っ…」


「同期目線だよ…(* ̄m ̄)プッ」


「…そ、そう(/ω\*)」




 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆




「はい、そこの2人!

 イチャイチャしない!」


 アミっぺがニヤニヤしながらやってきた


「ねぇ、アミっぺ?

 本気の恋の相手って、もしかして…」


「シ━━━ッd((ˊ皿ˋ ;)

 ダメ!ここじゃ言えない!|ノo・)ヒソヒソ

 もう少し待ってて…必ず言うから!

 ってか…

 どうして俊マネもニヤニヤしてんのよ!」


「聞こえてるぞ!本気の恋だって?

 咲からチラッと聞いた…( *¯ ꒳¯*)」


「わ〜!ドヤってる!

 …まぁ、俊だから別にいいや…」


「"俊だから"って その扱い方!雑だな!

 仮にも俺は上司だぞ!((´∀`*))ブハッ」




 やっぱり3人が一緒だと楽しい…


 アミっぺは…いつ教えてくれるのかな〜




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 PM 1:20

 撮影が無事終わった


さとしちゃん、今日は来てなかったわね~

 可愛いお顔、撮りたかったのに(*´~`)ン~」


 郷布さんが私に話しかけた


「入院していた祖父が

 明日 退院することになって

 私たちは仕事や学校で

 病院には 迎えに行けないから

 身体ひとつで帰って来れるように

 サトに頼んで 病室にある荷物を

 引取りに行ってもらってます…」


「頼りになるオトコになったわね〜♡

 はぁ〜美味しそう♡

 パクッとってしまいたいわ♡」


「やめて!(´-ω-`)スーン」



「そうだったんだ…退院、良かったね!」

 

 待機場所に戻ってきた木村さんも

 微笑んだ


「ご心配おかけしてすみません:( ;´꒳`;)」


「さて、撤収しようか!」

 俊が声を発する



 木村さんは私に耳打ちする


((*•/(•ω•* ))ヒソヒソ

(この後、よろしくね)


(。 ´-ω)(ω-`。)ヒソヒソ

(一度、家に帰りたいんですけど…)


((*•/(•ω•* ))ヒソヒソ

(わかったよ! じゃあ…17時ころ

【CHIMNEY】の駐車場で待ってるよ)



 耳打ち、やめてよぉ〜

 ドキドキさせないでください…




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 PM3:00過ぎ…

 家に着くと

 スマホがメッセージの通知で震えた


 お!サト…


 ──"姉ちゃん、撮影お疲れ様!

 ジジイの荷物は

 管理人室に入れて置いたよ!

 汚れた下着類は、

 洗濯機の前に置いてあるから!

 これから友達と遊んでくる!

 じゃあね〜♡"


 "ジジイの荷物、ありがとう!

 私は17時から

 例のお母様のプレゼントを買いに

 木村さんと出かけてくるよ!

 私もまた連絡する!!!!"


 さて…ジジイの洗濯物、洗ってしまおう




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 〜じん side〜



 一度事務所に戻ってきた


「おかえりなさい!」

 スタッフの桃李とうりが出迎えた


「休みなのに、ごめんな!」


「いえ、気にしないでください!」


「戻る時、また連絡するから…」


「わかりました!

 気をつけて行ってらっしゃい(*^^*)」




 。゜⋆。゜⋆




 約束の PM 5時…の30分前…

【CHIMNEY】の駐車場



 早く着いちゃった…

 優の部屋で時間潰すか…?

 いや、住人が不在なのに

 勝手に上がれないよな…


 居ない時にも 散々 部屋に入ってたのに

 今日は 何となく部屋には入れない

 背徳感みたいなものが

 胸をざわつかせた



 緊張する…



「はぁ〜…」

 ため息をついて項垂うなだれていた



 ちゃんと 話せるかな…

 色々 イメトレしていると



 コンコン…と

 助手席の窓をノックするアミさん


 手招きをするとドアを開けて

 車に乗り込んだ


「ごめんなさい…待たせちゃいましたね」


「いや、俺が楽しみで

 早く来すぎちゃって(;´∀`)…ァハハハ…ハハ…ハ…」


「連絡くれたら 早く降りて来たのに〜

 ふふふ(*´艸`)

 あ、すみません…

 タメ口で話してしまって:( ;´꒳`;)」


「いやいや、いいんです!

 タメ語でお願いします!…あ、敬語…」


「(´・ω・):;*。':;ブッ…」


「逆転しちゃった。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ」



 エンジンを掛けて



「じゃあ、行こうか!」


「はい!」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 車内では アミさんから

 母親の詳細を聴取された…


 そして 今までプレゼントしたものと

 被らないように

 母親が好きそうなものを

 色々考えてくれた


 男じゃわからない

 母親に対する ちょっとした気遣いに

 ドキドキする…


 アクセサリーの店、ブティック…

 他に思い当たる店を回り

 無事に購入出来た



 店の駐車場に戻って

 エンジンを掛けようとしたら



「あと…これ、私からお母様に…」


「えっ…」



 小さな紙袋に入ったものを渡された



「あ、そんなに高価なものじゃなくて

 私も使ってるハンドクリームです!

 伸びもいいし、潤うし、香りも良くて!

 気に入ってもらえるといいんですけど…」



 そう言って カバンから

 自分のハンドクリームを取り出し

 実際塗って


「ほら、いい香りでしょ?」



 目の前にアミさんの細くて長い指先



 ・・・・・・



 鼻を近づけると

 自分好みの香りが鼻の奥をくすぐった



「・・・・・・」



「あ、ごめんなさい!

 この香り、好きじゃないかぁ…」


「…好き」



 引っ込めようとしていた手を

 堪らず 握った



「……ぇ…ぇっと…木村さん?」


「ごめんね…少しだけ…」


「は、はい…」



 アミさんのスベスベの手を きゅっと握る



 ……耐えろ、まだだ



「・・・・・・」


「はぁ…チャージ完了(*´꒳`*)」


「(´艸`)プッ!なんのチャージですか?」


「アミさん…もう少し、時間ある?」


「……え?」


「うちの事務所と智くんが

 契約するにあたって

 後見人にあたるアミさんに

 署名してもらいたいところがあって…

 一応、書類は社外持ち出しが

 出来ないことになってるから

 事務所でサインお願いしたいんだ…」


「サトは まだ未成年ですからね!

 …わかりました!」


「今、スタッフに電話するから

 ちょっと待ってて…」



 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆



 スマホを取り出し

 事務所にいる桃李とうり

 一報をいれる



「あ、俺だけど…

 これから行くから、用意しておいて」



 ──「わかりました!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る