第27話

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 〜 じん side 〜



 メンズコスメの広告撮影が終わり

 事務所に戻ると

 スタッフの桃李とうりから

 週刊 Boom Boomの記者から

 連絡があったことを知らされる


 電話をしてみる…




 ──「実は いい写真 撮れちゃいまして」


「……じゃあ、見せてよ」




 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆




 しばらくすると

 事務所に その記者がやって来た


 ヤニ臭いヨレヨレのスーツを着崩した

 ガタイのいい髭面ひげづらの中年男性…



 週刊 Boom Boom

 記者 飯野下いいのか 勇造ゆうぞう



 名前からして おどしてる感じだな…



 記者は 数枚の写真を広げ

 ニヤニヤと笑う


「ね、良く撮れてるでしょ…」


「・・・・・・これかぁ・・・」


「仁さん……」

 桃李は心配そうな顔をしている


「今回、有難いことに

 持ち込みも あったもんで…」


「持ち込み…ねぇ…

 で…これ、いつ出る予定?」


「明日、原稿をチェックしてから

 印刷の発注かけるので

 中吊り広告は来週に…

 その1週間後には 店頭に並びます」


「……そうなんだ」


「木村さん、この女性…

 芸能関係の人じゃないですよね?」


「……なるべく

 顔 わからないようにして欲しい」


「…そうも いかないんですけどね〜

 まぁ、何とかしますよ!

 恋多き 世間お騒がせ俳優 木村 仁を

 仕留めた一般女性…かぁ…

 この方とは どういう関係なのか

 聞いてもいいですか?…

 ん〜…キープみたいな感じですかね?」




 張られてることに

 気をつけなきゃならなかったのに

 一緒にいるだけで舞い上がって…



 素直に思ってることを話した…



「今は 誰とも付き合ってない…

 この女性には

 俺の一方的な片想いだよ…

 彼女と話をしてると自然と笑顔になる…

 大切にしたいから 近くにいたいのに

 …遠い存在っていうか」



「なるほど…」



「………アハハッ…

 どうせ また盛って書くんでしょ?

 とりあえず 近々 彼女にも話すから

 少し待ってて…」



「…わかりました」




 *・゚・*:.。.*.。.:




 記者の飯野下は 写真を置いて

 帰っていった


 どっと疲れが出た…

 ソファーに寝っ転がり

 天井を見上げた




「・・・なぁ、桃李」


「はい?」


「・・・俺、頑張ってるよな?」


「もちろん!頑張ってますよ!」


ゆうより?」



 桃李は 少し興奮気味で話した


「うわぁ…それは 比べられないですよぉ!

 優さんも 海外でも

 仕事しちゃいますし~(´^`*)

 仁さんも 新人の時から

 世間の注目を一身にうけて

 どんな仕事も全力でぶつかって!

 僕は おふたりの努力を

 そばで ずっと見てきましたからね!

 おふたりとも お互いに支え合いながら

 充分過ぎるほど頑張ってます!

 凄い人達です!…

 うっ…ごめんなさい…っ…

 はぁ…あれぇ…っ…

 なんか 泣きそうだぁ…(´⌒`。)グスン」


「(´▽`*)アハハ…桃李のベタ褒め!

 めちゃくちゃ嬉しい!照れるなぁ…」


「仁さん…」


「ん?」


「あの写真の女性…本気ですか?」


「え?」


「…女性のことを あの記者に話す

 仁さんの表情が

 すごく柔らかかったので…

 今まで撮られた女性とは

 違うんだろうな〜って…」



「よく見てるなぁ〜( ´∀`)ハハハ」



 撮られた人となんて

 恋愛に発展したことは無い

 ただの売名だから…

 


 どうして優よりも先に…という後悔が

 俺の中で渦巻いた


「桃李……協力して欲しいことがある」


「はい!」



 そう…これも

 優の夢を叶えるため

 優を送り出すため


 そして、俺にとっても…

 必要な事なんだ



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 忙しい毎日に振り回されて

 あっという間に 金曜日が来てしまった


 日曜日には海外に行ってしまう優


 出発する前にデートをしようと

 彼は言った




 仕事も定時で終わらせて

 ジジイのところに寄った


 お互いの近況報告…


 ジジイは

 来週にも退院して良いみたいだ

 優とのことは 既に報告済み

 とても喜んでくれていた


 洗いたての新しい下着等を置いて

 急いで 自宅に戻り

 ジジイの洗濯物を干して…

 サトの夕食を作って

 出掛ける準備を急いだ



 *・゚・*:.。.*.。.:



「わぁ〜!.。゚+.(・∀・)゚+.゚」


「ん?」


「かっこいい車に乗ってたんだね」


「乗せる機会なかったよね!

 ってか…仁の車に

 先に乗っちゃうんだもんなぁ…

 悔しい…o(`ω´ )o」


「仕方ないでしょ〜!

 家まで送ってくれたんだから…」


「断れよっ!(´^`*)」


「怒んないでよ!

 今日は せっかくの

 デートなんだし!ね!(*´艸`*)」



 *・゚・*:.。.*.。.:



 車内では、優が手がけた

 あらゆる曲が流れる


 中には、ラジオで

 何度も聴いたことがある曲も…


 どんなジャンルも 中毒性がある

 感動!の一言に尽きる


 改めて 優は すごい人なんだと

 実感させられる


 私…

 とんでもない人と一緒にいるよね?

 大丈夫なのか?Σ(º▵º*)



「ん?どしたの?」


「…優は凄いなぁって」


「そんなことないよ…」



 *・゚・*:.。.*.。.:



 イタリアンレストランで食事して

 外に出ると

 辺りは もう暗かった



 作業に行き詰まった時に

 よく行くという場所に車を走らせ

 連れて行ってもらう



 手を伸ばせば届きそうな

 満天の星空

 月光に照らされて風が凪いでいる

 人気ひとけの無い 海に来た




 砂浜を歩く2人の足音

 歩幅も速さも 合わせてくれる



 こんなに近くに

 そして 自然に

 変装なしの優と一緒にいる



 "堂々と手を繋いで歩く"



 有言実行…

 車の中でも 車を降りても

 ずっと手を繋いでいた


 この歳になっても

 ときめくことってあるんだなぁ…



 水面がキラキラと光って

 静かな波音が聞こえてきた



「アミ…寒くない?」


「うん、大丈夫!

 でもちょっと 風が出てきたね」


「俺は寒いっ!!((((;゚Д゚))))」


 そういうと

 ぎゅっと抱き締めた


「はぁ…行きたくないッ!

 飛行機 乗りたくないッ!

 アミを小ぃちゃくして

 ポケットに入れて持って行きたいッ!!!!」


「( ´∀`)ハハハ !! 小さくなったら面白いね!」


「ずっと 一緒に居られると思ったのにぃ~」


「たった10日間でしょ!

 きっと あっという間だよ(*´꒳`*)」



 ホントは寂しいよ…

 仕事だから…仕方ない!

 ちょっとだけ 平気なフリ…




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 ~優 side~



 毎日のようにベランダで話をして

 たまに こうやって抱きしめて…


 出会ってから

 一緒に居ない時間なんて

 ほとんど無いくらいだったのに

 10日間だぞ?長いだろ(´^`*)


 でもまだ

 アミに肝心なことは言えてない


 とりま10日間

 向こうでしっかり仕事して

 それから話そう



 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆



 車に戻って

 ある物をアミに渡した



「…これは?」


「開けてみて…」



 アミって…

 ラッピングは破らずに

 綺麗に開けるんだなぁ…( ๑ㆆ ㆆ)ジ──ッ



「おお!これぇ!!∑(๑ºдº๑)!!」


「今日の記念にあげる!

 …離れていても

 一緒にいる気分になるよね?」



 渡したのは 俺愛用の香水…



「ありがとうっ!!嬉しい!

 この香り 大好きなの!!!!(*´꒳`*)」


「…俺のことは?」


「…ぁぅっ……ちょっとぉ……(/ω\*)」


「うわぁ惜しい〜!

 流れで言うかと思ったのに!(´▽`*)アハハ」


「…ゴメン…ネ」


 申し訳なさそうに 小さく謝った


 アミの中では

 ずっとNGだった言葉だもんなぁ…

 まだ…抵抗あるよね…



「向こうの仕事が終わって

 帰ってきたら …

 言って欲しいなぁ…」



 外は暗いのに

 助手席の彼女の頬は

 ほんのり赤く染まって見えて

 その頬に触れた俺の手を握って

 唇を押し当てた



 ぅぉお、( ºДº)/オイ


「はぁ…

 あのねぇ!!ここ、車の中だよ?

 誘ってんの?」


「…誘ってるって言ったらどうする?」


「…っ……ぬあぁ、もう!…行くぞ!」




 車を走らせ

 予め予約しておいたホテルへ行く

 



 部屋に入るや否や


 熱い吐息とともに

 首筋に唇を這わせながら

 服を脱がし合って

 カラダを軽くしていった


 ベッドにダイブすると

 なまめかしい唇に食いつく



 離れることの寂しさも忘れるくらい

 触れて…貪って…噛んで…見つめて

 …弾いて…印して…落ちて…沈んで

 囁いて…微笑んで



「ゆう…っ」


「もう1回 呼んで…」


「…言わない…んっ(´^`*)」


「アハハ!…良いな その顔…」


「変態っ…はぁ…」



「そろそろ付k…」




 アミは俺の首の後ろに両腕を絡め

「大丈夫っ、ちょうだいっ…」



 ゾクッ……



 互いによく知ったカラダ

 直に触れて

 水気を含んだ音を立てて

 こすれ合うオレアミ


 最後まで欲しがるアミが

 妖艶に乱れていく



「アミぃ…もっと乱れろっ…」



 奥歯をギシギシ いわせて

 無我夢中で揺らした



「ほら、顔見せて…っ…」



 らしていたアミが

 俺の方に視線を向けると

 みるみる瞳を潤ませていく



「はぁ…ちぎれそうっ、ぁっ…」



 カラダをらせては

 き続ける



 ……絶景だ



「ぁっ..はぁ....ァミぃ、出るっ」


「奥ぅ、あっ……ゆうっ!」



 名前を呼んだ口をキスで塞ぎ

 もう少しで こぼれそうだった

 "愛してる"の言葉を飲み込んだ




 アミは 俺の愛を…


 余すことなく 受け止めてくれた




 外が明るくなるまで

 お互いのカタチを記憶させるように

 乱れつがって


 何度もじ込んでは

 たくさん啼かせて 耳に焼き付けた




 離れていても

 心は繋がっているように…




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 ~さとし side~



 ジジイのいない管理人室

 


 教えてもらった業務にも

 慣れてきて

 月〜木曜日は 姉ちゃんが

 金曜日は バイトが休みの僕

 土日は 2人で管理人代行



 本当はもっと 姉ちゃんを手伝いたい!

 姉ちゃんだって仕事しながら

 ジジイの代行…


 "サトスの仕事は〚勉強〛だでよ…"

 ジジイの真似して 姉ちゃんは言う


 早く大人になりたい!




 さっき優さんと一緒に出掛ける

 姉ちゃんを見送った


 2人とも すごく

 嬉しそうな顔しちゃってさぁ…


 "今日は僕、1人ぼっちかぁ~"


 少し寂しい反面…

 実は 幸せな気持ちだった



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 コンコン…

 窓口からノックが聞こえて振り返ると

 笑顔の仁さんが立っていた



 管理人室から出ると

 エントランスにあるソファーに

 仁さんが座っていた


「智くん、お疲れさま!」


「仁さん、おかえりなさい!」


「アミさんは まだ帰ってきてない?」


「姉ちゃん、今日は仕事終わって

 帰ってきたんですけど

 用事があって出かけてるんです(*´꒳`*)」


「…そうなんだ

 ゆうも 出かけてるんだよねぇ…」


「…あ、優さんも出かけてるんですね!」


「どうしようかな…」


「どうかしたんですか?」


「母親の誕生日が近くてさ…

 毎年プレゼント買ってるんだけど

 ネタ尽きちゃって~

 アミさんに何がいいか 相談に乗って

 もらいたかったんだよぉ(´^`*)」


「姉ちゃん、そういうの得意ですよ(´ー`)」


「ホント?

 じゃあ 用事から帰ってきたら

 電話くれるように伝えてくれる?

 あ、前に渡した名刺は

 まだ持ってるかな~」


「僕から仁さんの番号 教えておきます!」


「うん、ありがとう(*´꒳`*)」



 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆



 〜仁 side〜



 やっぱり そうなんだ…


 優も出掛けてると言ったら

 智くんの表情が少し変わった



 きっと 優は今


 アミさんと一緒にいる…

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