第23話

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 

 木村さんに助けてもらった日から

 てつくんからも音沙汰なく

 過ごしていた


 当の木村さんとは

 仕事上、気まずくなるのは避けたくて

 普段と変わらない接し方をしている


 ゆうへの楽曲依頼も

 立て込んでいるらしく

 ベランダで少し話すくらいで…



 そんな中

 メンズコスメ広告の撮影が始まる



 快晴にも恵まれた

 郊外にある大きな広場で

 眩しい太陽の下

 カメラマンの郷布ごぉふさんの

 掛け声に合わせて

 木村さんの笑顔が光り シャッター音が

 鳴り響く



「ハア〜ン♡木村さん!

 もう ちょ〜っとなのよ〜ヽ(´Д`;)ノ...」


「…あ…ダメですかね?」


「もっと、こう…なんて言うのかしら…

 大好きな彼女のことを思って

 心の底から

 愛しさが込み上げて来た時の

 "あぁ~ん♡好きィィ〜♡"っていう顔…

 わかるかしら?」


「…うわぁ…む、難しいですね((>_< ;)」


「恋多き俳優なんでしょ?出来るわよ♡」



 *・゚・*:.。.*.。.:



 木村さんの側で

 撮影を見守る 俊と さきっちょ…

 サトと私は スタッフ待機場所にて

 休憩用の飲み物や軽食の用意等で

 ワタワタと動いていた



「姉ちゃん、どうしたらいい?」


「ん?何を?」


じんさんに事務所に来ないかって

 誘われたんだ」



 サトは いつの間にか

 木村さんにも懐いてしまって…

 "仁さん"と呼んじゃってる( *¯ㅿ¯*)アァ…



「学校に通いながら

 芸能活動してる人もいるみたいだよ?

 じっくり考えて決めたらいいよ…」


「えっ…Σ(゚д゚;)」


「な、なに…( 'ω')…」


「…い…いいの?」


「うん、サトに任せるよ」


「え〜!なんか拍子抜け〜( ˙罒˙)」


「大反対して欲しかった?(*´艸`)アハッ」


「僕、やってみたい…

 有名になって…

 姉ちゃんとジジイと幸せに暮らす!

(∩´∀`)∩なんちゃって…」


「言うようになったねぇ〜( ´Д`)σ)Д`)コノコノ〜

 厳しい世界だよ…

 思い通りにいかないことの方が

 多いと思う…

 逃げたくなったら 逃げてもいい!

 私は いつでもサトの味方ということを

 絶対に忘れないで…ね!」


「うん(*´꒳`*)」



 *・゚・*:.。.*.。.:



 〜じん side〜



「郷布さん、すみません…

 休憩挟んでもらっていいですか?」


「イイわよ…♡疲れたでしょ(´∀`*)ウフフ

 ドラマとは違うから

 表情固くなっちゃうのかしらね…ムハッ♡」



「…そうかもしれませんね(;´∀`)…ァハハハ…」



 上手く表情が作れない…

 ドラマのポスター撮りの

 経験だってあるのに



「はぁ…」

 

 調子悪っ…



「木村さ〜ん!」ε=ε=ε=(ノ*>∀<)ノ


 少し離れたところから

 アミさんが走ってきた


「郷布さんから休憩するって聞いて!」


 冷たいおしぼりと

 アイスコーヒーを持ってきてくれた


「ありがとう!(´▽`)」


「…大丈夫ですか?」


「え?…」


「苦戦してたみたいだったので…」


「ごめんね、なんか上手く出来なくて」


「いいえ(*´꒳`*)」



 近くにいるだけで

 ドキドキする…ハハッ…大丈夫か、俺…



「あ!もしかして…郷布さん…

 木村さんに無理難題な注文とか

 してきたんじゃないですか?

 とにかく細かいし ネチっこいんですよ!

 まぁ そこも面白いんですけど(ノ∀≦。)

 しっかり私から カナやんに

 注意しときますからっ!!!!!」


「(〃゚艸゚)プッ…カナやん…」


「郷布さんが 私に

 カナやんって呼べって言うんですよ!

 しかも イントネーション?

 "ナやん"って言えば

 虫の〚カナブン〛みたいでイヤッ!!

 カやんなのよ!"だって!

 ねっ!細かいでしょ?

 どっちでも 変わらんっつうの!!!!

 ネチっこいから

 "根知ねちネチぞう"って

 呼んでやろうと思います!( *¯ ³¯*)」


「∵ゞ(≧▽≦๑)ぶはっ…」


「あら、笑うところありました?(´・ε・`)」


「その 唇 とがらせる表情

 可愛いな〜って!(´▽`)アハハハ」


「可愛い顔では無いですよ!

 サトにも言われるんです、笑えるから

 やめてくれって!」


「・・・・・・俺は好きだよ、その顔」


「やー!やめてくださいよぉ!(/ω\*)」


「アハハヾ(≧∀≦*) 隠さないで!

 ほら もう一回、見せてよ〜!」



 アミさんといると…癒されるなぁ…



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 〜ゆう side〜



「・・・・・・」


『仁との距離が近いぞぉ…離れろぉ…』

 ๛( *¯−¯ * )ンンーー…アミに念を送る


「優さん!」


「智くん!!」


「その後 姉ちゃんとは…どうですか?」


「はい…

 仲良くさせてもらってますよ( *¯ ꒳¯*)」


「よかった(*^_^*)

 姉ちゃんから

 優さんとのことを聞いた時

 僕、すごく嬉しかったんです…」


「・・・・・・そっか」


「姉ちゃんのこと

 よろしくお願いします|ノд・)ヒソヒソ」


「おぅ!任せとけ( ¯꒳¯ )b」


「でも…今…

 仁さんとめっちゃ距離近いな〜(゚ロ゚;ノ)ノ!」


「…やっぱ、そう思う?」


「仁さんには…

 姉ちゃんとのことは…?」


「いや、まだ言ってなくて…」



 そろそろ アミとの事 言わないと…

 そして アミにも言わなきゃ…



 ブーッ、ブーッ…


 電話が震えて

 ディスプレイを覗く…


「あっちは…夜中か……(ボソッ)」


「え?」


「ちょっと 電話に出てくるよ!…」


 智くんに 一言いって

 その場を離れた



 *・゚・*:.。.*.。.:



「Hello?(もしもし?)」


「Hi, Yu!

 I'd like to meet up with you soon,

 when can you come?

(こんにちは、優!

 そろそろ会って打ち合わせしたいのですが

 いつ来れますか?)」


「I'm sorry.... Wait a little longer.

 I will be sure to visit you at your

 convenience.

(ごめんなさい…。もう少し待ってください。

 必ず都合をつけて そちらに伺います。)」


「I'm looking forward to it!

 Be sure to meet up!

(心待ちにしてます!必ず会いましょう!)」


「I understood! Thank you!

(わかりました!ありがとうございます!)」



 …はぁ

 行きたくねぇ〜



 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆



 電話が終わって戻ると

 アミが待っていた



「おかえり(*´꒳`*)」


「あ…ただいま(´∀`*)」


「優も飲む?アイスコーヒー…」


「え…今、なんて言った?」


「アイスコーヒー飲む?って…」


「いや、名前…」


「あ…誰もいなかったから つい…(>ㅿ<;;)」


「…|ノд・)ヒソヒソ

 "優"って呼ぶのは

 ベッドの上だけにして…( ¯﹀¯ )/+*エヘヘッ」


「で、出た!変態!(;≧△≦)ウワァ…」


「(*つ▽`)っ)))アハハハ …

 今晩、早速名前呼んでもらおうかな〜

 ニヤリッ( -∀-)」


「こ、こん…ちょっとッ!!!

 今 そういうこと言わないでよっ!(/ω\*)」


「あ〜楽しい(๑´ㅂ`๑)」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 〜仁 side〜



 さっきまで横にいたアミさんが

 スタッフの待機場所に戻って

 …優と2人 楽しそうに話している



「打ち合わせで 何度も会ってるし

 あの調子なら もう

 優の顔も わかってるんだろうな…

 ・・・・隣に住んでるし

 仲良くなってても仕方ないか」


 少し嫉妬混じりに 開き直ってみる



 ブーッ、ブーッ…



 ポケットのスマホを取り出す


 ん?…




「もしもし??」


 ──「仁さん、お疲れ様です!

 今、電話していても大丈夫ですか?」


 声の主は

 YJプロダクションの事務スタッフ

 その 桃李とうり

 事務所を、立ち上げる時に決めた

 "女性は雇わない"


 イケメンたちに落ちたら困るだろ…



 ──「週刊Boom Boomの

 飯野下いいのかさんって人が事務所に来て

 仁さんと連絡取りたいと…」


「週刊Boom Boom?」


 ──「仁さん、最近…会いました?」


「いや、会ってないけど…」


 ──「そうですか…う〜ん

 じゃあ 何の件なんでしょう…」


「さぁ〜な…飯野下って人の

 連絡先聞いていたら

 番号送っておいて!」


 ──「わかりました!」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 休憩も終わるか?

 そろそろ撮影再開…だな


『よし、今度こそ 一発OKで…』


 と、思いきや



「木村さんの撮影…

 今日は終わりにしましょ!!!!」


「えっ…(; ꒪ㅿ꒪)郷布さん?」



 NGばかり出したから、機嫌損ねたか…



 郷布さんの元に行き 謝った

「すみません、表情作れなくて…」


 ところが…


「ふふふ、アタシを誰だと思ってるわけ?

 プロのカメラマンよ…( *¯ ꒳¯*)」



 周りのスタッフも キョトン顔(*・ω・*)


「見る?」



 カメラの中のデータを

 皆で頭を突き合わせて覗く



「えっ…いつの間に(;・∀・)」



「こんなにいい顔出来るなんてね〜♡」


 そこには 撮影では上手く作れなかった

 満面の笑みが写っていた


「休憩で気が緩んでたのね!

 木村さん とてもいい表情してたから♡

 これ ある意味 盗撮だわねヾ(  ̄▽)ゞアハッ」



 そう言って

 郷布さんは俺に耳打ちする


 |ノд・)ヒソヒソ

(あ〜た…アミちゃんのこと…♡)


「い、いや…えっ!!!!∑(°∀° )

 そんなつもりじゃ…Σ(///□///)」


「アタシが注文した通りの顔が

 できたって事は

 そういうこと…でしょ?( ・ω< )⌒☆ウフッ」


 アミさんとの会話が楽しくて

 口を尖らせた表情で爆笑した時…


 とても穏やかで心の底から喜んでる…

 そんな笑顔で映ってる俺を見て

 自分でも 良い顔してると

 思ってしまった…



 やっぱり…俺…

 アミさんのことを……

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