第22話 The story of Shun and Saki ①

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 しゅんと 休みの日に行こうと約束した

 アミっぺ爺ちゃんの見舞い




 お互い、車の免許を持ってないから

 駅で待ち合わせしたんだけど


 病院へ向かう道中…



「あれ?…なんか変だな…」



「・・・・・・(。´-д-)ハァ-」


 あのさ…

 さっきから、何してるの?

 右足と右腕、同時に出して歩くって

 ロボットか?!


「俊、大丈夫なの?」


「俺、歩き方…忘れたのか?

 おかしいな…≧(´▽`)≦アハハハ」


 笑い事じゃないでしょ…

 どこからどう見ても変よ…


 通り過ぎる人が、みんな振り向くのよ…

 恥ずかしいったらありゃしない…


 そりゃあ、緊張するよね…

 今から会いに行くんだから



「ちょっと 止まろうか…」


「はぁ…どうしたんだ俺…(ノ∀≦。)ブハッ」


「どちらかの手

 ズボンのポッケに入れて!」


「え?」


「会社でも そうやって歩いてるでしょ!

 ほら!いいから!ポッケに IN !!!!」


「こう?」



 俊の左腕に私の右腕を絡ませた


「なっ!!!!Σ(///□///)お前、何して…」


「はい、歩いて!」


「え…!おぉ〜歩けた!( ゚∀ ゚)ハッ!」


 世話がやけるのよ…(´△`)はぁ…


 でも…ギャップがあって面白い

 仕事はバリバリ出来るのに

 ところどころポンコツな俊…




 人の気も知らないで…


「・・・・・・」


 男の人と腕を絡めて歩いたのは

 もうどれくらい前だったかな…なんて

 記憶を辿ったぐらいにして



 。゜⋆。゜⋆



 俊、アミっぺ、私…同期3人は


 良きライバルであり

 良き理解者でもある…


 あとは、そうだなぁ〜

 イジり甲斐のある相棒達…

 とも言うべきか…



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 中でも

 アミっぺは 何でも話せる友

 喧嘩もするけど

 何だかんだ一緒に居て楽しい!


 育った環境のせいで、

 上手く恋愛出来ないアミっぺ


 間違ったこともする!

 だけど そんなアミっぺを

 私は支えたいと思ってる


 さとしくんのことも

 爺ちゃんのことも

 私が幸せにしてあげるんだ(*˘︶˘*).。.:*♡

 そう言って頑張るアミっぺは 可愛い!


 なんだろう…無邪気な妹…

 みたいな感覚ね



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 爺ちゃんが倒れた日に

 アミっぺから電話が来た


「大丈夫なのっ?なにか手伝おうかっ?

 今1人?」


 私が慌てて聞くもんだから


 ──「大丈夫だよ、さきっちょ!

 今、ひとりじゃないから平気…」


「智くんもいるのね?」


 ──「うん、サトもいるし 他にも…

 あ、何日か休むけどごめんね!」



 …よぉ!他にもって誰よ!!


 聞こうとしたら忙しいみたいで

 電話が切れて…


 お互い仕事も色々立て込んでたり

 アミっぺのセフレの

 ゴタゴタとかあって

 聞けてないわけよ…



 今日の お見舞いの目的は…

 爺ちゃんに 俊を会わせること…



 "真剣に恋愛してみたら?"って

 アミを少しあおった手前…

 本当は 胸が苦しかったけど



 私が2人のことを

 手伝ってあげようかなって…



 そして…私の気持ちも

 整理しようかなって…



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



「待て待て待て…

 ワシ、この前 手術終わったばかりだど?

 心臓止める気か、おぇ!

 さ、さちっちょ!

 オトコ連れてきたのかぁぁ!

 うぇァ───?!( ⊙Д⊙)」


 めっちゃ驚いてる(ノ∀≦。)ノ


「爺ちゃん、元気そうで良かったよ!」


「だ…誰だ、チミは!!」


 俊に向かって爺ちゃんが叫ぶ(*´艸`)


「この人ね、アミっぺの上司だよ!

 私達と同期なんだけどね!」


「あれまぁ〜こりゃ失礼した(*・ω・)*_ _)」


「はじめまして!

 企画開発課の南野みなみのと申しますm(*_ _)m

 お加減は いかがですか?」


「今のところ いい塩梅です!

 いや〜アミが お世話になって…

 あの子、ちゃんと仕事してんのかい?

 ボハハハ…」


「はい、アミさんには

 色々助けてもらってます!」


「……仲良いもんね(ボソッ)」


「ん?さちっちょ、あんだって?」


「あ、いや…なんでもない(*´꒳`*)」



 *・゚・*:.。.*.。.:



 爺ちゃんが笑顔で

 アミっぺと私のことを話す…


 俊も終始笑顔で相づちを打っていた


 仕事以外の私たちのことも

 少しは知ってもらえたかな?


 帰る頃に、爺ちゃんが


「南野さん…アミと さちっちょのこと

 よろしく頼みますね!」


「はい!」



「特に、さちっちょは…

 頑張り屋さんだからな

 ワシが言うのも何だけどよ

 助けてやってけろ…」


「あ!爺ちゃん!

 そういうの言わなくて良いよ!

 私は 1人でも平気だから!

 アハハっ(ノ∀≦。)ノ」


「アミと一緒だど?

 さちっちょも

 ワシの孫みたいなもんだからな」


「爺ちゃんとは 遊び仲間だよ〜(´^`*)ムー」


「咲も、そんな顔するんだな(´∀`*)ヶラヶラ」



 やばい…見られてしまった…



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 あれは…

 入社して3年くらいたった頃かな〜


 営業回って会社に戻って

 休憩スペースに差し掛かったところで


 泣いてるアミっぺに

 俊がハンカチを渡しながら

 少し嬉しそうに笑って…

 頭を撫でてるところを見ちゃって…



 入社してから泣くも笑うも…

 3人で一緒に頑張ってきた同期なのに


 チクッと胸が痛かった…



 当時の私にも付き合った男が

 何人かいたけれど


 "咲は、俺が居なくても

 1人で大丈夫そうだし…"


 振られ文句の大半がコレ…

 いい加減、そんな言葉にも慣れちゃって



「はぁ…(。´-д-)

 自分のことぐらい

 自分でやるでしょ、普通…

 もしかして…頼られたかったの?」



 なんて…本当は悔しいくせに

 涙より ため息を垂れ流して

 強い女を演じちゃって…

 意地っ張りで可愛くな〜い!



 私の両親は、祖父母の介護もしてたから

 負担かけたくなくて 私は昔から

 全部自分で出来ることはしてきたの…


 私は 間違ってないわよ…



 *・゚・*:.。.*.。.:



 意識したことなんてなかったのに…



 世話のやける弟みたいな俊が

 アミっぺの前では

 あんな顔して 笑うんだ……



 "あぁ…そっか…

 俊はアミっぺのことが好きなんだね"



 2人の じゃれ合いは

 まるで兄妹喧嘩みたいで

 ずっと羨ましく思ってた


 まぁ 部署も一緒だし

 話す機会は 私よりもあるし


 …私だって俊のこと

 勇気出して…

 イジったりしたの!

 会議中に頬触ったり 抱きついたり!


 ば、場違いだったかも しれないけど!


 顔赤くして、嫌がられるし...(lll-ω-)チーン

 やっぱりイジらなきゃ良かったって

 後悔した…


 いつまでも先に進まない2人を

 見てられなくて


 今回、俊を爺ちゃんに

 会わせることができたから

 もっと…アミっぺを意識してもらって…



 それから……っ…



 えっと……それから…




「・・・・・・」


「咲?…どした?」


「え?」


「病院出てから

 半分 魂抜けてるみたいだぞ?

 休みの日でも

 ゆっくり休めてないんだろ?

 景気づけに 飯でも食って帰るか!(´∀`*)」


「…景気づけって…呑気だなぁ、俊は」


「何がだよ…」


「アミっぺの爺ちゃんに会ったんだから

 もっとアピールしないと…」


「ん?何のアピールだ •́ω•̀)?…

 アピールするようなもんでもないだろ?

 俺ら 同期だし(´∀`*)」



 何をすっとぼけてるんだ、この人は…



「…好きなんでしょ?」


「…は?何の話?」


「俊が!」


「何を?」


「アミっぺを!」


「え?なんで?」


「な、なんでって…」


「・・・・・・・・・」



 俊は、黙ってしまった…

 やばい…直球過ぎたか…


 私も私で

 苦しくなってる…



 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆



 無言のまま

 駅を通り過ぎた



「あ…俊、駅…」



 私より 数歩先を歩いてる俊が

「もう少し、付き合え…」


 こっちを見ずに 言った



 ホント…俊って

 ポンコツに見えたり かっこよく見えたり

 どうなってんの?


 会社でも…ギクシャクしちゃうのかな…

 お節介だった…よね…

 言わなきゃ良かった…



 しばらく歩くと


「ここ、入るぞ…」


 古風でオシャレな外装の小料理屋から

 美味しそうな香りが漂う



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



「いらっしゃい!俊ちゃん!…っ…

 あ、あわわ…

 アンタぁ!!俊ちゃんがぁぁ…」


「何だ、騒がしい…っ…だあぁ〜〜!!!!」


 ここ、なんですか?

 私を見て、目を丸くする

 店のご主人と女将さん?…ぽい2人



 お店の常連客が何名かカウンターに…

 その中の一人が


「どうした、大将!

 フグみたいに口がパクパクしてるぞ!

(≧∇≦)ブヒャヒャヒャ!!!!」


 そばにいた 他のお客さんも笑い出した



「おじさん、前に話したことあったよね?

 彼女が 咲だよ…」


 俊が2人に 私を紹介した


 ってか、前に?話した?何を?



「いや〜そうか!

 とうとう連れてきたか!

 オイちゃん…

 嬉しくて涙出てくらぁ!(´⌒`。)グスン」


「ぁ〜泣くなよ、恥ずかしいっ!」


「大将!

 なんか わかんないけど良かったな!

 ほら!一杯飲んで、落ち着け!(´▽`*)アハハ」



 話が見えない…

 なぜ、ご主人は泣いてるんだろ…



「咲さん、こっち座って!」


 女将さんが

 個室の小上がりに案内してくれた



 俊と 向かい合わせに座らされる




「………」



「・・・・・・」



「咲…」


「ん?」


「勘違いしてる…」


「……ん?」


「俺は、アミのことは

 気を許せる同期としか

 思ったことないよ」



「…っ…だって、あの時!」


「…どの時?」


 今、頭ポンポンの真相を聞く その時!


「な、何年か前に泣いてたアミっぺを…

 頭…ポンポン…ってやってたしっ!」



 ムキになることないのに…


 私は、俊とアミっぺのことを…っ…

 2人を…くっつけようと…



「頭ポンポン?いつだ?

 そんなの しょっちゅうだけど?」



 んな……何だと?!( º言º)

 私の見てないところで…

 いつもやってる事なのかっ!



「アミっぺが…俊をいい男だって

 言いながら泣いていて…その…っ…」


「あ〜!あれか!」


 襖が開いて

 美味しそうな料理が運ばれてきた…

 私の大好きなビールと共に…


 目の前に置かれたビールを

 一気に飲み干した俊


「ちょ、ちょっと!乾杯しないの?」


「ぷはーぁ…ε=(´∀`*)……Σ(゚□゚)あっ!!

 か、乾杯は、またあとで…」



 少し沈黙…この間は何よ?!

 俊は割り箸を割って…

 また箸置きに戻すと



「あの時は…その…」



 俊は、何を言うんだろう…



「やっぱ…ここではちょっと言えない…

 ァ…アミに聞いてくれ…」


 アミっぺに聞けって?

 ……何それ


「…わかった」


 要するに、言いたくないのね…



「せっかくだから、食べよ!

 温かいうちに…」


「そうだな…」


 もう、気にしないでおく…

 どうせ また

 俊にも強い女だと思われてるだろうし…



 。゜⋆。゜⋆



 結局、後でするといった

 乾杯もしないで

 食事をして店を出た…



 スッキリさせたい…

 このモヤモヤを…



 アミっぺに…聞かなきゃ…

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