第20話

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 打ち合わせの時間が押して

 帰りが遅くなった



 木村さんに送ってもらうことになり

 車内では雑談の合間に

 サトに芸能界へのスカウト…


 そして

 木村さんから


「…アミさん、僕と付き合いませんか?」


 突然の告白…?!


 今のは聞かなかったことに…

 と 言われたけど

 聞かないことに出来ないよぉヽ(´Д`;)ノアゥ...


 助手席にいる私に向かって

 手が伸びてきて頬を触られたり…



 芸能人ともなれば

 こういうことも日常茶飯事なのかな




 家に着くまで

 私は生きているだろうか…



 脳内で、仏壇のりんが鳴り響く


(*´-ω-)ノ"Ωチーン(*´-ω-)ノミ☆ポクポク

 ばあちゃ〜ん!

 どうしたらいいのぉ!(*」´□`)」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



【STRING CHIMNEY】駐車場に着いた



 木村さんの運転する姿…


 なかんずくっ!!!!!


 片方の手のひらで

 ハンドルをクルクル回し〜の!

 反対の手は

 助手席ヘッドの後ろを押さえ〜の!

 バックミラーや

 時々後ろを見ながら〜の

 車庫入れ…ガン見now(*´°`*)ハゥ


 世の中の女子が

 間違いなくドキドキする!

 かっこよくて サマになる!


 カメラマンの郷布ごぉふさんが

 ファインダー覗きながら

 鼻血が出ると言ってた…


 わかる気がする…(゚ー゚)(。_。)ウンウン

 


 エンジンを止めると


「はぁぁ〜…」

 木村さんがハンドルを抱えながら

 大きなため息と共に 突っ伏した


「長時間の打ち合わせで

 疲れましたよね…

 すみませんでしたm(_ _)m」


 と 頭を下げると


「いや…

 打ち合わせのことじゃなくて……」


 突っ伏した腕から

 チラッと 上目遣いで こちらを見ると


「ドライブみたいで楽しかったのに…

 もう着いちゃった…はぁ〜…」

 と、もう一度ため息をついた


 ……(///∇///)…は、はい?

 ちょっとズキュン…可愛く見えた…

 やっぱり芸能人は、あなどれない…

 あざとっ!!!!



 スルーするわけにもいかず


「そ、そうですね〜

 着いちゃいましたね〜(;´∀`)…」


「次の打ち合わせの時も

 一緒に帰りましょう(*´꒳`*)」


 と、言葉が飛んできた


「(;´∀`)…ァハハハ…ハハ…ハ…」


『なんて答えればいいのぉぉ〜』


 早く車から降りないと…

 確実に心肺停止!死ぬっ!


 ばあちゃ──ん(」°ロ°)」Help me !!!



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 私たちは 車を降りて

 他愛のない話をしながら

 マンション前の広場に差し掛かった



「アミっ!!!!」


 聞き覚えのある 私を呼ぶ声が聞こえて

 足を止めた


 少し離れたところで

 こちらを見ている


てつくん…」


「どうして着拒にするの?

 まだ話は終わってないだろっ!!!!」


「私は もう会わないって言ったよ!

 話することも無い…」



 ((。・ω・)σツンツンツン

「アミさん…困ってる?

 …良かったら 助けようか?(ボソッ)」


 背中をつっつかれ

 木村さんの小さな声が聞こえた



 哲くんは きっと このままでは

 引き下がらないだろう…


 まずは、この場を切り抜けるために


( '-')( ._.)コクコク…

 哲くんに わからないようにうなずいた



 すると木村さんは

 グイッと私の腰に手を回し 歩き出した


「僕に合わせて…(ボソッ)」


 彼の顔を見上げると

 『これが…"役者魂"なのか…』


 木村さんの 目付きが変わった




「ねぇ…アミ、今日のご飯 何?(*´꒳`*)」

 と、木村さんは にっこり笑って

 こっちを見た



 き、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!



「きょ、今日は

 ぉ…ぉ親子丼…なんだな〜ぁ…」



 ちょ、ちょっと待ってぇ〜:( ;´꒳`;)


 ぎこちない返し…

 親子丼って!!!!


 私に演技力は皆無…(lll-ω-)ポンコツ…

 木村さんは 今にも

 吹き出しそうな顔をしていた…



「その人、誰?」

 イライラした面持ちで

 哲くんが発した言葉に


「あなたこそ、どちら様で?」

 木村さんも応戦…


「お、俺は…っ……」


 そうだよね…彼氏でもないんだから…

 答えられないよね…


 そして、苦しそうに


「アミ…」

 一言、名前を呼んだ…


「哲くん…

 私たちは終わったんだよ…だから…っ」


 もう来ないで…

 と 言おうとしたら

 哲くんが目を丸くして

 木村さんを指差した



「…やっぱり見たことあると思った!!!

 アミ、だまされんなよっ!!!!

 その俳優、何人も女が居るんだっ!!!!! 」


「・・・・・・」


「……何人も女?人のこと言えるの?

 知りもしないのに

 勝手なこと言わないでっ!!!!

 木村さんは そんな人じゃないっ!!!!

 もう、ここには来ないでっ!!!!!」


「……アミ、行くよ」


 木村さんは さらに

 私の腰に回している腕に

 チカラを入れ 歩き出した



 哲くんの前を通り過ぎる…


「愛してる…アミぃ……」


 私の背中に

 哲くんの泣きそうな声が触れる


 木村さんは、気にせず

 私に 柔らかな笑顔をくれた



 振り返らず

 エントランスの自動ドアを開けて

 中に入ると

 まだ広場にいる哲くんに

 見せつけるように

 木村さんが私を抱きしめて

 小さな声で言った


「否定してくれて嬉しかった…

 ありがとう…」


「いえ…こちらこそ…

 巻き込んじゃってすみません…」


「・・・・・・行こう」


 

 体を離すと 木村さんは

 まだ演技を続けてくれて

 手を繋いでエレベーターを待つ


 エレベーターに一緒に乗って

「木村さん、もう…大丈夫です…」


「いや、しばらくこのままで…」


 

 優しく繋がれていた手は…

 一瞬 キュッとチカラが加わった



 *・゚・*:.。.*.。.:



 8階に着いた


 エレベーターを降り

 マンション前広場を見下ろした


 まだ、居る…


「…(。´-д-)ハァ-」


「こっち見てるね…

 アミさんの部屋に真っ直ぐ行こう」


 メスカマキリの時と一緒だ…

 仕方ない…


「そうですね…」


 鍵を開けて先に部屋に入ると

 木村さんも あとに続いた


 バタンっ…

 玄関ドアが閉まると同時に


「迷惑かけてしまって

 本っ当にすみませんでしたっ!!!

 一役買ってくださって

 助かりました!

 さすが俳優さんですね!(*´꒳`*)

 目の前で演技が見られて

 ドキドキし…っ…」



 言い終わる前に


 木村さんは 再び私を抱きしめ

 腕に力を込めた



「あの人…誰?…彼氏?」


「…いえ、彼氏じゃないです」


「……そっか」


 

 ずっとドキドキしていた

 どこまでが演技なのか わからなくなる



 すると リビングから

 ──「姉ちゃん?帰って来たの?」


 サトの声が聞こえて

 木村さんが体を離した


「智くん、居たんだね…

 さっきのスカウトの件は

 また後日 智くんに話すから…」


「…わかりました

 今日は、ありがとうございました!」


「おやすみ…アミさん…」


「おやすみなさい…」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 〜仁 side〜



 部屋に戻る前に

 広場の方をチラッと見る

 あの男性は、居なかった



 らしくない…

 色々、急ぎすぎた…

 やばいな…



「…はぁ」



 。゜⋆。゜⋆



 優の部屋に入る



「お!仁、遅かったな…」


「あぁ……

 智くんは?無事に送ったの?」


 アミさんの部屋に居るのを知ってて

 すっとぼけて聞く


「アミさんとこに泊まるって言うから…」


「そうか……」


「どした?…疲れたのか?」


「……今日、ココに泊まっていいか?」


「あぁ…いいよ」


「サンキュ…」


「………」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 〜803〜



 リビングに入ると


「おかえり、姉ちゃん!遅かったね」

 サトがキッチンから顔を覗かせた


「木村さんに

 ここまで送ってもらったよ」


「木村さんの車、カッコイイよね〜!

 優さんの車も

 大きくてカッコよかったよ!

 僕も早く 車運転したいなぁ〜((( *´꒳`* )))」


「まずは

 自動車学校に行かないと…だね(´∀`*)フフッ

 18歳の誕生日が来たら、通う?」


「うん(*´∇`*)」


「……ハァ…」


「…姉ちゃん?大丈夫?

 お腹すいたの?」


「え?…うん、すいた!」


「カレー全部食べちゃったから

 おにぎり作ってあげる!(*´꒳`*)」


「わぁ!嬉しい!ありがとう!(´▽`)」


 はぁ…癒されるこの笑顔…最高か!!!!



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜




 サトが寝静まった頃

 長湯して 少しのぼせた体を冷やしに

 ベランダに出た



「はぁ〜…」

 今日は 何だか…色々ありすぎた…



 哲くんは もう諦めてくれたよね?



 木村さん…

 あの告白は 本気じゃないよね?




 ……私は



 …カラカラカラ

 隣から窓を開ける音



「アミさん 居る?…少し話せそう?」

 須賀さんの声…



「あ、はい!」


「今日は長かったね〜打ち合わせ…」


「はい、時間押しました…

 あ!サトを送ってくれて

 ありがとうございます!」



 須賀さんの声を聴くために

 ベランダへ来ることが

 すっかり習慣になっている



「帰りが遅いと ちょっと心配だなぁ〜

 ほら、俺みたいなカマキリ変装して

 後ろからけられたら怖いよ〜!

 アハハハ !!!」



 初めて会った時のこと…思い出した


 あの時は ホントに怖かったなぁ…

 須賀さんのことを変出者だと思って

 急いで歩いて…カマキリって…

 失礼なことを…



「……木村さんに送ってもらったんです」


「…そうなの?

 アイツ 何も言ってなかったなぁ…

 ここに泊まるって

 今、風呂入ってるよ…」



 "別に内緒にすることでもない…

 哲くんとの関係も清算出来たから"



 そう判断した私は

 哲くんがマンション前にいた事や

 木村さんに助けてもらったことを

 須賀さんに話した



「咄嗟に恋人役をしてくれたんです…

 木村さん、凄いですよ!

 自然すぎて演技に見えなくて

 もう、ドキドキしちゃって…」



 すると…



「……アイツに…何かされた?」


「え…っ…」


「鍵、開けて…」


「はい?」


「今、そっちに行く…」



 …カラカラカラ



「いや、サトが居るから…っ…!

 す、須賀さん?」



 既に彼の気配は

 ベランダには なかった


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