第14話

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 〜ゆう side〜



 昨日の修羅場が気になりつつ

 曲作り合間の息抜きがてら


 俺は あるところへ足を運んだ



 *・゚・*:.。.*.。.:



「あれま〜須賀つぁん、

 てくれたのか!

 色々迷惑かけて済まなかったなゃ」


「いえ、俺は何も…」


「アミが須賀つぁんがいてくれて

 心強かったって言ってたど」


「…今だから言いますけど

 実は、俺もテンパってたんですよ(´∀`*)」


「あんだって!(。⊙д⊙)

 怖い思いさせてまって

 ホント申し訳ない…」


「いえいえ…もう気にしないでください!

 顔色も良さそうで安心しましたε-(´∀`*)」


 少し間を置いて管理人さんが

 口を開いた


「…ワシがいない間

 アミ達は、大丈夫そうかね」


「仕事や学校の合間に

 管理業務も2人で協力して

 やってるみたいですよ!

 智くんが言ってました」


「そうけ…」


「心配ですよね…(´▽`*)アハハ」


「特に…アミには

 小さい頃から 迷惑かけてるんだ…

 さとすも あんな環境の中

 まっすぐ育ってくれて…」



 "あんな環境…"


 今じゃないと 聞けないと思った

 …気になっていたことを

 恐る恐る聞いてみる


「智くんが…

 ご実家のことを"牢屋"だと話していて

 すごく気になったんですが…

 どういうことなんですか?」


「どうしたもんかなぁ…

 一人娘だからよ…

 大事に育てたつもりだったんだが

 ワシら 間違っちまったんだなぁ…」



 そういうと

 アミさん姉弟の母親…

 管理人さんの娘さんのことを

 話してくれた



 。゜⋆。゜⋆



 娘さんは アルバイト先で知り合った

 妻子持ちの男性との子を

 20歳で出産…それがアミさん


 結婚なんて以ての外

 以来…男に執着するようになり

 男にすがらないと 何も出来ない


 夜の仕事をしながら また未婚で

 智くんを出産したけど

 育児は ほとんど

 まだ幼かったアミさんが

 弦さんの奥さんに習いながら

 やっていたという

 家を出入りする男もわるわる…

 未だに 男に振り回されているという…


 ベッドに横たわりながら

 寂しそうな顔をして

 管理人さんは話を続けた



「アミは、高校卒業してすぐ

 ワシのマンションに越して

 そこから専門学校さ通ったんよ…

 ホントはさとす

 連れてきたかったけど

 まだ小さかったから

 母親さとすを離さなかった…

 さとすが家に居るのに

 知らない男が出入りしてたってよぉ…

 居心地悪かったべなぁ…」


「・・・・・・」


「アミも小さい頃から

 そんな母親をずっと見てきたから

 …結婚はしないで

 さとすとワシらの面倒をみると

 言ってるんだ…

 まぁ…ばぁさんは

 先に逝っちまったけどよ…」


 昨日の修羅場も

 なんとなく事情がわかったような…



「ワシは まだ 生きなきゃなんねぇ…

 アミとさとすが幸せになるところを

 見届けるまでは…死ねねぇんだ…

 ばぁさんとの約束だしよ…ボハハハ…」



 そうだよな…

 管理人室で ご飯を一緒に食べた時

 管理人さんは

 アミさんと智くんのやり取りを

 嬉しそうに見ていたから



「須賀つぁん、不束ふつつかな孫娘だけど

 よろしく頼むよ…」


「はい…」


 ・・・・・・・・・・・・


 ん?話の流れで返事しちゃったけど?


( ゚∀ ゚)ハッ!


「え、えっ?」


「ボハハハハ…っかかったなゃ!」


「いやいや、引っかかったって…」


「ワシが意識朦朧いしきもうろうとして

 処置室に入ってた時に、おめぇ

 アミば抱きしめてたってか!うぇぁ?」


「…あっ!」


「それさ目撃した看護師さんが

 教えてくれたんだで!

 最初、さとすかな〜?って思ったけどよ!

 よくよくいたら おめぇ

 一緒に救急車ちゅうちゅうしゃに乗ってきた

 イケメンだっつぅからよ!

 それ、須賀つぁんだべ?」



 ガー(꒪д꒪)ーン…

 誰もいないと思ってたのに…

 見られてたっ…


「すみません…

 管理人さんが大変な時に

 不謹慎でしたよね…

 でも、あの時は!!!!

 不安そうにしているアミさんを

 抱きしめたいって思ってしまって…」


「(´-ω-)ウムウム…」


「決して、生半可な気持ちで

 あんな事をしたわけじゃないので…

 これからの事も

 ちゃんと考えて…その…」


 って…何言ってるんだ?‎(꒪꒫꒪ )オイオイ…

 これじゃあ、まるで…

 好意を持ってると

 言ってるようなもんで



「わかってるよ…

 手も繋いで走ってたもんな…」



 手も繋いで……あっ!!!!!

 ストーカー女に尾けられた時かっ!?



「そ、それも見てたんですか?!」


「まぁ…ひねくれたアミを堕とすのに

 ちょっと時間かかると思うけどよ…

 ひとつよろしく頼むよ(´∀`*)ボハハハ」



「はい…」


 って、また( ゚∀ ゚)ハッ!


「お、堕とすって…

 管理人さんっっ!!!!ヾ(・ω・`;)ノ」


「ボハハハハ!

 須賀っつぁんイジると楽しいな!

 もう、"管理人さん"じゃなく

 "ゲン"で えぇよ!」



 アミさんとの間には 何となく

 太い線を引かれていて

 安易に踏み込めないような

 そんな雰囲気があったから…


 事情が聞けてよかった


 心を開いてくれないのは

 お母さんのことが

 関係してるのかな?


 だけど 俺は今…

 弦さん のあおりにノって

 ますます気になるアミさんを

 堕とそうとしている…


 オンナに"追いかけられる"側から

 オンナを"追いかける"側へ…


 …それも悪くない



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 家に戻ると


「おっ!おかえり!どこ行ってたの?」

 仁がコーヒーを淹れていた


「あ!俺も飲みたい!」


「OK!」



 *・゚・*:.。.*.。.:



「管理人さんのお見舞いに行ってたんだ」


「えー!俺も行きたかった(´^`)

 で、管理人さん…体調の方は?」


 仁も心配していたので、容体を話す

 もちろん、アミさんのお母さんのことは

 心に留めておく


 そして自然と仕事の話に…



「そういえば、メンズ化粧品の

 アンバサダーの件、引き受けたよ!

 早速撮影の打ち合わせを

 することになった」


「そうか!

 打ち合わせは、いつ?」


「ドラマ撮影の合間で行くから

 あっちも時間合わせてくれるみたいで」


「向こうの会社で打ち合わせ?」


「そうそう!」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 それから 1週間後

 Goff化粧品 社内では

 メンズ化粧品のアンバサダーが

 木村さんが就任したという一報を聞き

 社員たちは大いに盛り上がった



 撮影スタッフも交えた打ち合わせの日…


 俊マネと さきっちょが中心となって

 忙しい木村さんの時間に合わせて

 撮影のミーティングをした



 会議室に入ってきた木村さんは

 ドアの横に立っていた私を見て

 目を丸くしてたけど

 挨拶は"はじめまして"のてい

 会釈程度で済ませてくれた



((*•/(•ω•* ))ヒソヒソ

(木村 仁って…

 実物もイイオトコね♡んふふ…)


 カメラマンの郷布ごぉふさんが

 私の横で目をハートにしている


(。 ´-ω)(ω-`。)ヒソヒソ

(そうですね!)


((*•/(•ω•* ))ヒソヒソ

(アタシ、ファンなのよ♡

 どうしよう!

 ファインダー覗きながら

 絶対 鼻血出ちゃうわ♡

 あ、もしかしたら…

 違うも出ちゃうかも…アハッ♡

 アミちゃん、BOXティッシュ多めに

 用意しておいてね♡)


(。 ´-ω)(ω-`。)ヒソヒソ

(わかりました!鼻に優しい

 柔らかティッシュ用意しておきます!

 って、違うモノって…

 柔らかいティッシュだと

 やべぇですね…( *´艸`)クスクス)


(*゚∀゚)アハア八アッ八ッノヽ~☆

「アミちゃん、リアルぅぅぅ〜♡」


( ´Д`)σ)Д`) コノコノ〜♪♪

「痛い痛い!(´▽`*)アハハ」



 郷布さんは

 見た目は男性、中身はオネエ…

 腕の良いカメラマン

 当社 Goff化粧品の親族…


 郷布さんと話していると

 打ち合わせ中の木村さんが

 スクッと立って口を開いた


「今日、マネージャーも

 連れて来ているので打ち合わせに

 参加させてもいいですか?」


「それはもう 是非!」

 俊マネが返答すると


「失礼します…」



 会議室に入ってきた

 マネージャーという人物は

 須賀さんだった



「えっ…」

 ドサッ…


 私が抱えていたサンプルを

 ぶちまけてしまった



『え━━━━━━━っ!!!!!Σ(゚Д゚;

 ハリポタみたいな伊達メガネだけ?

 いつもの変装してないじゃん!!!!!!』



「おっと…大丈夫ですか?…」


 そう言って 須賀さんは

 落としてしまったサンプル達を

 しゃがんで一緒に拾ってくれた


 サンプルを拾いながら

 小声で話しかける


 |ノo・)ヒソヒソ

(ちょっと!変装してないじゃん!…)


(あ、タメ語だぁ…萌え〜♡…)


(ふざけてる場合じゃないでしょ!…

 顔バレしたらどうすんのよ?…)


(メガネしてるから大丈夫!

 でも 気にしてくれるのは

 嬉しいな〜 ヘヘッ…)


(うわぁ…出た!変態(*´艸`)フフフッ…)


(あ、そうだ!帰ったら

 アミさんに渡したいものあるんだけど)


(何?)


(夜、ベランダで話すよ…)





「・・・・・・」



「木村さん?」

 さきっちょが声をかけた



「え…あ、すみません!

 紹介します、マネージャーの須賀です」



 サンプルを拾い終わり

 立ち上がると 爽やかな笑顔で挨拶した



「須賀です、よろしくお願いします!」

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