第8話

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 ベランダで

 隔て一枚越しに

 隣人の須賀カマキリさんと

 声だけのやり取りをすることが

 最近、多くなった



 …カラカラカラ


「お!アミさん!奇遇ですね!」


「私の至福の時間ときなんです!

 邪魔しないで貰えますか?

 もしかして、待ち伏せですか?

 …(´▽`*)アハハ!なんつって!」


「だったら、どうします?」


「…部屋に戻ります!」


「うそうそ!冗談!

 ここからの景色を見ないと

 眠れなくて…」


「なんか…"カッコつけたアーティスト"

 って感じですね」


「一応、アーティストでもあるのでね

(´∀`*)ヶラヶラ」



 冗談も言い合えるようになった…



「サトが喜んでましたよ!

 須賀さんと連絡先を交換したって…

 …良いんですか?

 バレちゃうかもしれないのに…」


さとしくんは、

 裏切るような子じゃないのは、

 話していてわかるよ…」



 そうよ!

 サトはとっても良い子!

 だって、私が育てたようなもんだから…



「それに アミさんの 弟だし…

 信じてるよ…」


 サトを褒めてくれたその言葉に…

 目頭が熱くなった…

 私も、素直に喜べばいいのに(*´艸`)


「なんなら、アミさんとも連絡先…っ…」


「そうだ!これ、うちで扱ってる

 メンズ化粧品のサンプルなんです!

 無香料ですけど…良かったら

 使ってみてください!

 是非 感想聞かせてくれたら嬉しいです!

 あ、肌に合わなかったら

 スグ止めてくださいね!」


 隔ての横から、ぬ〜んと手を伸ばし

 ブツを渡す


「コスメの会社だったよね!

 あれ?もしかして…俺に渡すのに

 用意してたとか?嬉しいなぁ〜!」


「どこから来るんですか?その自信!

 羨ましいですね…!」


 関わらないとは思ってたけど

 須賀さんが

 綺麗な肌の持ち主と知ってから

 気になっていた…


 いや、肌よ!肌が気になってたのっ!

 使って欲しかっただけっ!



「あと、須賀さんに

 聞きたいことがあって…」


 もうひとつ

 気になっていたこと…



「俺のスリーサイズ?え〜っと上から…」


「違います!」


「はい、即答(´∀`*)ヶラヶラ」



 少しだけ、かくまった日

 須賀さんから放たれた あの香り



「愛用の香水…

 何をお使いですか?」


「香水?…」


「今渡した メンズ化粧品の

 微香料シリーズも検討していて

 今 香りの調査をしてるんです…」


「ほほぉ…あ、ちょっと待ってて」



 …カラカラカラ

 須賀さんは、部屋へ入っていった



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 〜802~



「連絡先、聞きそびれてやんの…

 ダッセーな俺…(ノ∀`)ハハッ…

 …香水かァ

 これしか使ったことないけど…」


 洗面所の扉を開けて

 香水を手に取った


 ベランダに向かおうとすると


「よぉ!邪魔するぜ!」

 じんがやって来た


「…ホント邪魔だ!」


「や〜〜!なんだとぉぉ?!(´^`*)」


「手を洗ってこいよ!

 今、流行病に罹ったらやべぇから!」


「わかってますって!(*´︶`)」



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 …カラカラカラ


「アミさん、ごめん!

 仁が来たから戻るよ!

 はい、香水…

 返すのは いつでも良いよ!」


「ありがとうございます!

 お借りますね!」


「じゃあ、おやすみ!」


「おやすみなさい…」


 須賀さんは戻って行った


 香水を隅々眺める

『・・・・わぁ、さすが 高級ブランド品』


 だから

 あんなにいい香りだったんだ…



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「手を洗って

 うがいもしてきましたよ!

 須賀PD!!」


「お!ご苦労!(´∀`*)ヶラヶラ」


「どうした?

 …なんか最近 表情が違うな〜

 いいこと、あった?」


「え?…別に何も無いよ…」


「隠し事するなよ!」


「してないし(´∀`*)」


「あ、そうだ!曲の依頼が来たぞ!

 今度は男性アイドルグループの

 曲だって!」


「オッケー!」


「そういえば…さっき

 管理人室に 制服姿の

 可愛い男の子が居たんだよ!

 スカウトしちゃおうかな〜」


さとしくんかな?

 管理人さんのお孫さんだよ!

 あの子…笑うと

 目が無くなるんだよ!

 可愛いよね(ノ∀≦。)ノ」


「あ、知ってるの?

 じゃあ、話は早い!

 今度、見かけたら声かけてみるよ!」


「あ、でも大学に行きなさいって

 この前お姉さんに言われてたから

 どうだろう…」


「え?…お姉さん?

 お姉さんって隣の羽玖井はくいさん…」


「そうそう、隣のアミさんの弟くんが

 その可愛い子…」


「……ふ〜ん…隣のお姉さん…

 アミさんって言うんだ…」



 カチカチとマウスを動かし

 パソコンでどの曲調が良いか検索中…


 音源は事前に色々なリズムで作成し

 パソコンのファイル内に取り込んである

 曲調もそれぞれ分けて…

 無難な言葉達も候補として入っていて

 組み合わせて詞にする

 



「今度の曲、どんなコンセプトなの?」


「なぁ…優…」


「ん?」


「…お姉さんと 仲良くなったの?」


「え?・・・いや、挨拶するくらいだよ…」


「弟くんも…?」


「この前、会って少し話しただけで…」


「気をつけろよ…

 世間に顔、知られてないんだからな…」



 言われなくても…

「…わかってる」


 何だろう…

 仁には あまり…触れて欲しくない

 話をらしたい…


「…あの女、またけてきたんだ」


「え?」


「その時 管理人さんに

 助けてもらったから…

 会ったら 仁からも

 お礼言っておいてよ…」


「…わかった」

 


 仁に話すのはさわりだけ…

 ここ最近の くわしいことは

 何故か 言いたくなかった



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 〜803~



 須賀さんから預かった香水…


 箱から出して にらめっこ…


 …( ̄-  ̄ ) ンー

 瓶の蓋を外し、香ってみる…


 "いい香り〜♡

 だけど、この香り…だったっけ?"


 香水は、

 噴射した時・肌につけた時・

 つけてから時間が経った時と

 刻々と香りが変化する


 きっとあの時は…

 走った後だし…須賀さんの汗も…



 ・・・・・・


「…バグるな危険…(´ρ`*)コホン」


 どうした?私の心臓…

 ドクンドクンと一瞬、大きく連打した



 ブブーっ…

 てつくんからのメッセージ


 "アミ不足…何とかしてよ〜!"

 "明日、会う?"

 "やったー!"



 このままで良いのかな…って

 ふと、過ぎることもある


 オトコが居ないと 生きていけない

 あのはは

 同じような人生を歩みたくない



 "どうして私が捨てられるのよ…

 〚⬛︎してる〛って言ってたのにっ!!!!"


 私がこの世で

 一番信じていない〚言葉〛…


 その言葉に、振り回されて…

 こんな言葉に

 すがって生きる人生なんて…



「……ふふっ…」



 私は違う…

 もっと強く生きるんだ




★・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚


いつもありがとうございます!

近況ノートに、

ちょっとしたイメージイラストのせてます!

良かったら見てください!!!


https://kakuyomu.jp/users/gen_chim-kekook/news/16818093073672570847

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