第9話

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 会議の前に

 須賀すがさんから借りた香水の

 原材料や成分を記入した参考資料を

 研究室へ提出した


 すると 研究員の 多田ただ 衣舞いまちゃんと

 おか 笑梨えりちゃんコンビが

 私 目掛けて走ってきた!


羽玖井はくいチーフっ!!!!

 前に頼まれた

 フェロモン入りリップの

 サンプル作ってみました〜ッ!!!」


「うわぁ!ありがとう!」


「赤い方がイチゴのフレーバーです!」


「黄色い方はパインにしてみました!」


「2種類も!? さすが!

 パインって、珍しいね〜!」


「レモンだと在り来りかな〜って!

 したくなりますよ、チッス…|ノд・)ヒソヒソ」


「きゃ〜〜!お試しあ〜れ〜♡

‹\(*´꒳`* )/››‹‹\(  *)/››‹‹\( *´꒳`*)/››クルクル〜」



 パタパタと騒がしく

 研究室に戻って行った…


「ふふっ…元気だな〜あの2人!」




 *・゚・*:.。.*.。.:



 会議室に向かっていると


「アミ!」

 上司のしゅんに声をかけられた


「はい?」



(・ω・。)キョロキョロ(。・ω・)

 周りに人が居ないのを確認して

 話し出す


「あのさ…咲のことなんだけど…」


「…さきっちょ?どうしたの?(o´罒`o)」


「今度の休みに…飯、誘おうかと…」


「…ふむふむ、それで?(o´罒`o)」


「好物とか…」


「そんなの自分で聞きなよ(*´艸`)」


「き、聞けないから

 アミに聞いてるんだろがぃっ!!!!」


「怒るなし!(´∀`*)ヶラヶラ」


「…ぉ〜ぉ怒ってないっ!!! (/// ^///)」


「…赤くなるのやめてよ!

 こっちまで照れるわ!(´▽`*)アハハ」



 俊の長〜い片想いの相手は、

 さきっちょ…


 私が思うに…

 俊は入社当初から片想いのはず…

 私がキューピットとか

 柄に合わないから見守っていた



 新入社員研修から今まで

 何かあれば、3人で力を合わせて

 乗り越えてきた!

 

 私にとって

 俊は、ちょっとポンコツな兄貴

 さきっちょは、世話好きの姉貴

 …みたいな存在



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 俊の片想いを決定づける出来事…


 それは入社して3年くらい経った頃

 休憩スペースでの

 営業課 男性社員2人の会話



「今月も黄桜きざくらがトップか…」


「どうしたら

 あんなに契約取れるんだろうな…」


「結構、いいカラダしてるし

 枕してんじゃね?ガハハハ!!!」


「有り得るな!あははは!!」



 。゜⋆。゜⋆。゜⋆。゜⋆



 少し離れたところで

 俊と私が聞いてしまった

 "さきっちょへの偏見"


 当時の営業課は

〚The 男の世界〛みたいなところもあって

 そんな中でも

 結果を出す女のさきっちょを

 よく思ってない人がいたみたいだ


 この会話を聞いた私は

 はらわたが煮えくり返り


「聞き捨てならないな…(*`へ´*)

 ちょっと一言、言ってくるわ…」

 と、一歩前に出たところで

 俊に止められた


「……いや…俺が行く」

 静かな声で発したあと

 ゆっくりと休憩スペースへ入っていった



 *・゚・*:.。.*.。.:



「よっ!お疲れさん!」


 自販機でコーヒーを買いながら

 営業課の2人に挨拶した


「お!良い靴履いてるな!

 それ、高かったんじゃない?」


「さすが 南野みなみのさん、お目が高い!

 これ、めっちゃ高かったんすよ!

 大事に履いてます(*´艸`)エヘヘ」


 …オイオイ…俊!

 靴の話 してる場合かっ!(`-´)

 気が気じゃない…援護しよう!


 行こうとした、その時…


「咲はね…1年で5足以上履き潰すんだ…

 それぐらい、足繁く営業に回ってるのを

 お前ら知らないの?」


「・・・・・・」


「休みの日も家に居ることもなく

 取引先回ってるんだ…

 同期の俺にも

 そういう姿は見せないで…」


「・・・・・・・・・」


「それだけ努力してんのに

 陰で枕営業してるとか言われて…

 咲も可哀想に…

 …ってか セクハラじゃね?…それ」


「・・・・・・・・・・・・」


「″女だから″って

 ナメられるのが嫌だから

 トップ貫くんだよ…

 そこらの へなちょこ男より

 かっこいいと思うけどなぁ〜」


「……っ…で、ですよね」


「咲に嫉妬してるヒマがあるなら

 営業に回れば?

 ガッポリ契約取って

 成績トップになってから陰口叩けよ…」



 怒りを抑え…ただただ静かに話す俊


 私も、そこまで知らなかった


 さきっちょの努力

 俊はちゃんと見てるんだ…

 今までずっと 見守ってたんだ…

 感動しちゃって 涙が出る!


「あ、そうそう…

 さっきお前らが食べてた

 ここにあったお菓子…

 咲が"頑張ってる みんなに"って

 買ってくるやつだからな!」


「そ、そうなんですね…

 優しいなぁ…黄桜さん…( ̄▽ ̄;)」


「す、すみませんでした…m(*_ _)m」


 バツが悪そうに

 休憩スペースから出てきた営業2人に

 睨みつけるのが精一杯の私


「咲のこと、何も知らねぇくせに

 悪口言ってんじゃねぇよ、ボケがっ!」


 俊がブツブツ独り言を言いながら

 休憩スペースから出てきた時には

 私は涙で ぐちゃぐちゃで


「な、なんで泣いてんの?Σ(゚д゚;)

 ちょ、泣きやめよ!キョロ(゚∀゚≡゚∀゚)キョロ

 俺が泣かしてるみたいだろがぃ!」


「あ〜た、いい男だよ!感動したっ!

 カッコイイぞ、俊!(T ^ T )」



 ポケットからハンカチを出して

「何言ってんだよっ!ほら、使え!」


「びぇーん( ;∀;)」


「めっちゃブッサイクだな!(´▽`*)アハハ」

 そう言って頭ポンポンする俊に


「さ、触るなし! (° ´Д`°)

 ブサイクだぁ?!

 腫れぼったいチミに言われたくない!」




 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜


 それから数年経った今

 さきっちょに 片想いしていることを

 私にバレてるとわかった俊が

 ようやく、ご飯に誘うと言う



 助け舟、出してあげよう(*´꒳`*)



「そういえば、さきっちょ…

 バスケが好きなんだって!

 なんちゃらDUNK?

 まだ観てないらしいよ…」



「お!そうなんだ?おぉそうか そうか…

 まだ観てなかったか……φ(..)メモメモ」


「さきっちょが飲むのは もっぱらビール!

 和食が好み…

 DVD観ながら 宅飲みとか…?」


「たっ…た、た、タッタカッタッタ宅飲み!?」


「ププ━(〃>З<)━ッッ!!! 落ち着けっ!」


 真面目さと不器用さが

 前面に出てる…

 そんな俊のことを

 世話好きの さきっちょは

 嫌いじゃないと思うぞ?


 衣舞いまちゃんと笑梨えりちゃんから預かった

 リップのサンプルを手渡しながら



「リップのサンプル…

 パインの香りだってさ…

 さきっちょに渡しておいて!

 確か、パインも好物だから…」


「お、おい!告ってもないのに

 まだその段階じゃないって…」


「え!キスする気なの?」



「ダ───────ッ!!!!!違う違うっ!!!!」



 この慌てよう、ツボだわ(*°∀°)・∴ブハッ!!w


「ほら、会議始まる!行くよ!」


「そ、そうだ!会議のこと忘れてた!

 アミが変なこと言うからだろっ!!!!」


「人のせいにするなし!(*´艸`)」



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 今日の議題

【メンズ化粧品 広告掲載について】


 新聞広告、折り込み、街中の広告看板、

 電車内の中吊り、電光掲示板用の動画、

 アンバサダー等…


 意見が飛び交う



「やっぱ アンバサダーは大事っす…」


「そうだよね〜!

 アンバサダーの善し悪しで

 売れ行きが決まっちゃう〜( ̄-  ̄ ) ンー」


「今人気の芸能人って誰なの?」


「やっぱり、木村 仁じゃない?」


「ブフォ…ゴホッゴホ( >д<)、;'.・」


「ちょっと!アミっぺ、大丈夫?」

 さきっちょが背中をさすってくれた


「ごめん、むせた!」


 木村さんの名前が挙がり

 びっくりした…

 やっぱり…人気なのね…


「木村 仁を呼ぶとなれば

 広告の予算は

 かなり上げてもらわないと

 採算合わないかもなぁ…」


「逆に初々しいオトコも

 いいと思わない?」

 さきっちょが ニヤニヤしながら言う…


 サキッチョ( *¬ω¬)→Σ(゚д゚;)アミ…な、何?


((*•/(•ω•* ))ヒソヒソ

(さとしくん、どうよ?(ボソッ))


「んえ━━━━━!!!!ダメダメ!!!(乂'ω')バツ!!」

 全力でお断りだし!


「なんでよ〜!可愛いのにぃ〜♡」


「咲、誰の話?」

 俊が興味津々で聞いてきた


「アミの弟、さとしくんよ!

 前から考えてたの!

 ウチの専属看板モデルにって!」


「おおぉ!良いんじゃない?」


「良くないっ!(*`Д´)ノ!!!!!」


 あの可愛さを、世間にさらすだと?

 "絶対ダメ、イヤ!!!!!"


「今回、撮影に連れて来いよ!

 小さい頃、来たことあったよな?」


「懐かしいね!私、あの日の

 可愛い智くんに堕ちたのよ〜♡」


 さきっちょが

 自分自身を抱きしめて話した



 5,6年くらい前に

 まだ小学生だったサトを

 撮影の現場に

 連れていったことがあった


 高学年なのに

 誰かに話しかけられるたびに

 私の後ろに隠れていたなぁ〜



「サトに聞いてみるけど

 撮影はダメ!」


「保護者の許可もらうのは

 厳しそうだな(´∀`*)ヶラヶラ」


「とりま、私…

 木村仁の事務所にアポとってみるわ」


 そう言って

 咲がスマホを持って会議室を出た


「智くんの方も、よろしく( •ω- )☆」

 私に向けて 俊のウインクが飛んだ


「きもっ!!」


「うるせぇ〜わ!アハハハ(≧▽≦)」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 仕事帰り

 てつくんと待ち合わせ…


 いつもは

 誰が見てるか分からないから と言って

 並んで歩くことはしなかった


 なのに今日は

 改札出て、目が合った瞬間に

 駆け寄って来て 私を抱きしめた


「ちょっとっ!…見られちゃうよ!?」


「見られてもいい…」


 ギュッ…

 腕に力を入れた



 哲くんの様子が…違う

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