第7話

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 管理人室でサトに問い詰められた

 カマキリと一緒に

 階段を1段抜かしで

 8階まで走るという出来事…



「おめぇたちには、言うておくかな…」



 隣人カマキリの正体を

 ジジイは教えてくれた



 *・゚・*:.。.*.。.:



 須賀さんは

 "U(ユー)"という芸名で活躍する

 作詞作曲も手掛ける

 音楽プロデューサーであり

 歌手でもある

 とても有名な人…らしい



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



「えっ…知ってるよ…"U"!

 覆面アーティストなんだよ!

 EdoとかBLuuEとかと同じ

 顔を出さない歌手!!!!!

 友達でファンの子もいるっ!!!

 アプリゲームの挿入歌とかも

 作曲してたはず!

 すげぇ…Σ(ㅇㅁㅇ;;)」

 

 サトがフリーズ…


 私でも知ってるぞ、エドやブルーー!

 須賀さんは…

 その類の覆面アーティストだと?!


 "U"の曲…

 もしかしたら 知らないうちに

 耳にしてるかもしれない


「引越しの挨拶も、

 木村 仁さんって人が来てくれて…」


「は?Σ(º ロ ºノ )ノ…姉ちゃん会ったの??

 すげぇ〜.。゚+.(・∀・)゚+.゚

 俳優さんなんだよ?」


「そうみたいだね(´▽`*)アハハ」


 だから、木村さんは挨拶に来た時

 うるさかったら言ってくれと

 言ってたのか…

 あの部屋で作曲…納得(。'-')ウンウン


「そっか…知らないか…

 姉ちゃんは"ラジオ派"だもんね(*´꒳`*)」


「訳アリって言うたのも

 あの2人は有名人だから…

 今迄も借りていた部屋が

 ファンの人たちにバレて

 押しかけてきたとか何とか言うてたど…

 何度も引越しを繰り返して

 困ってたみたいで 放っておけなくてよ…

 今日みたいなことも

 またあると思う…

 アミ、助けてやってけれ!」


「私がどう助けるのよ!」


「仮にもワシに

 一緒に走ってケロ!って言われても

 無理だべや…ボハハハ!

 ほれ、アミは次期管理人だべ?…」


「まだ言ってる!やだ〜(*´艸`*)ハハハッ」


「じゃあ、僕が管理人やる( *¯ ꒳¯*)」



 。゜⋆。゜⋆



 話が盛り上がってるところに


 コンコン…


「あの…802の須賀です…」

 管理人室の窓口から

 グラサンandマスクのカマキリが

 顔を覗かせた


「おぉ…変装してる!!\(*°∀°*)/」

 サトが喜んでる



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 ジジイが招き入れ

 食事が始まった…


 マスクを顎にずらした須賀さんが

 "グラサンのままで すみません"

 と言いながら

 改めて私たちの前で自己紹介をした


羽玖井はくい さとしです!

 高3ですっ!

 このマンションの次期管理人…

 の予定です!!!(*`・ω・)ゞビシッ!!」


「サト!まだ決まってない!

 その前に、ちゃんと大学行く!」


「姉ちゃん、厳しいぃぃ…(´⌒`。)グスン」


「お姉さんの…お名前は…」

 少し躊躇ためらいながら

 須賀さんから聞かれた


「アミです、羽玖井はくいアミ!」

 サトが代わりに言ってくれた


 そして続けて

「…彼氏は居ないみたいですっ!(*´꒳`*)」


「ち、ちょっと サトっ!!!!!

 余計なこと言わないのっ!!」


「ボハハハハ…この2人 仲良いんだよ…

 自慢の孫たちだ…

 須賀つぁんも

 仲良くしてやってけれ…ウン( ¯ᒡ̱¯ )ウン」



 *・゚・*:.。.*.。.:



 食事をしながら 談笑…

 ジジイの寝る時間も、

 過ぎていたこともわからないほど


「ワシ、もう寝るだよ…」


「わ、時間過ぎてた!ジジイごめんね!」


「賑やかで楽しかったど!

 須賀つぁんも

 また一緒に食べるべし…ボハハハ…」


「久しぶりに、楽しい夕食でした!

 ありがとうございました!」



 とこに就いたジジイを見届けて


「じゃあ、俺もそろそろ…」

 須賀さんが腰を上げた


「え〜!優さん、

 もう戻っちゃうのぉ( ˙³˙ )」

 サトが寂しそうに言う


「うん!またね 智くん!

 アミさん、ご馳走様でした!

 美味しかった!」


 いつの間にか下の名前で呼ばれて

 ドキッとしたけど

 何食わぬ顔で


「はい、お粗末様でした(*´꒳`*)」


「姉ちゃん、泊めてくれる?」


「うん、いいけど…大丈夫なの?」


「さっき、友達の家に泊まるって

 連絡しておいた!

 じゃあ、先に部屋行ってるね!

 優さん、待って!僕も行くっ!」


 テーブルに置いてあった

 部屋の合鍵を握りしめ

 嬉しそうに須賀さんの後を

 ついて行った



 あ…

 さっきの逃走の話、

 聞いてなかった…


 まぁ、芸能人なら色々あるわよね…


 ジジイの部屋を静かに後片付けして

 遅れて自宅に戻った



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 可愛い弟はリビングの

 タタミスペースでゴロ寝…


「サト、お風呂は?」


「…朝 入るよぉ(*´꒳`*)

 おなかいっぱいで動けな〜い ♡

 あぁ〜幸せぇ〜♡」


「ふふっ…(*´꒳`*)

 ほら 部屋で寝て!歯は?磨いたの?」


「磨いたぁー♡」


 "食べたら磨く…指切りげんまん"

 小さい頃に教えたこと

 今も ちゃんと守ってる(*´艸`)


 背中におぶって…いや、おんぶ風で

 引き摺って サトの部屋へ


「重っ…うぅぅぅ…」


 ベッドに放り投げたら

 一瞬で寝息を立てた


「ふふふ…可愛い…」


 布団をかけて 頭を撫でる…

 寝顔が赤ちゃんの時から変わらない

 ほっぺを ムニムニと摘んでも

 一度寝ると、朝まで起きない…


 昔は よく このほっぺを

 パクッと甘噛みしてたなぁ…


 ふふふ(*´艸`)

 今やったら怒られそう…



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 お風呂から上がると

 毎日のルーティン、ベランダへ…



 …カラカラカラ



「お!来ましたね…

 今日は来ないかと思ってた」


 隣から声が聞こえた



「私の日課なのでね…」


「ご飯、美味しかったよ…」


「それは、よかったです…」



 隔て越しに 話をする…

 いつもより、ちょっと変な感じ…



「あ、今ちょっと時間ある?」


 隔て板の横から

 ヘッドフォンが出てきた


「これ…くれるんですか?

 高そうなヘッドフォン!!!!!」


「いやいや…アハハ!

 ちょっと聴いてみてよ…」


「あ!もしかして…」


「そう、俺が作った曲…」


 耳に当ててみた


「いいですよ…」


「再生…」



 •*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪



 同じクラス…男友達に片想い

 照れくさそうに交わす挨拶でも…

 授業中、ペン回ししてる姿でも…

 部活で汗を流す姿を見るだけでも…

 ドキドキした


 …だけど

 大親友の好きな人も

 その彼だとわかると

 "これ以上好きになるのは…ダメ"

 大親友の為に 彼と距離を取る

 彼女の複雑な心情…


 静かなメロディに合わせて

 歌詞が悲しく流れていく


〖はぁ〜〗

 ため息をついても幸せは…逃げない

 "臆病じゃダメなんだ"

 自ら幸せをつかみに行こうと

 前向きに進み出す心の変化

 …RESETしよう

 …やっぱり恋は楽しい


 •*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪



「おぉ〜すごーい!.。゚+.(・∀・)゚+.゚」


 そう言って

 ヘッドフォンを須賀さんに戻すと


「いいでしょ!…

 先方も大喜びだったよ!

 この"ため息"が、曲のアクセントになって

 世間の注目を浴びるだろうって!

 …アミさんに

 お礼言いたかったんだ」


「え?どうして私にお礼を?」



 話を聞くと…どうやら私が

 ヒントを与えてしまったらしい



「ありがとう…」


「いや、私は何も…」


「あと、さっき話せなかったけど…」


 ストーカーみたいな女性のことも

 教えてくれた

 木村さんと噂された女優さん…

 熱愛はフェイク

 実際は須賀さんに

 近づこうとしてるという…


「有名人って、大変ですね…」


「まぁ…ね…」



 大変ですね…とは言ったものの

 私は一般人だから

 どれだけ大変なのかは わからない


「私に出来ることがあったら

 言ってください…」


「じゃあ、とりあえず

 普通に話さない?」


「いえいえ、須賀さんは芸能人ですので…」


「散々、人を

 カマキリ呼ばわりしておいて?

 改めて かしこまることある?」


 あ…


「(´▽`*)アハハ…そうでした!」



 天気予報では

 夜にはグッと

 気温が下がると言ってたのに

 今日のベランダは何だか暖かかった…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る