第5話

 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 隣人さんとベランダでの会話



「俺の正体は…気になります?」



 ワケがあって

 顔を出せないと言ってた

 それなら…関わらない方がいい



「いいえ!」


「即答…かよ…」



「じゃあ、おやすみなさい」

 そう言って 私は部屋に戻った



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 〜802号室〜



「ホントに興味無さそうだな…(º▽º )ハハッ」



『仁のこと、知らないって?』


 アイツは普段から 伊達メガネくらいで

 あまり変装せず歩いている…

 結構 テレビにも露出してんのに…?


「まぁ…いいや…」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 〜803号室~



 ベランダから部屋に入ると

 スマホが震えていた


「お?」


 …彼女が寝ている時間なのかな?

 てつくんからのメッセージ


 ── "アミに 会いたいよぉ…"


 "最近 帰りが遅いの…"


 ── "そろそろ 合鍵、欲しいなぁ〜"


 "むーりー"


 ── "え〜!!"



 キミはセフレ、彼氏じゃない…



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 連日、新商品の企画会議続きで

 帰りも遅くて 身体も疲労蓄積中…


「疲れたぁ…」


 今日は、いつもより

 遅めの電車で帰路に着く


 

 夜食も作るのも面倒で

 コンビニのおにぎり続き…

 そろそろ飽きてきた


『生姜焼き、食べたーい(*´ヘ`*)ムー!!!』

 そう心の中で叫びながら

 マンション近くのコンビニから出た



 ジジイ、どうしてるかな?

 毎朝の電話の生存確認だけで

 顔も見ていない…


 年齢も年齢だから、ちょっと心配で

 何かあったとき用に

 管理人室の鍵は携帯しているけど

 使うことは ほとんどなかった


 20時くらいには寝てしまうジジイ…

 帰りが遅い時は

 エントランスに入って

 管理人室が消灯してるのを

 目視するのが日課


 今日は管理人室に入って

 確認してみようかなぁ…



 ブブッ…

 スマホが震えた


「お、サトだ…」


 ──"明日バイト休みだよ!

 姉ちゃんのご飯が食べたい♡"


(*´°`*)ハゥ…何て可愛いの?!?!



 "わかったよ!

 仕事早く終わらせるから おいで!"


 ──"やった!

 明日ジジイのとこで待ってるね!"


 "りょ!"



 明日こそ、早く帰るんだ!ε-(`・ω・´)フンッ



 。゜⋆。゜⋆



 サトとのやり取りが終わり

 マンションに近づくと

 後ろから足音…



 コツコツコツコツ…



 カマキリ…かな?(*°∀°)・∴ブハッ!!w


 …いや、ヒールの音だ

 女性か…?



 クルっと振り返ってみる



 キョロキョロしながら歩いてる女性…


 グラサン掛けてるしィィ…(´-ω-`)

 夜なのに そんなの掛けて見えんの?…

 絶対に怪しい…( ㅎ.ㅎ)ジー



 もしかして…

メスカマキリが オスを探しに来た…〗

 とか…?


 なんつって…(* ̄m ̄)プッ


 一瞬で色々考えて

 方向転換してマンションから離れる


 その女性は、案の定

 まっすぐ【STRING CHIMNEY】へ…



 あんな住人、いたかな…



 。゜⋆。゜⋆



 ジジイが管理している

【STRING CHIMNEY】…

 契約する時に

 入居する人と

 主に出入りする関係者等の顔写真を

 預かることになっている


 以前


 "次期管理人のアミにも

 見せておいた方が良いと思ってよ…"


 "いつ次期管理人になった?((´∀`*))"


 って言いながら

 全世帯の写真を

 見せてもらったことがある


 各階、3世帯ずつ

 2世帯は単身向け、

 1世帯はファミリー仕様


 まだ お隣さんの写真は見てないけど…



 自動ドアの前で、

 マンション内を覗き込む女性…


「何か、御用ですか?」

 後ろから

 少し大きめの声で話しかけた…


「えっ…あ、いや…」


 めっちゃ、怪しい…

 私がカバンからスマホを取り出すと

 その女性は、通報されると思ったのか

 足早に逃げて行った



 女性が見えなくなったのを確認して

 鍵を差し込んで自動ドアを開けると


「いや〜助かったよ!」

 後ろから声が聞こえ


「わぁ!Σ(・ω・ノ)ノ!!」


「あ、また びっくりさせちゃった?」


 物陰からひょっこり現れて

 何?いきなりタメ口って?…


 がっちり変装中の、このお方…


「カマキリ!」


「俺、須賀すがから

 カマキリに改名しようかな(´▽`*)アハハ」


「助かったって、何ですか?

 あの女性、知り合いなんですか?」


「知り合い…になるのかな〜

 ほら、俺…ワケありだから(´▽`) '` '` '`」


 予感的中…( ・∇・)・・・


「あ〜ぁ…そうでしたね!」

 話は半分聞き流して…



 ジジイが心配だったから

 管理人室の鍵を開け

 寝ているジジイが

 呼吸しているかどうかを確かめた



「えっ、そこに入れるの?」

 エントランスで待ってたカマキリが

 不思議そうにしてたので


「管理人は、私の祖父なんです…」


「そうなんだ〜!

 面白いよね、管理人さん」


 そう話しながら

 一緒にエレベーターへ…



 8階に着くと

 万が一…のことを考えて


「ちょっと止まって下さい!」


「え?」


 エレベーターから

 歩き出そうとしたカマキリを静止させ

 部屋に向かう廊下、

 玄関ドアの反対側の窓から

 マンション正面の広場が見える…


 下の方に目をやった |ω・)チラ


「こっち見てます…

 …いますよ、さっきの女性」


「げっ!マジか…」



 マンションから少し離れたところで

 グラサンを外し、

 こちらを見上げてる女性

 ちょっと怖いな…


「…しゃがめますか?」


「え?…うん」


「しゃがみながら 歩けます?」


「…こ、こう?」

 やって見せた


「…そのまま進んでください」


「おぉ…結構キツいな…」



 背の高いカマキリ…

 しゃがめば、

 外からこちらを見上げる女性の目線では

 私の足元は見えないはず…



「止まらないでください…」


「え?」


 ここでドアを開ければ

 カマキリが住んでる部屋が

 バレる可能性がある…

 自室802の前で止まった彼を

 私の部屋の前まで来させた


「一時避難です…」


「あ、なるほど…!」


 鍵を開け、しゃがみ歩きで入らせ

 ドアを閉めた




「うわぁ…きっつぅ〜!」

 須賀さんは 立ち上がって

 膝の曲げ伸ばしをしていた


「誰なんですか?あの女性は!

 ストーカーですか?…」


「まぁ…そんなようなものかな…」


「だったらすぐにでも警察に…!

 っていうか、アナタ何者?!」


「お?興味持ってくれた?」


「違います!こういうの続くと、

 ここに住んでる人たちや

 ジジイに迷惑かけるでしょ?」


「ジジイ?」


「あぁ…、管理人の…」


「ジジイって…アハハハ!」


「小さい頃からそう呼んでますから…!」

 ちょっとムッとした顔

 出ちゃったかな〜


「早速、迷惑かけてすみません…」


 普通に話してる分には…

 そんなに怪しい人ではないと思う


 興味は 無い!

 無いけど…

 グラサンの奥…

 どんな表情をしているんだろう…


「部屋、あがらせてくれないの?」

 靴を脱ごうとしてる


「はぁ?!あげませんよ!」


「な〜んだ…つまんねぇ〜アハハハ!」


 玄関ドアを少し開けて

 廊下の窓から見下ろす…|ω・)チラ

 あの女性は…


「もう、居ないみたいですよ」


「諦めたか?ヨシヨシ…

 ありがとう、助かったよ!」


「…気をつけてくださいね」


「はい…」


 玄関ドアを閉めた



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 〜802~



「はぁ(。´-д-)

 また…引っ越さないとダメかな(ボソッ)」


「お!帰ってきた!遅かったな!」


「…あの女、また来たよ」


「え?」


「撒いたんだけど

 わかっちゃったかもなぁ…」


「警察にも言っておくよ…」


「おぅ!…ってか、

 毎日ココに来てるよな」


「一度 撮られただけで

 事務所の前でウロウロ…

 勘違いされて…こっちも参ってるよ」


「メイクの子?大変だな…」


「恋多き俳優 木村仁、

 そろそろ本命見つけようかな…(´▽`*)アハハ」


「…お、頑張れ!(*´꒳`*)」


「何その顔…嬉しそうじゃん」


「え?…本命いれば

 俺のとこに入り浸らなくていいだろ?」


「あらやだ♡ゆうが本命だってばぁ…♡」


「アハハハ!キモっ!

 ほら!もう帰れ!俺は寝る…」


「おう、寝ろ寝ろ!

 あ!あの曲OKだってよ!

 じゃあな!」



 …バタンっ



「OKもらったか…ふふっ(​ *´꒳`*​)」



 お姉さんに、いつ…お礼言おうかな…

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